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【週刊ハンガンネット通信】第552号 (2025年10月6日発行)
「検定試験体験記」加藤慧
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先日、学習中の台湾華語の検定試験である華語文能力測験(TOCFL)を受験し、目標だったA2レベル(基礎級)に合格することができました。
今回試験を受けようと決めたのは、コロナ前からだらだらと続けている台湾華語の学習にけじめをつけ、そろそろ初級を脱出したいと思ったことがきっかけです。レッスンを受けただけで満足するのではなく、本腰を入れた勉強がしてみたかったのです。
TOCFLはA1/A2/B1/B2/C1/C2と六つの級に分かれているので、恥ずかしながらちゃんと調べもせず、TOPIKのイメージでA2=初級後半(TOPIKとかHSKの2級くらい)のつもりでいたところ、なんとB2レベルで、HSKの最上級である6級相当とのこと。つまりA2はほぼHSK3~4級相当ということになります。(試験の趣が異なるため一概には比べられないので、おおよその目安としてですが)
当初の想定よりも目標が高いことにあとから気が付きましたが、学習歴的にはそんなに無理のあるレベルでもないはず……と気合を入れて取り組みました。
行ったことは主に、初級レベルの単語帳に取り組む、レッスンで先生と一緒に公式模擬試験を解く、Youtubeの解説動画を流す、などです。
日本人学習者の場合、漢字というアドバンテージのせいで、リーディングとリスニングでだいたい一級分ほどの差ができてしまうこともあるそうなので、徹底的にリスニング重視で対策を行いました。
このような集中的な学習は、講師としてもかなり勉強になりました。特に私の場合、上級者としての学習期間が長くなるほど、初級の頃の地道な学習の方法や大切さを忘れがちでした。それを思い出し、また学習のために検定試験がいかに効果的なものであるかが、身をもって体験できたと思います。当たり前の話がほとんどかもしれませんが、特に重要だと実感した四点について書きたいと思います。
まずは単語帳です。私の場合、上級単語を覚える際には単語帳の利用がとにかく苦手で、教材のなかで自然に出会った単語でないと覚えられないタイプだったのですが、初級の頃はそうやって出会える単語の数がそもそも圧倒的に少ないので、とにかく単語帳を繰り返してどんどん触れていかないとはじまらないのだとわかりました。自然な出会いは大切にしつつ、機械的に出会う母数を増やしていくことが大切だと思います。(最近の言葉で言うなら、자만추 と 인만추 の両方が必要、ということになるでしょうか)
次に、紙に書くことです。韓国語でパダスギの効果は実感していたので、音を聞いて、あるいは漢字を見て注音記号で書き出す練習を多く行いました。音ベースの学習はもちろん重要ですが、そこに加えて紙に書くことで頭に残りやすいのもまた事実だと思います。机に向かっての勉強自体を久しぶりに行いましたが、タイピングやタブレットへの書き込みよりも、実際にノートに書いたほうが定着する感覚がありました。
そして三つ目は、SNSでの勉強記録です。いままでは勉強垢などを見ていても、こんなにノートをきれいに書けないしなぁ、とか、こんなに机が片付いていないし、とか、そもそも更新のためにSNSをしている時間がもったいないのでは?なんて思ってしまっていたのですが(ごめんなさい)、まさかこんなに大きなモチベーションになるとは!いいねやコメントが励みになるのはもちろん、自分の勉強の様子が可視化されてたまっていくことでやりがいを感じますし、疲れている日でも、更新もしたいし少しでいいから机に向かおう!という気持ちになれました。これは本当に驚きでした。
最後に、これも言うまでもないことかもしれませんが、大人の外国語学習はスキマ時間がカギだということです。仕事の空き時間はもちろん、家事の合間や移動中、入浴中や寝る前のストレッチ中などに、とにかくずっと何かしらの音声を聞いているようにしていました。それ以外にも、普段SNSをだらだらと見ている時間を削れば、時間は意外と捻出できるものだなと思いました。
学習を始めた当初から、第三の外国語の学習者になることが語学講師としていかに有用かは感じていましたが、今回は検定試験という新たな経験をしたことで、またひとつ大きな学びを得た気がします。近いうちに、旅行を兼ねたプチ留学にも挑戦する予定です。中級レベルでは、また新たな壁が待ち受けていることでしょう。そこでも自分なりの学習方法を模索し、それを指導にも活かしていきたいです。
