通信311 新型コロナウイルスに関する対応について 浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第311号 (2020年3月9日発行)

新型コロナウイルスに関する対応について
株式会社HANA 浅見綾子
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はじめて投稿させて頂きます。
韓国語の専門出版社HANAで営業と広報を担当しております浅見綾子と申します。
この度、ハンガンネットの事務局をHANAが引き継がせて頂くこととなりました。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。

HANAをご存じない先生もいらっしゃるかと思い、少しだけ会社の紹介をさせてください。

株式会社HANAは『韓国語学習ジャーナルhana』という語学雑誌を年間4冊出版しており、雑誌以外にもTOPIKやハングル検定などの検定対策本や独学者向けの学習書を月に1冊程度のペースで出版しております。

出版活動以外には「HANA韓国語スクール」という韓国語教室を運営しており、私はHANAスクールでは主に授業の企画を担当しております。

またSNSを利用し、韓国語業界の情報を発信することを努めております(食べ物とお酒に関することがかなり多くなってきてはおりますが、、)。SNS上では「とんそく子」という名前で発信しております。

さて、今のこの時期は皆さまやはり新型コロナウィルスの対応に追われていらっしゃるのではないでしょうか。
「HANA韓国語スクール」も下記のような対応を取る(表明する)ことに致しました。

・講師・受講生ともに授業中はマスク着用(授業中もつけたままのお願い)
・頻繁に換気を行う
・受講生と講師、受講生相互間の間隔を可能な限り保つ
・各講座開始前の除菌清掃を徹底する
・受講を中止されたい受講生の方への返金対応

受講を希望される方によって、心配や注意の度合いに違いがあるのはもっともなことです。教室としてどのように対応するべきかは、常に悩ましいことであり、また日々状況が変わりますのでそれにスピーディに対応することも要求されますよね。

さらに弊社のスタッフに対しても今後は
・体温測定
・時差通勤
・テレワーク導入(授業がありますので会社出勤はスタッフ交代で)
など準備ができ次第可能な人から進めていく予定だと代表より本日お達しがありました。

今回のコロナの件で、働き方も大きく変わりそうですね。

出版業界の話も少し。

私は書店営業も担当しておりますので書店員さんとお話させて頂くことが多いのですが、つい先日某書店さんで最近の本の売れ行きに関して訪ねたところ、このコロナの影響で本がとても売れているんですよ!とのこと。特に検定試験対策本や、児童書、児童向けドリルなどが売れているそうです。

子どもの学校が休校になり、親御さんとお子さんが一緒に書店を訪問し買っていかれるそうです。本が売れることは嬉しいですがなんとも複雑な気分です。
また、コロナをきっかけに電子書籍の売上も伸びそうですね。

通信310 第4回韓国青年訪日団と韓国語学習者の交流会 2/20 阪堂千津子

【週刊ハンガンネット通信】第310号 (2020年3月3日発行)

第4回韓国青年訪日団と韓国語学習者の交流会の報告(2月20日開催)

阪堂千津子

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今回は2月20日に都内で行われた「第4回韓国青年訪日団と韓国語学習者の交流会」のご報告です。

ご存知のとおり、この交流会は「対日理解促進プログラム(JENESYS)」の一環で、日韓文化交流基金とハンガンネットの共催で開催されている年中行事。今回で4年目になります。

今年は先着順で65名を募集したところ、定員があっという間に一杯になり、残念ながら多数の方に参加をお断りしました。この場を借りて、該当する生徒さんがいらっしゃる先生方、心からお詫び申し上げます。

さて今年は、「単なる交流ではなく、日韓関係について話し合える関係、持続的な交流を」というリクエストがありまして、例年にもましていろいろな試行錯誤がありました。全部で6回の事前準備会を開催しましたが、そのうち2回は勉強会も開きました。

1回目は武井一教諭(日比谷高校等)を招いて「隣国を知ること;日韓基本条約を題材にして」を開催し、参加者は45名でした。武井先生には交流と対話の観点から、今の日韓関係の基本となる国際関係をどのように理解すべきか、わかりやすく講義していただきました。

質疑応答時間には、「実際に訪日団の学生から質問されたらどう答えたらいいか」とか「交流の場に歴史問題を持ち出したくない」など、現場を念頭に置いた意見交換が行われ、熱気につつまれた4時間でした。

2回目は大学などで国際法を教えていらっしゃる雨野統先生の「国際法の視点から考える日韓請求権協定;国家主権か人権か」の講義でした。

先生は専門学校で公務員に教えてもいらっしゃるので、国際法の基本から始まり、国際法から見た今の日韓関係を解説、その問題点や紛争解決のヒントなどもレクチャーしていただきました。

先生が「1年分の講義をギュッと詰め込んだ」とおっしゃっていましたが、大変内容の濃い授業で、会場を埋め尽くした参加者は、専門用語のメモを取りながら熱心に聞き入っていました。講義が終わっても、参加者たちは教卓にあつまって、時間が過ぎるのも忘れて講師と質疑応答をしていました。

当初は横浜のレストランで交流会を開催する予定でしたが、開催2週間前にクルーズ船の影響で急きょ交流会が中止になり、3か月にわたり準備してきたものが、水泡に帰しました。

次に、都内に場所は変更され、集会は禁止だが交流は実施、などと刻々と条件が変わりました。さらに、日韓両国の参加者の相次ぐキャンセル(場合が場合ですから)、

場合によっては当日中止もあり得るという条件で、それなら中止にすべきかと迷いましたが、最悪の事態を想定しながらも最善を尽くそうと団結する参加者のみなさんの姿に励まされ、決行を覚悟しました。

文句も言わず臨機応変に対処しようとしてくださった参加者のみなさんには、感謝の言葉もありません。

結果的には東京都内の小グループ散策という形態になり、日本側42人、韓国語側35人の参加者で開催しました。

短い開会式を行った後、グループに分かれて散策、午後または夜まで一緒に都内を回って、その間に話し合った内容をA4用紙一枚に自由に書いて提出するという交流でした。

実際に、韓国の学生と歴史問題について話し合ったというグループもあれば、そうでなかったというグループもあります。

個人的には、例年になく少人数で長時間の濃い交流をすることができたので、こういう方法もいいなと思いました。「終わりよければすべてよし」、ですね。参加者からは

「一日中はなしをきいていたら、わかる単語がふえてきた」とか「言ってることはわかるのに、いいたいことがでてこなくてもどかしい」

という声をたくさん聞きました。「もっと勉強します!!」と言ってましたので、学習モチベーション向上には役に立ったようです。

「日本に行ったら2週間は自宅隔離」を覚悟して、海をわたってきてくれた訪日団の大学生・高校生たち。本当に素晴らしい若者たちでした。

彼らは無事に10日間の日程を終えて先日、帰国したとSNSで知りました。大邱の学生には、「がんばれ!」とメッセージを毎日送っています、と日本の参加者から聞いています。

今回のような非常事態だからこそ、お互いの絆はいっそう深まったような気がします。参加者同士はいまでもラインでほぼ全員がつながっており、やりとりは続いています。

コロナ騒ぎが落ち着いたら、日本側の参加者を集めて、慰労会を行いたいと思っております。

最後になりましたが、この場を借りて、ご協力くださったハンガンネットの先生方に心からのお礼を差し上げます。本当にありがとうございました。

「教室単位の参加でなければ、このような交流会は実現できない」と事務局は通感しております。

以下、今回、ご参加された先生方と、教室の一覧をあげておきます。(途中、やむを得ず辞退された参加者も含みます)

当日の様子と、最終日に総括で今回の都内フィールドワークに関する発表の写真も添付します。

6組の総括発表

*ハンガンネットの先生方(ありがとうございました)

丹羽光先生、丹羽裕美先生、日下隆博先生、元孝貞先生、川北貴彦先生、朴智貞先生、姜煕哲先生、大和田友美先生

*参加者の出身教室

  • ひろば語学院
  • ワカンドウ韓国語教室
  • ミレ語学院
  • コリブン語学堂
  • 元先生の韓国語教室
  • アイケーブリッジ外語学院
  • ミリネ韓国語教室
  • 楽しい韓国語教室
  • 桜美林大学世宗学堂
  • 東京外国語大学オープンアカデミー

*事務局(本当に感謝!です)

佐藤絵里さま、中島千幸さま、村上寛光先生

通信309 私の韓国語講師奮闘記24: ハンガンネットセミナー&懇談会 in大阪 オンラインで参加してみた 宮本千恵美

【週刊ハンガンネット通信】第309号 (2020年2月17日発行)

私の韓国語講師・奮闘記24「ハンガンネットセミナー&懇談会 in大阪」 オンラインで参加してみた  

宮本千恵美
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久々のハンセミのお知らせが届きました。
2月11日は祝日と言うこともあり、大阪までなら何とか行けそうだと思いセミナーの参加に・・・ん?
残念なことに、その日は授業が入っていて、どう計算しても授業までに金沢に帰ることができないと諦めていたところ、
オンライン参加可能との記述。
オンライン・・・参加してみよう!と、前日に申し込みました。

前日ぎりぎりの申し込みに対しても快く迎えていただけてホッとしていた矢先、案内要項の中に動画実習の体験のために実際に自分で動画撮影してみるので、何かネタを1~3分考えておいてとのこと・・・。
いったい何をすれば・・・、頭の中で構想を練ろうとしても全く出てこず。
なんでもいいと言われるともっと難しい・・・そういえば、最近生徒さんたちから同じような意味の単語や文法が似ているけど、何が違うのかと言う質問を受けるようになりました。
2年近く学んでくると、疑問に思うものも増えてくると思います。
その解説なんてどうかなぁ・・・と思いながら眠りにつきました。

オンラインセミナー当日、ちょっとドキドキディながら繋がるのを待っていました。
Zoomと言う会議用のオンラインTV電話とでも言いましょうか、Skypeのような感じと言えば分かりやすいでしょうか。
スマートフォンなどでも参加可能とのことです。
画面はとても見やすく、他にオンラインで参加されている方たちの顔も、セミナー風景も見ながら参加することができ、
遠くにいるという感覚はなく、なんだか違う部屋から隣の部屋の人たちと話しているような近い感覚で参加できました。

ミレ韓国語学院の前田先生と、中村佳奈先生の講義が終わった後、実際に自分で動画の撮影をするわけですが、セミナーに直接参加されている方たちは2人組に分れて動画作成ができますが、オンラインでの参加者は一人で考えるしかないのかと思っていたところ、Zoomはグループ個別に会話ができるようにも設定できるとのこと。
ただあまりにも初めてのことだらけで、グループで話してもまとまらず、そのまま動画作成することになりました。
前田先生曰く、なんでもいい、例えば勉強方法や習得方法でもなんでも伝えたいことならジャンルは問わないと言いましたが、う~ん、やはり悩んでしまいます。

そこで昨日漠然と考えていたことを動画で表現してみようと思いました。
話し方、見せ方、展開の仕方・・・話すことも少しまとめないと言えないと思い、話すこともメモしたり、その場で復唱したりしました。
見せ方も、どう見せれば分かりやすいだろうかとか、何を使えば面白いかとか、周りにあるものを見て使えるものを考えます。
展開の仕方は、どのようにこの一連の流れを映像で撮っていくか?
まとめて書いているとまともにちゃんと考えているように感じるかもしれませんが、当日は20分ほどしか時間がなく、焦っていました。

20分は思った以上に意外と短かったように感じました。
準備ができ、いざ撮影!
思ったように口が曲がりません・・・。緊張のせいでもありますが、こんなに話し方が下手くそなのだとつくづく思いました。
中村先生の講義の中でも、動画を作る際の話し方を説明していた内容を思い出しながらゆっくりしっかり、言いたいことをちゃんと含めながら撮影しました。
それでも最初の言葉さえも詰まってしまい、後々確認したところ、5~6回撮り直していました。
何とか撮影して動画が集まったところで、参加者全員の動画を観覧しました。
音楽が入っていたり、テロップが入っていたり、実際に動画作成されている先生の説明や構成はとても分かりやすく聞きやすかったです。

中村先生の実際の動画を見ても、構成ももちろんのこと、やはり話し方がしっかりされている、それがいかに難しいかと言うことを自分で実践してみてつくづく感じました。
前田先生とはFacebookでも交流させていただいていますが、いつも動画更新が流れてきます。
今までは、簡単に撮影しているのかと思ってはいたのですが、そうではないのだと、撮影前にしっかりとした準備なくして動画は撮れないのだと、セミナーが終わって感じていました。

ただオンラインの授業が分かっただけでなく、普段からもしっかりとした話し方をしていただろうかとその点に関しても反省材料になったと思います。
動画で話すということは、言葉のキャッチボールができない分きちんと正確に伝えないといけない。
自分の話し方や、見せ方は授業でも応用できることがたくさんあると思いました。

オンラインの可能性は今まで教室に通えなかった人たちにも希望の光になります。
色々な問題点・改善点はあると思いますが、いろいろな教室の在り方、多用化する学習方法などセミナーを通してもっと考えていきたいと思います。

通信308 通じたらうれしい 寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第308号(2019年12月26日発行)

「通じたらうれしい」

寄田晴代

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先日、久しぶりに英語を使って話す機会がありました。

日本にいる息子を訪ねて来たドイツ人とでした。

私の英語というのは、時制だけは間違えたくない、とか、三人称単数の s は忘れたくない、とかいうレベルなので、

とにかく単語並べて笑顔とジェスチャーで乗り切ります。
そして、会話が成立したときは純粋に「通じた!」とうれしくなりました。
昔、韓国語を学び始めた頃の感動を思い出しました。

さて、韓国語会話のクラスで、たまに、全く話そうとしない受講生に出会うことがあります。
恥ずかしいのかもしれませんし、自信がないのかもしれません。その気持ちは想像できると思っています。

そういう気持ちの人を発話できるように誘導し「会話」が楽しいと思ってもらうのには、こちらも力量が問われます。

私は新学期、初めての授業時間には、受講生のことを知りたいのでアンケートを書いてもらうのですが、

学習の動機や目標には「旅行に行っても困らないくらい話せるようになりたい」「字幕なしでドラマがわかるようになりたい」など、

「話す」「聞く」力の獲得を希望する人が「読む」「書く」に比べて断然多いと感じています。

しかし、ガンガン韓国語で発言しようとする人とと、そうではない人がいます。
学習者の性格の違い、と言ってしまえばそれまでですがなんとかしたいではありませんか。

そういうことを、ドイツ人と会話(のようなもの)をするうちに思い出したのです。
そこで、なぜ自分ができもしない英語で恥ずかしげもなく発話できたのか、を振り返ってみると次のような要因が考えられました。

  1. 自分は初対面の人とコミュニケーションを取りたいと思う傾向がある。
  2. その場にいた人たち(日本語母語話者)も英語のレベルが似ていた(たぶん)。他の人がみんな英語の達人だったら恥ずかしくて話せなかったかも。
  3. その場にいた人たちが親しい人たちだった。安心感。
  4. ネイティブレベルに英語を使うのだろうけれど、ドイツ人だから私と同じ非英語母語話者だと勝手に考えて負担感が減った。
  5. 相手が私の変な英語にも聞こうとする態度を示してくれた。
  6. ラジオ講座などで、英語を耳にする機会があった。

この中でも 3.の影響は大きく、教材研究と同じくらい授業の雰囲気作りに心配る必要があると思っています。

6.に関して言えば、真面目に英語を学習しているわけではなく、講師の説明の仕方が面白いので、通勤ラッシュの苦痛緩和も兼ねて聞くようにしているだけです。(難しい用語を使わず、聞くだけでわかるように発音方法や文法のエッセンスを説明してくれるので、どの講座も面白い)

聞いているだけですが、触れる機会が多いだけで「恐怖を軽減してくれる」と感じました。だから、韓国語を学習しながら、上達しない、話せない、と思っている学習者でも、こつこつと触れ続けることの力は大きいと再確認しました。

そして、ドイツ人との会話の後「もう少し真面目に勉強したら私はひょっとしてすごく上手になるのではないか」と妄想する自分に気づきました。

ささやかな経験がやる気につながる過程を久しぶりに体験したわけですが、いちいち分析したくなるのは職業病ですね。

新しい年も良い年になりますように!

通信307 韓国語の読書は大変 幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第307号 (2019年11月11日発行)

韓国語の読書は大変

アイケーブリッジ外語学院 幡野 泉

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昨日、横浜のコリ文語学堂さんにお招きいただき、5月末に出版した翻訳書『無礼な人にNOと言う44のレッスン』に関する講演会を行いました。

コリ文さんは金順玉先生のスクールです。こうして韓国語学校を運営する運営者同士が交流し、仲良くしている姿を学習者に見せられることは、韓国語学習界をみんなで一緒に盛り上げようとしている気持ちが伝わり、とても良いことだと思います。
順玉先生、貴重な機会をいただき、ありがとうございました!

講演はこの書籍の原書『무례한 사람에게 웃으며 대처하는 법』が韓国でベストセラーになった背景、著者の生い立ち、日本女性と韓国女性、キーワードとなった韓国語、そして原書を味わってみよう、という柱で進行しました。

目玉は「原書を味わう」というところですが、仮に韓国語の上級レベルに達しても韓国語の書籍を一作品読む、というのはかなりハードルが高いんですよね。分からない言葉もでてくるし、どうしても日本語のようなスピードで読めないので、億劫になってきてしまうんです。

以前、とある韓国語教授法のセミナーで、著名な韓国語の先生(日本人)が、韓国語のホームページ画面を表示させながら、「韓国人の先生には実感しにくいと思いますが、こうして画面いっぱいに韓国語がびっしりと出てくると、けっこうウッとくるものなんですよ」とおっしゃり、そのとき私は、「あ、〇〇先生のような方でもそう思うのか」と半ば安心したような覚えがあります。

そこで、この日の講演会では、その本の背景を充分に説明した上で、持ち帰ってほしい内容の韓国語の部分だけをピックアップし、日本語訳を付けて、みんなで一緒に両方を読んでみました。

そして、こんなふうに、私なりの考えを伝えました。まず、私の現在の本業は語学学校の経営で、職業翻訳家(例えば週5日、一日8時間以上翻訳に没頭できる人間)ではないと冒頭で伝えてある、ということが前提になります。

「私が一つの文学作品や書籍を翻訳できるくらい熟読したと自信を持って言えるのは、『소나기』と『우리들의 일그러진 영웅』。そして、今回翻訳したこの書籍くらいです。
(ちなみに、ビジネス翻訳ならたくさん経験があります)

ソナギとウリドゥレ~は、語学堂のイルキの教科書に載っていて、授業で読みました。二つとも韓国人なら誰でも知っている本当に素晴らしい作品で、本当に良かったと思っています。
(2作品の解説を簡単に)そして今回翻訳したこの本、実はそんなものなんです。

当校には、一つの作品読むために、プライベートレッスンで先生と一緒に読んでいるという方が何名かいらっしゃいます。そこまでしないと読まないから、読めないから、なんですよね。

皆さんは韓国語の勉強をしていて、上級になると、韓国語の本を読んだ方がいいと言われたり、読んでいる人を見ては自分も読まなきゃと焦ったりするかもしれませんが、韓国語の読書が趣味の方でないかぎりは、なかなか大変なことなので、読み進められないからといって、自分を卑下したり落ち込んだりしないでください。」

以上です。あなたがそんなこと言ってはだめ、原書の読書を勧めないと、と言われてしまうかもしれませんが、あまり気負わずにまずは翻訳書を手に取って、韓国について理解や見聞を深める、そして原書に興味が湧いてきたら原書を味わう、で良いのではないか、と。

参加者の皆さんのアンケートを見ると、私が伝えたかったことを充分くんでくださった反応が伺え、とても嬉しく思いました。

先週末、ロシア語通訳の大御所先生の特別講座がありましたが、先生は「文学作品で通訳訓練はできない。文学作品は、作家が他人は使わない表現を選んで書くから」とおっしゃっていて、なるほど、と思いました。

外国語の文学作品を読み込むことが億劫になってしまうのは、そのような理由もあるのかもしれません。

読書自体は心から薦めたいですし、私も常に一冊は鞄の中に本が入っています。しかし、忙しい社会人が隙間時間で読むには外国語の原書はなかなか手が伸びません……。

恥ずかしながら、プチ暴露でした。

通信306 韓国語に思いをのせて 前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第306号 (2019年11月4日発行)

韓国語に思いをのせて

ミレ韓国語学院 前田真彦

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ミレ韓国語学院では、毎年年末にスピーチ大会を実施しています。

今年で9回目です。
去年は「韓国語学習が私にもたらしたもの」というテーマでした。

あまりに感動的だったので、その後ミレの受講生に同じテーマで投稿を募り、

『生きていくための韓国語』という冊子にまとめました。

https://mire-k.jp/ikiteiku_pdf/

今年のテーマは「私の心に響いた韓国語のことば」です。

12月21日(大阪)、22日(東京)13時~16時で実施します。

審査委員長にイム・チュヒさんをお招きして行います。

今年からオンラインでの出演・参観が可能です。

https://mire-k.jp/20191221osaka/

https://mire-k.jp/20191222tokyo/

スピーチ大会を始めた当初は出演者を募るのが大変で、
なかなか出てくれる人がいなくて、頼み込んで出てもらっているような現状でしたが、
去年ぐらいから様子が変わってきました。出演者が早い段階である程度そろうようになってきました。
今年は、早々と出演者の枠が埋まり、それでも申し込んでくる方がいらっしゃってお断りしたくらいです。

出演する方とは授業の度に少しずつ練習しますが、練習の時からもう感動です。
みなさんそれぞれ「私の心に響いた韓国語のことば」を持っているということです。
そしてそれを語ろうという姿勢があるから、
まだ練習が不十分でも、聞く人の心を動かす力があるのでしょう。

去年あたりから、スピーチの在り方が大きく変わってきたように感じています。

「思いを伝える」スピーチにシフトしているようです。

暗唱や発音も大事ですが、スピーチの中心は「思いを伝える」ことではないでしょうか?

発音の基本もきちんと指導しながら、「いかに心をのせ、しっかりと思いを伝える語りができるか」

に重きを置いて指導していこうと思います。

スピーチ大会は、単に暗唱して上手に発音するというものではありません。

「韓国語で思いを語り」「友の語る韓国語に心の耳を傾ける」という時間にしたいものです。

通信305 バラエティに富む発音 伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第305号 (2019年9月10日発行)

バラエティに富む発音

伊藤耕一

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日本と韓国の関係が、とても残念な状況になっています。

ただ、文大統領の肉声を聞く機会が多く、 「의」の発音が特徴的で耳に残っています。

文大統領は、「의」を発音する時、「으이」のように2つの音を分離して話すことが多いように思います。

「일본으이~」といったような感じです。

私は学校で教わった時、「의」は「에」に近い音で発音することが多いと習いました。

このように発音することもあるのだなと、今更ながら発見したところです。

また、実際に話をしたことのある方で「의」を「으」と読む人がいたことを思い出しました。
その方は「의자」を「으자」と発音していました。

これは個人差なのか地域差なのか、わたくしには認識する力がありませんが、「의」の文字はかなり広い範囲の音を持っているようです。

昔の日本語は「い」と「う」と「え」の区別が地域や人によって相当に違っていたと学んだことを思い出します。

「枝」を「いだ」に近い音で発音したり、「椅子」を「えす」に近い音で発音したり、東北方言に名残があるように「美味しい」を「美味すぃ」と発音したりなど、多様だったそうです。

徴兵制施行後、軍隊の教練で薩摩や長州出身の士官がコテコテの方言で命令しても、動くことができない兵士が相当いたそうで、これはまずいということで国語の教育が共通語で行われるようになったと聞きました。

先日「マイ・フェア・レディ」をテレビで初めて通しで見ました。
ご存じのとおり、英国の下層に属する少女が下層の英語を話すのを上層階級の英語を話せるように訓練するお話です。

“today”を「トゥダイ」、 “Henry” を「エンリ」と発音したり、上品でない言い回しをしたりなのですが、それでも英語を話す人同士ではそれなりに通じるというのをうまく映像にしたなと思いました。

このようにバラエティに富む発音を聞き取ることができて理解できると、とても楽しいものですが、そんな楽しさを教えることができるようにまた勉強したいと思いました。

通信304 続・オンライン授業の可能性 幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第303号(2019年7月17日発行)

続・オンライン授業の可能性

アイケーブリッジ外語学院 幡野泉

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前号の前田先生のメールマガジンですが、同様の内容のものを、YouTubeでも制作されていたのですね。拝見しました!

前田先生のようにYouTubeで授業等を配信している方のお話を少なからず聞きますが、「ものすごく時間がかかる」という話をよく聞くため尻込みしています。

しかし、サラッとこのような動画を配信される前田先生には脱帽です。

前田先生のおっしゃる、オンライン同士の方々だけの授業でなく、通常の授業に、オンラインの方が加わる、という方式を、

当校でも最近行いました。ロシア語の入門講座だったのですが、通常の東京の教室に、関西の方が加わりました。

音声や顔の見え方だけでなく、フラッシュカードの見せ方や板書の書き方については、前田先生のおっしゃるように、

工夫しなければならない点は多かったですが、「意外と、いける」という実感を得ました。板書は見えにくそうだったので、システムからテキストを送信したりしました。

終了後に、「画面では講師の口元までよく見えないことがあり、慣れない(ロシア語の)発音だったのでカタカナで補助があると良かった」と言われましたが、そのようなお声をもとにどんどん改善していきたいと思いました。

プロジェクターでオンライン参加の受講生を映し出すのは良い考えです。当校でも試してみたいと思います。

文明の利器を使って、いろいろ工夫していければいいですね。

「ちょっと苦手……」なんて言ってられません!

通信303 オンライン授業の可能性 前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第303号 (2019年7月8日発行)

オンライン授業の可能性

ミレ韓国語学院 前田真彦

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ミレは「韓国語学習の地方較差をなくす」というコンセプトを持って日々活動しています。

大阪・東京の教室授業以外にも、通信添削・動画の配信に力を入れてきて、
最近はオンライン授業にも積極的に取り組んできています。

オンライン授業とはPCやスマホ・タブレットなどの通信機器を活用して、
オンライン上で、複数の(あるいは個人の)受講生を対象に授業を実施するものです。
今学期(2019年7月)からは、教室授業にオンラインで混じってもらうという取り組みを始めたばかりです。

教室+オンライン計4人で、実施しています。
今までのミレのオンライン授業は、オンラインだけで実施してきました。
もちろんそれはそれで教育効果もあり、いろんな発見もありました。

今回新しいのは、教室授業にオンラインで参加するという形式をとっていることです。
オンラインで参加した受講生も、教室生と全く対等に指名し、発言し、音読し、活動してもらいます。

こういうコンセプトで授業を始めると、いろいろ今まで見えなかったものが見えはじめ、授業の活性化につながっています。

例えば、机の配置。私と受講生が横並びになって、モニターに向き合ったり、
オンライン受講生をプロジェクターで教室の横の壁に写したり、それだけで教室の空気が変わります。

板書の仕方も、より分かりやすく太く大きく書くようになりました。
ほんのわずかなことですが、授業の活性化につながるように感じています。

これからも、「教室授業にオンラインで参加する融合型の授業」を模索し、
いろんなノウハウを蓄積していきたいと考えています。

この内容を、動画で語りました。ご覧ください。

https://youtu.be/OTN9Oiw1Wwo