通信509 「ハングルの歴史」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第509号 (2024年11月5日発行)

「ハングルの歴史」
伊藤耕一
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11月4日は私の通信の当番ですが、実は何を書こうか迷っていました。
トピックを探そうとウェブサイトを見ていると、こんな文字を見つけました。
「今日の歴史(11月4日)1933年:朝鮮語学会がハングル正書法の統一案を発表」

少し驚いたのは、1933年にこのような発表があったという事実ですが、その内容にも興味を惹かれました。どのような統一案だったのか知りたくなり、ChatGPTに尋ねてみました。

1933年の朝鮮語綴字法統一案は、朝鮮語の表記法を統一するための提案です。
この案は、当時の朝鮮半島で使用されていたさまざまな綴り方や表記法を整理し、標準的な綴字法を制定することを目的としていました。

この統一案は、主に以下の点を重視しました。
1.音韻の正確な反映
2.簡便さ
3.使用の普及

さらに「1933年の朝鮮語綴字法統一案では、具体的にはどのように、音韻を正確に反映させようとしたのですか?」と尋ねてみました。
その回答は次のとおりです。

1933年の「朝鮮語綴字法統一案」は、韓国語の綴りを標準化するために策定されました。
この統一案は、それまで不統一で曖昧だった表記法に対して、特に以下の方法で音韻を正確に反映させることを目指しました。

1. 表音主義に基づく表記
音声の違いを文字に正確に反映させる「表音主義」に基づく表記が採用され、音声をなるべく忠実に表記しようとしました。
これにより、発音に合わせた形での標準的なつづりが定められ、韓国語の語彙がより一貫した形で書かれるようになりました。

2. 濃音と激音の区別
濃音や激音のような韓国語特有の発音も明確に区別されるようにしました。
これにより、単語の意味が混同されないようにし、音韻体系に沿った正確な表記が可能になりました。

3. 終声規則の整備
音韻的に異なる終声(パッチム)の音を統一的に反映させるため、終声に使用できる文字を「ㄱ、ㄴ、ㄷ、ㄹ、ㅁ、ㅂ、ㅇ」に制限しました。
これは、口語の発音と整合性を持たせつつ、書きやすく統一的な表記を目指したもので、現代の綴字法にも影響を与えています。

4. 表記の簡略化と一貫性の確保
「同音異義語の表記法」の整備により、同じ発音を持つ異なる単語においても、文脈に基づいた表記の統一が図られました。
これにより、発音が同じでも意味が異なる単語の区別がしやすくなり、言語使用における一貫性が向上しました。

5. 漢字語のハングル表記
当時は漢字語の使用も一般的でしたが、この統一案では漢字語の表記をハングルに置き換え、表音的な表記で綴ることが推奨されました。
これは朝鮮語の発音を尊重した表記法に寄与し、漢字を理解しなくても発音から意味を把握しやすくなるよう工夫された点です。

短時間で調べて全てを理解するのは難しいのですが、次の2点は何となく理解できたように思いました。
・終声に使用できる文字を「ㄱ、ㄴ、ㄷ、ㄹ、ㅁ、ㅂ、ㅇ」に制限しました。
⇒これは「発音の制限」のことかと思いましたが、昔の韓国語はもっと多様な終声の発音があったということでしょうか。
⇒長野県人は「を」の文字を「Wo/워」と今でも日常的に発音する傾向がありますが、このような多様性があったのかなと想像しました。
・この統一案では漢字語の表記をハングルに置き換え、表音的な表記で綴ることが推奨されました。
⇒この「表音的な表記」のおかげで、漢字語の音を耳にした時に、その音を頼りに元の漢字を類推できるのではないかと思いました。

ふと目にした記事でしたが、もう少し詳しく知ってみたいとも思いました。
詳しくご存じの方がいらしたら、是非教えてください。

通信508 「白頭山に行ってきました!」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第508号 (2024年10月28日発行)

「白頭山に行ってきました!」
アイケーブリッジ外語学院 幡野 泉
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9月に、以前から行ってみたかった中国・吉林省の延辺朝鮮族自治州を訪れました。食文化を中心とした朝鮮族文化を楽しみ、尹東柱の生家やお墓を訪れ、そして白頭山で陽の光を浴びて輝く天池を見てきました。

濃厚な数日間について、ブログにまとめています。
https://ameblo.jp/ikbridge-h/entry-12868855538.html

韓国・韓国語関連業界の方にお会いするたびに、「行ってきたんですよぉー」と、いわゆるドヤ顔?をしていますが、先日、韓国のとある新聞社の日本駐在員の方が「金剛山に行ったことがある」とおっしゃり、それには「負けた」と思ってしまいました。いや、勝ち負けではないのですがね(笑)。

ことわざにも出てくる金剛山、いつかこの目で見てみたいものです。

延辺では、延辺日中文化交流センターというところを頼り、アテンドをしていただいたのですが、このガイドの方とは本当にいろいろ語り合いました。

延辺から韓国、特に大都会ソウルに出稼ぎに行く人は多く、そのためか、韓国から来る観光客の方は、延辺に対して豊かでないというイメージを持つ人も少なくなく、来る人来る人、そのように言うので心を痛めているとおっしゃっていました。

私も延辺に行くと言うと、韓国・韓国語業界の方は冒頭のような反応をして下さる方が多いのですが、一般的には「それどこ?」から始まります。中国という国は55の少数民族が~、から始まり、朝鮮族の解説をし…、そして、中国と北朝鮮との国境であり、ロシアにも近いと告げると、「そんな危険なところに」「あやしい」となってしまいます。

日本での報道を考えると分からなくはないですが、延辺のガイドさんも「見たこともないのに、そんなふうに言わないで欲しい」とおっしゃっていました。本当にそうだな、と思います。

これからも、自分の目で見て、判断したことを信じよう、どんなことにも偏見を持たないよう心がけようと再度心した滞在になりました。

10年前になりますが、とある媒体で添付のようなコラムを書きました。
(題名「もう少し大らかになって、韓国語も「世界語」に.pdf)
その媒体が廃止になってしまい、いまどこにも載っていないのですが、以前、強く思ったことを書きました。今回のテーマに沿っているので、お読みいただけると嬉しいです!

通信507 「初任給」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第507号 (2024年10月14日発行)

「初任給」
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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日本の韓国語教室でよく使われている教材の「初級Ⅱ」の練習問題に
한국에서는 첫 월급을 받으면 부모님께 내복을 사 드려요.
というのがあり、生徒さんから「先生これは本当ですか?」の質問を受けました。

そこで複数の韓国人に初任給をもらったら両親に何を買ってあげるのかを聞いてみました。

「내복 を買ってあげますよ。ただ昔のようなものではなくデザインの良いものを買ってあげますね。」40代

「속옷 を買ってあげることが多いです。」30代

「내복 ですね。私は息子にも내복 を買ってくれるように言いましたよ。」40代

「初任給で両親にあげるものは용돈 ですかねえ。自分は旅行をプレゼントしました。え? 내복 ですか? そんなものを贈るなんて聞いたことがありません。」20代 釜山出身

「내복 を買ってあげるのが文化ですね。え? 내복 を贈る文化を知らない韓国人がいるんですか? もしかしたらその人は南のほうの人じゃないですか? 暖かいからそういう文化はないのかもしれませんね。」30代 ソウル出身

「今は용돈 でしょうか? 昔は빨간 내복でしたよ。」70代

「내복 を買ってあげるのがテレビドラマの影響で流行ったんですよね。내복 はテレビドラマの影響です。今は용돈 とかが多いのではないでしょうか。」30代

한국에서는 첫 월급을 받으면 부모님께 내복을 사 드려요.
は本当だったでしょうか。

通信506 「한국어 중상급자가 어휘력을 늘리기 위한 방법 두가지」김현근

【週刊ハンガンネット通信】第506号(2024年10月7日発行)

「한국어 중상급자가 어휘력을 늘리기 위한 방법 두가지」
미리내 한국어교실 대표 김현근
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안녕하세요. 지난번 498호에는 실제 수업에서 어휘를 늘리기 위한 방법에 대해 이번에 말씀드리기로 했는데 이번에 그 내용을 소개하고자 합니다.

미리내 한국어 교실에서는 작년 8월에 『 hanaの韓国語単語〈上級編〉ハン検1・2級レベル』를 펴낸 바 있습니다. 한국어 중상급자를 위한 한글검정 1,2급 대책을 위한 단어장입니다.

어휘 늘리기 위한 첫번째 방법으로는 이러한 단어장을 가지고 시험에 응시하도록 하고 열심히 외우는 방법입니다.

시험이라는 계기로 평소보다 집중해서 어휘를 암기하게 되기 때문입니다. 특히, 한글검정 시험을 보기로 하고 공부를 한다면 어휘를 비약적으로 늘릴 수 있습니다.

미리내에서 하는 한글검정1,2급 강좌에서는 이 단어장의 범위를 지정해서, 수강생들에게 어휘와 예문을 미리 익히도록 한 뒤 실제 시험 문제와 비슷한 형식의 테스트 문제를 만들어 수업 시간에 해설을 하는 방식으로 진행하고 있습니다.

어휘를 단순히 옮겨 적는 등의 암기만 해서는 머릿속에 잘 남지 않기 때문에 문제 풀이 형식으로 하고 있습니다. 그렇게 하면 더 오래 기억에 남음과 동시에, 시험에 익숙해질 수 있기 때문이지요.
물론, 이 단어장 교재는 시험에 관심이 없는 학생들에게도 권하고 개인레슨 수업 시간에 활용을 하고 있습니다. <한글검정1,2급 단어장>을 공부하면 실제 드라마에 나오는 표현 및 네이티브가 일상생활에서 쓰는 표현을 상당히 익힐 수 있기 때문입니다.
다만, 비슷한 성격의 카테고리에 속하는 단어와 예문이 쭉 나열되어 있는 형태이기 때문에 혼자서 하기에 지루할 수가 있습니다.

따라서 어휘를 늘리는 두번째 방법으로 효과적이고 재미있는 방법으로 권하는 것은 소설 읽기입니다.
소설 낭독은 개인 레슨에서도 권하고 있고, 시즌별로 모집하는 그룹 레슨에서도 진행하고 있습니다.
강사가 권하는 소설은 읽는 재미를 위해 한국에서 인기가 있으며 화제성이 있는 것입니다. 그래야 재미에 이끌려 끝까지 읽을 수 있습니다.

소설 수업을 진행해 보면 굳이 한검1,2급 단어장을 어렵게 외우지 않아도 그에 준하는 어휘를 자연스럽게 익힐 수 있다는 커다란 장점이 있습니다.
예를 들어보겠습니다. 다음은 베스트셀러로 유명한 <불편한 편의점>에서 뽑은 내용의 일부입니다.
불편한 편의점을 운영하는 주인공이 파우치를 잃어버렸다가 되찾는 과정을 묘사한 부분입니다.

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그때였다. 세 명의 낯선 사내가 도시락을 먹고 있는 그를 향해 달려들었고, 염 여사는 놀라서 다가가던 발걸음을 멈출 수밖에 없었다. 세 명의 하이에나 같은 사내들 역시 노숙자임이 분명했는데, 그들은 도시락 사내를 누르고 뭉갠 채 무언가를 뺏기 위해 안간힘을 써댔다. 그녀는 주위를 돌아보며 발을 동동 굴렀지만, 지나는 사람들은 노숙자들의 흔한 다툼으로 여기고 힐끔대기만 할 뿐이었다. 사내는 먹던 도시락을 떨군 채 온몸을 공처럼 웅크리고 방어했다. 하지만 결국 놈들에 의해 목이 졸리고・・・・・・ 팔이 들리며 ・・・・・・ 지키고 있던 물건을 빼앗기고 말았다. 안절부절못하며 살피던 염 여사의 시야에 놈들이 빼앗은 물건이 확 들어왔다. 자신의 분홍색 파우치였다!
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굵게 표시한 어휘 및 표현은 <한글 검정 1,2급 도우미>에 있는 것들입니다.
발췌한 어휘는 한글 검정 1,2급에 해당하는데 일본어로 의미를 적어 보면 아래와 같습니다.

달려들다 襲い掛かる
발걸음을 멈추다 足を止める
뭉개다 押しつぶす、もみ消す
안간힘을 쓰다 もがく、あがく
발을 동동 구르다 途方に暮れる
다툼 争い、もめごと
힐끔대다=힐끔거리다 チラチラ見る
떨구다 落胆する、落とす
웅크리다 しゃがむ
목이 졸리다 首を絞められる
안절부절못하다 そわそわする、落ち着かない

시험에 나올 법한 이런 어휘가 발췌한 소설 속 문장의 20%는 차지하고 있습니다.
이런 어휘는 단어장을 통해서 외울 수도 있겠지만, 소설을 꾸준히 읽음으로써 스토리와 함께 외울 수 있고 그렇게 하는 편이 더 기억에 잘 남을 것입니다.
소설 낭독 수업은 한국어 레벨이 중상급 이상 되는 학생들에게는 만족도가 높았습니다.

물론 초급이나 중급자가 긴 한국어 소설을 읽기는 어려울 겁니다. 그렇지만 TOPIK6급 이상 따고 나서 더 이상 어떻게 공부를 해야할지 모르겠다고 하시는 분들에게 인기 있는 한국어 소설을 같이 읽고 주어진 내용을 요약하고 토론하면, 어휘 및 회화 실력 즉 두 마리 토끼를 모두 잡을 수 있는 좋은 기회가 될 거라고 생각합니다.

이런 소설 수업을 계속 하기 위해서는 물론 학생들이 흥미를 가질 수 있는 재미 있는 한국 소설이 계속 나와 줘야겠지요.
그러기에 한국에서 좋은 소설이 계속 많이 나오기를 기대하고 있습니다.

通信505 「酷暑の夏に」田附和久

【週刊ハンガンネット通信】第505号 (2024年10月3日発行)

「酷暑の夏に」
田附和久
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はじめに、配信日が遅くなりましたことをお詫び申し上げます。

2024年の夏は、昨年に続き、世界的に観測史上最高の暑さを記録しました。日本も酷暑の日が続きましたが、韓国も폭염, 열대야, 이상고온, 역대최고等の言葉が連日ニュースに溢れていました。

私はこの夏2回渡韓し、それぞれ1週間ほど現地に滞在しましたが、8月上旬にはソウルで連日夕方、凄まじい게릴라성 호우に遭いました。地球温暖化の影響によって、東京も、ソウルも、夕立ちや소나기といった風流な言葉で表現するのはあまり相応しくない、東南アジアのスコールのような集中豪雨が降る地域になってしまったようです。

9月には青少年の国際交流イベントに参加する大学生を引率して済州島を訪ねました。アジア諸国から青年たちが集まって開催されたイベントのテーマは「平和」と「気候変動」でした。平和に関しては、済州4・3平和記念館や島民虐殺の現場となった洞窟跡等をめぐり、済州島4・3事件についての学びを深めました。気候変動に関しては、ワークショップを通して気候変動対策の必要性や気候正義実現のために何が必要かといった内容への理解を深めたほか、現地の市民が企画した環境保護や気候変動対策を訴える街頭デモにもいっしょに参加しました。

デモは、子どもから高齢者まで、文字通り남녀노소が集い、ドラム隊や풍물패も加わった賑やかなパレードでした。日本から参加した大学生たちは、道行く人たちも楽しそうに見物しているお祭りのような雰囲気に日本のデモとの違いを感じ、とても驚いていました。

日本も、韓国も、近年、殺人的な猛暑や異常気象に伴う災害の増加等、気候変動の影響を強く受けている点では共通していますが(地震に続く豪雨で被害を受けた能登半島の方々に心からお見舞い申し上げます)、気候問題への関心は、両国ともまだそれほど高まっていない印象を受けます。しかし、そのような中でも、この問題に関心を持った両国の青年たちが、国の違いをこえて、英語や互いの言語を交えて語り合いながら、共同してできることを考え、実行しようとしている姿を見て、未来への大きな希望を感じました。

私自身も、若い世代、そしてまだ見ぬ未来の世代にこれ以上迷惑をかけることにならないよう、탄소중립 実現のために意識を変え、生活スタイルを見直そうという気持ちにさせられました。まずは、この夏搭乗した飛行機で排出してしまったCO2の分だけでも別な方法で削減する努力を始めてみようと思います。

通信504 「スマホのハングル入力方法 どちらが主流?」ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第504号 (2024年9月24日発行)

「スマホのハングル入力方法 どちらが主流?」
HANA ペ・ジョンリョル
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小社が運営している国語学習のサイト「hana+(ハナタス)」で常に多くアクセスを集めているのが、「ハングルの入力方法徹底解説! スマホで韓国語を打ってみよう」というページです(https://www.hanatas.jp/study/3273/)。

まったく大したことは書いてないのですが(私が執筆したのでそう言えます)、私のパソコンで「スマホ/ハングル入力」でグーグル検索しても最上位に表示されます。

このページでは、スマホの言語設定方法を説明したのち、쿼티(QWERTY、つまり두벌식=2ボル式のキーボード入力)と천지인(天地人)という二つの入力方法について説明しています。天地人方式についてここで詳しく説明はしませんが(知らない方は上記記事ご参照ください)、もともとサムスンの피처폰(ガラケー)特有のものだったかと思います。

私も以前、韓国携帯を1台持っていて天地人方式でハングルのショートメールを打っていました。ガラケーの10キーでハングルを入力するには優れた方法だと思いましたし、感心もしました。しかし片手の親指入力が得意ではないので、iPhoneを使うようになるとキーボードの両手親指打ちに移行しました。しばらくそれを続けたのですが、今度は指が大きすぎて打ち間違いが多く、結局また天地人に戻っています。

最近社内でその話題が出た際に、小社の30代社員も「自分は以前から天地人方式。でも周りの韓国人の友達からずいぶん珍しがられる」と言います。彼女の周辺の友人はみな2ボル式で、まるで珍しいものを見たように扱われるというのです。

たまたま小社を訪れた韓国の60代男性、40代男女にも聞いてみたところ、3人とも2ボル式使用者で「天地人は昔のガラケー時代のもの」と言い切ります。

気になってネットを検索してみると、「天地人の総本山」サムスン電子も、今年ついに天地人に代えて、QWERTY方式を自社スマホのデフォルト設定にしたというニュースがありました。

https://www.chosun.com/economy/tech_it/2024/03/12/42EQ3UVN3VCZLGTQLT4V6YPG3U/

さらに、あるサイトでは「天地人を使うのは아재」「天地人は아재判別機」などと、若い世代のネタにもなっていました。もう世宗大王が草葉の陰で悲しんでいるに違いありません。

私や小社30代社員のようなガラケー体験世代はともかく、Z世代においては絶滅したのではないかと心配になってきました。そこで現在韓国の大学院に通っている小社の元バイトの女性(20代)に頼んで、韓国に住む彼女の周囲の韓国人はどうか聞いてもらいました。

すると、20代の男女42人に聞いて返事をくれました。結果は、キーボード入力が34人(81%)、天地人が8人(19%)とのこと。若い世代でも天地人を使っている人はいるんですね!

天地人の欠点として、キーボードに比べて打つ回数が多くなることが挙げられますが、実はiPhoneはフリック入力ができるので、その欠点をある程度カバーすることができます(フリック入力についても知らない方も上記ご参照ください)。

余談ですが、小社で今働いているアルバイトの人(1年ほど韓国の学部課程に通ったことがある日本人大学生)に聞いたところ、天地人方式自体を知りませんでした。そこで天地人方式の原理を教えて、フリックによる入力方法をデモしてあげたところ、「これはすごく便利そう!」と大いに興味を示していました。

通信503 「『韓国語の勉強法』を特集して分かったこと」浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第503号 (2024年9月16日発行)

「『韓国語の勉強法』を特集して分かったこと」
HANA 浅見綾子
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9月20日発売の『韓国語学習ジャーナルhana Vol. 53』で、「大人のための韓国語勉強法」を特集しました。
https://www.hanatas.jp/books/hana/14153/

今回の特集にあたり、勉強法に関する書籍やブログ、YouTubeなどを細かく調査しました。普段から「勉強法」に関心があり、定期的に関連書籍を購入したり、ネット上の記事も興味深く読んだりしていましたが、今回ほど徹底して調べたのは初めてで、新しい発見がいくつもありました。

「勉強法」に関するコンテンツは、語学の上達や試験の合格を目指すものが中心で、趣味として語学を楽しみながら続ける方向けのものは意外と少ないことがわかりました。

YouTubeでは、韓国語上級者が自分の経験をもとにした勉強法を紹介する動画が多く見られましたが、中には「◯◯してはいけない」「◯◯するな」と断定的な口調で語られるものもあります。たとえば、『単語は書いて覚えてはいけない』『学習書はたくさん買わないほうがいい』などです。学習の目的は人それぞれなので、『◯◯してはいけない』と断言するのではなく、参考として提示されるとより多くの方に役立つのではないでしょうか。

また、「教室に通わず」「教材を使わず」に韓国語を習得したことが、あたかも教室や教材を活用している人よりも優れているように語られる場面もあり、少し違和感を覚えました。

ここからは、多くの方が提唱している勉強法をいくつか紹介します。
・一度に長時間勉強するよりも、分散して短時間ずつ取り組むほうが効果的。
→3時間一気に勉強するよりも、1時間を3回(3日間)勉強する方が効果がある。
・学習仲間は重要。
→モチベーションアップにつながり、学習仲間がいることで、勉強を続けることを諦めないようにする抑止力になる。
・動きながら勉強すると効果大。
→ウォーキングしながら単語を覚える、皿洗いしながらシャドーイングなど。
・勉強は「環境」がかなり重要。
→机を片付ける、カフェで勉強するなど、環境づくりが大切。

まもなく発売となりますので、ぜひお手に取ってご覧ください。

通信502 「〝入門〟の定義」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第502号(2024年9月9日発行)

「〝入門〟の定義」
加藤慧
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少し時間が経ってしまいましたが、去る8月24日(土)にハンガンネット納涼会に参加しました。

第二部では教授法がテーマのブレイクアウトルームで、先生方や韓国語教育に関心のある学生さんたちとお話させていただきました。
そのなかでも特に印象的だったのは、入門者のレベルが上がっているという話題です。

韓国語に興味を持つ人のなかには、本格的に学ぶ前にハングルをまず自力で習得しようと考える人が少なくないと思います。
15年前の私もそうでしたが、当時でさえインターネットで検索しただけでハングルの読み方だけなら学ぶことができました。
ましてや今はYouTubeなどで無料の解説動画があふれており、すでにハングルは読め、ある程度の単語は知っている段階からのスタート、という入門者も少なくない印象です。

そんななかでも集団授業では足並みを揃えるしかありませんから、冒頭で毎回その旨について言及し、すでに知っている人もゼロから学ぶので復習のつもりで聞いてほしいと声がけしています。
すると授業後には既習の学生でも「一人で学んでいたときにはわからなかった発音の違いが理解できた」といった反応をくれます。

さきに挙げた豊富な無料コンテンツで、独学が十分可能な今だからこそ、講師が与えられる付加価値はこの発音をはじめとしたコツの伝授やフィードバックになってくるのだと思います。
(フィードバックについても音声認識アプリなどで可能な時代ではありますが)

そのうちすでに「読める」学生の方が多くなる日も来るのか、もしそうなったら「入門」の定義や授業の導入も考え直さなければならないのだろうか、などと考えるきっかけになりました。

通信501  「マレーシアから帰国しました」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第501号(2024年9月5日発行)

「マレーシアから帰国しました」 
伊藤耕一
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先月お盆前にマレーシアから日本に戻ってきました。
マレーシア滞在は2年8ヶ月となりました。

私のマレー語が最終的にどうなったか、報告したいと思います。
自己評価は「3歳児レベル」。その心は「自分の言いたいことは話せるようになったが、相手の言っていることは分からない時もある。」こんなところです。
最初は全く聞き取れなかったのが、体感的には半分くらい聞き取れるようになり、聞き取れない単語は類推することで全体の意味は何となく理解できるようになりました。
品詞ごとに分析してみると、こんな感じです。

語順
・英語の語順に似ているので、頭の中で「英語⇒マレー語」と変換すれば、初歩的な表現であれば、だいたい通じます。「日本語⇔韓国語」の関係に似ています。

発音
・ほぼローマ字読みですが「E」は「에」または「으」発音するのですが、「으」と発音することが多いので「E」は「으」と発音しておけば無難です。
・「A」は語末に来ると「으」と発音する場合がありますが、個人差もあり「아」と発音する人も多いので、「아」と発音しておけば良いでしょう。
・韓国語のパッチムのように語尾の子音は内破音になるので、韓国語学習者にはアドバンテージがあります。(ただし母音との連音はない。)
(例)Sedikit(少し):スディキッ、Selamat pagi(おはよう):スラマッパギ、Jempa esok(また明日会いましょう):ジュンプエソッ
・抑揚とアクセントは英語ほどハッキリしておらず、日本語程度の抑揚とアクセントだと思っています。
・マレー語はインドネシア語と似ています。マレーシアは英国の、インドネシアはオランダの植民地になって以降、それぞれ英語由来、オランダ語由来の単語が持ち込まれ、違いが出て来たそうです。インドネシアでは英語が通じにくく、私のたどたどしいマレー語を話すとむしろ意思疎通できて喜ばれました。

名詞・代名詞
・これ、それ、私、あなた、かれらといった代名詞は覚えました。
・見たり聞いたり食べたり飲んだりした名詞は覚えました。
・普通名詞は、あいさつやごく日常的な名詞(時間、買い物、旅行、仕事で使う一部の単語)は覚えましたが、覚えたのはせいぜい数十かと思います。
・語彙を増やすには「学習(学校に通ったり、テキストを読んだり)」が必要ですね。生活と仕事を通じてのみで覚えるのには限界があります。

動詞・助動詞・形容詞・副詞
・こちらも、あいさつやごく日常的な単語は覚えましたが、やはり語彙数は合計で数十かと思います。
・動詞は活用(過去形や複数形)がなく、助動詞と副詞の併用で時制や可能などを表現するので原形だけを覚えるだけで良いのはメリットです。
(例)Selamat datang:いらっしゃい(現在)、Saya datang ke Malaysia semalam.:私は昨日マレーシアに来ました(過去)、Dia akan datang esok.:彼は明日来る予定です(未来)
・形容詞は名詞の後ろから修飾することに注意が必要です。
・副詞はどの位置に入れてもほぼ通じるのであまり気にしないことにしました。
・名詞の前に「Ber」を付けると動詞になるというジョーカーのような接頭語があり、これには助かりました。
(例)Bahasa:言語⇒Berbahasa(ブルバハサ):話す、Cuti:休暇⇒Bercuti(ブルチュティ):休む、など
・文章や単語の最後に「ka?」付けると疑問文になります。
(例)OK ka?:OKですか?、Understand ka?:わかりましたか?

関係代名詞
・「yang」という関係代名詞を使うと英語と同様に文章をつなぐことができます。
・Di Jepun, saya junpa orang yang saya jumpa di Korea.(日本で、私は韓国で出会った人と会いました。)

マレー語は全体としては比較的習得しやすい言語だと思います。
当地で外大マレー語学科出身の方に大勢会いましたが「文法の授業は簡単で、大学1年の半分で終わってしまって。ロシア語学科に行かなくて良かった。」とおっしゃる方がいました。
私も「韓国語の文法は『日本語とほぼ同じだから、分かりますよね?』と先生に言われて軽く流されることがよくあった。」と言うと、「お互い良かったね。」などと返されたりもしました。

本当はあと数年いたかったのですが、こればかりは私の希望も叶わず、断腸の思いで日本に戻って来ました。
最後の2ヶ月は頭の中での「英語⇒マレー語」変換ができ始めた頃で、あと半年あればなあとも思っています。
マレー語は習得しやすくインドネシア語に近いので、母語話者として2億人くらいの人とコミュニケーションできるという、日本語や韓国語を超える部分がある言語だと思います。
成果の出やすい第3外国語としてもお薦めできます。

将来は花粉症から逃れるために、あの時期にマレーシアで過ごせるようになればいいなと個人的には思っています。
とても良い国ですので、皆さんも機会があれば、是非マレーシアを訪れてみてください。