通信500 「ハンガンネット 納涼懇親会(8/24)に参加しました」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第500号 (2024年8月26日発行)

「ハンガンネット 納涼懇親会(8/24)に参加しました」
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉
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先週土曜、ハンガンネット 納涼懇親会に参加しました。
ご参加くださった先生方、どうもありがとうございました。

第一部はハングル検定1級複数回合格などのカリスマ学習者2名を
ゲストにお招きし、阪堂千津子先生主導でいろんなお話を伺いしました。
どのように学習されたか、理想的な教室・先生は、これからの韓国語
学習界は…など、いろいろなお話をお伺いし、すごいなぁ!と思ったり、
身につまされたりなど、多くの気づきを得られました。

第二部は事前に寄せられた悩みなどから分科会を設定し、ルームに
分かれて自由に話し合う会としました。ざっと、
・学習者ルーム
・教授法
・教室運営、広報
・阪堂先生とよもやま話
この4つですね。
私は講座運営・広報の分科会に参加し、これから韓国語教室として
やっていこうかという方の話を聞きながら、自身が講座を立ち上げた
ときのことをいろいろ思い出しました。

アイケーブリッジ外語学院2004年に立ち上げたときはメルマガ
ブームでした。今のような様々なSNSや動画配信サイトなどは
なかったと記憶しています。

友人に広報の専門家がいて、「メールマガジンを使って、そこに
韓国語に興味がある人向けに役に立つ韓国語の記事を書いて、
最後に何か講座の宣伝を載せたらどうか」と勧められ、
「知ってトクするシゴトの韓国語」というメールマガジンを立ち上げ
ました。すると、続々と読者が増え、講座説明会を設定したところ、
多くの方が参加してくださり、目標の「受講生30人」ぴったり
くらいで講座をスタートさせることができました。

ただこの30人のうち、10人は私の以前からの知り合い・友人でした。

何か商売や事業を始めるとき、「知り合いや友人には頼りたくない、
関係がぎくしゃくしてしまうから」と考える方は少なくないと思います。

しかし、私が会社を立ち上げるときに参加したセミナーで、講師が、
「近くの知り合いがあなたの商品を買わなくて、だれが(得体のしれない)
遠くのあなたの商品を買うと思いますか?」とおっしゃったのです。
そう、最初の立ち上げ時は、知り合いや友人を大いに頼りなさい、
ということですね。

この話をしかけたときに、分科会が強制終了していまいましたので
ここに書きました(笑)。

他の分科会がどうだったか気になるところですが、ぜひまた、
韓国語の先生方とお目にかかり、いろんなお話ができたらと思っています。
今回、参加できなかった先生方におかれましては、ぜひ次回、
お目にかかりましょう。

通信499 「YouTubeショートとTikTok――視聴者が違う」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第499号 (2024年8月19日発行)

「YouTubeショートとTikTok――視聴者が違う」
ミレ韓国語学院 前田真彦
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『発音変化1000本ノック』というショート動画(60秒まで)シリーズの配信をYouTubeで始めました。今朝で50回目です。

同じ動画をTikTokにも投稿しています。
両者の反応・視聴回数が全く違っていて面白いです。一番極端な差が出たものを比較してみましょう。

「32、韓国の警察の番号」
YouTubeでは4,000回(YouTubeではこのシリーズで最も多い視聴回数)
TikTokでは1,600回(少ない方)

それに対し 「、5식료품」

YouTubeでは2,200回(まあ、平均的な視聴回数)
TikTokでは94,000回(桁が違う。他にも万を超えるものもある)

視聴回数以外の顕著な違いとしては、TikTokでは、「いいね」や質問がYouTubeより多いです。質問の内容も初歩的なものが多いです。

YouTubeとTikTokでは、視聴者の年齢や学習歴がかなり違うのがよくわかります。だから双方にアプローチする必要があると思います。若い学習者に向けた発信が手薄になりがちなので気を付けたいところですね。

発音変化は、中級から上の学習者には最重要課題なので、地道に発信を続けたいと思います。発音変化には、ショート動画が向いていますね。たくさん地道に発信を続けます。

通信498 「席をめぐって」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第498号 (2024年8月12日発行)

「席をめぐって」
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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ソウルで地下鉄に乗ると、混雑していてもぽっかりと空いた角の席に違和感を感じる人もいるかと思います。

日本で言う「優先席」は韓国では「対象者以外は決して座ってはいけない席」となっているように思います。

この席は ‘노약자석’ という名前で認識していましたが、나무위키 ではこの席の事を以下のように解説していました。

<교통약자석>
기존에는 ‘노약자석’이라 지칭했으나, ‘노약자석’이 아니라 ‘노인석’이라는 비판을 받아 ‘교통약자석’으로 바뀌는 추세다. 비슷한 개념의 좌석을 일본에서는 우선석(優先席)이라 부르고 대만에서는 박애좌(博愛座)라고 부른다. 영미권에서는 ‘priority seating’혹은 ‘reserved seating’이라고 한다.

この席について、韓国の人はどう思っているのだろうと、自分よりも年配の韓国の人に聞いてみたところこんな答えが返ってきました。

「最近は’노약자석’ 以外に高齢者が座ると、前に若者が立って「お前らここに座るなよ、あっちにお前らの専用席があるだろ」といった無言の威圧を感じることがあります。」

「自分のような老人が朝の通勤ラッシュに乗ると「お前らがこの時間帯に乗って来て、なんでさらに地下鉄の混雑率をあげるんだよ。タダで乗車してるくせに」といった威圧も感じます。自分はできるだけ朝の通勤ラッシュの時間帯は乗らないよう調整をするようになりました」ということでした。

一個人の意見しか聞いていませんが、世代間の「断絶」は広がりを見せているように思える回答でした。

韓国の ’노인석’ の今後に変化はみられるでしょうか。気になります。

通信497 「TOPIK 교재 만들 때 어려운 점」김현근

【週刊ハンガンネット通信】第497号(2024年8月6日発行)

「TOPIK 교재 만들 때 어려운 점」
미리내 한국어교실 김현근
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안녕하세요.

미리내 한국어교실의 김현근입니다.
재작년까지 한강네트워크통신 필자로 활동하다가 1년 쉬고 다시 시작하기로 했습니다.
현재 한국어로 쓰는 한강네트워크 필진이 없어진 것 같은데, 이번에 다시 한국어로 한강네트워크 뉴스레터를 쓰게 되어 기쁩니다. 한국어로 쓰면 하나 하나 읽기 귀찮아서(?) 번역기를 돌려 보시는 분도 계시겠지만, 아무쪼록 잘 부탁드립니다.

오늘은 TOPIK 교재를 만들면서 느낀 점에 대해서 회원 여러분들과 공유하고자 합니다.
미리내교실에서는 올해 2월 TOPIK2 대책 교재를, 그리고 8월에 TOPIK1교재를 출간한 바 있습니다.

ゼロから完全攻略! 韓国語能力試験 TOPIK I https://www.amazon.co.jp/dp/4405012822
ゼロから完全攻略! 韓国語能力試験 TOPIKⅡ https://www.amazon.co.jp/dp/4405012784

지금까지 교과서를 만들거나, 한글검정대책 단어집을 만든 적은 있습니다만, TOPIK 대책용으로 교재를 만든 적은 처음이었습니다. 그래서 일반교재와 달리 만들면서 느낀 점에 대해서 적어보겠습니다.

토픽 1 교재를 쓰면서 느낀 점
무엇보다 초급 교재이다 보니 어휘 선정이 한정되어 있고, 따라서 제시문을 만들 때도 복잡한 문장을 쓸 수 없다는 점입니다. 복잡하거나 어려운 문장을 쓰지 않으면서도 말하고자 하는 바를 제대로 전달하고 문제를 만들어야 합니다. 문제를 만들고 나서도 알기 어려운 표현을 다시 제거해야하는 번거로움이 있습니다.

토픽 시험 대책 교재는 크게 기출문제 분석과 모의고사 및 해설로 이루어져 있습니다만, 기출문제 분석을 하다 보니 알게 된 점이 있습니다. 특히 듣기 문제에서는 회화문을 듣고 이야기의 주제나 화자의 중심생각을 골라내는 문제가 많습니다만, 결국 정답으로 유도하는 것은 대부분 일반적인 사실이라는 점입니다.

예를 들어 철수와 영희가 주말에 밥을 먹을지 영화를 볼지 또한 어디를 갈지 이야기를 하다가 결국 집에서 쉬기로 했다고 합시다. 회화문의 핵심 포인트는 두 사람이 집에 있었다는 것입니다. 그 외의 나머지 이야기는 그냥 수험자를 혼란시키기 위한 내용에 불과하다는 걸 알게 됩니다. 상급자라면 문제 없이 정답을 골라낼 수 있지만 초급자라면 이야기의 흐름을 제대로 잡지 못하면 오답을 골라내기 쉽지요. 즉, 문제의 출제 의도가 대부분 회화문을 통해 지극히 일반적인 이야기가 무엇인지 알게 하는 것입니다. 그리하여 저도 모의고사를 만들 때 다양한 이야기를 주고 받으면서도, 정답으로 내놓은 선택지는 그냥 일반적인 사실을 고르도록 유도했습니다.

토픽 2 교재를 쓰면서 느낀 점
토픽 2는 토픽1과 비교하여 어휘 제한이 별로 없다는 점에서 모의고사 만들기가 수월합니다만, 여기에 또다른 문제가 있습니다. 이것도 시험이다 보니 글자수 제한이 있다는 겁니다. 네이티브의 관점에서는 문제를 만들다 보니 제시문이 아무리 길어져도 독해하는 것에 별다른 문제점을 느끼지 못합니다만, 학습자 입장에서는 전혀 다릅니다. 글자가 많아지면 질수록 일단 읽는 부담이 많이 커집니다. 마치 지금 쓰고 있는 한강네트워크 글이 한글로만 가득차 있을 때 네이티브가 아닌 분들이 느끼는 부담감 같은 것이죠. 따라서 모의고사를 한차례 다 만들어 놓고 나서, 검토할 때 내용을 대폭 줄였습니다. 물론 기출문제 문항 길이와 같도록요. 긴 내용을 시험에 맞게 줄이려다 보니, 내용 연결이 쉽지 않은 경우도 많아서 고치는 데에 시간이 더 많이 걸렸습니다. 아무튼 네이티브로서 시험 문제를 출제하는 입장과 시험을 보는 입장에 느끼는 독해 제시문의 길이 차이에 따른 부담감이 다르다는 걸 알게 됐습니다.

정리 하자면, 초급자용 토픽책은 글자수 제한에 따른 문제 작성의 어려움, 그리고 회화문을 듣거나 읽고 나서 고르는 글의 주제는 결국 기본적인 사실이 많다는 것이고, 중상급자용 토픽2 책은 모의고사 제시문 만들기가 일정 수준의 독해력을 묻는 질문이다 보니 길어지기 일쑤인데, 길이를 컨트롤하는 게 어려웠다는 점입니다.

그러나 기출문제를 해설하고, 모의고사를 만들면 만들수록 느낀 점은 시험에 합격하기 위해서 가장 필요한 것은 결국 어휘라는 점입니다. 아무리 문제 풀기 노하우를 알려줘도, 작문의 요령을 기가막히게 알려줘도 그게 상응하는 어휘력이 뒷받침되지 않으면 말짱 도루묵이 되기 때문입니다. 이 어휘를 늘리는 방법에 대해서는 다음번 한강네트워크통신에서 써보려고 합니다.

그럼, 여러분 더운 여름 건강에 유의하시고 더위 잘 이겨 내시길 바랍니다.

通信496 「あの頃、授業で聴いた歌」田附和久

【週刊ハンガンネット通信】第496号(2024年7月29日発行)

「あの頃、授業で聴いた歌」
田附和久
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このところ済州島の方言がたびたび話題に上っていましたが、私が知っているのは「혼저 옵서예」(어서 오세요)だけ。なぜかと言えば、以前、裵正烈さんも書いていらっしゃった혜은이のヒット曲「감수광」を、私も若い頃に聴いて覚えたからです。ですから、より正確に言えば、私が諳んじられる済州島の方言と言えばこの歌の方言部分「감수광 감수광 날 어떵허렌 감수광 설룬 사람 보냄시메 가거들랑 혼저 옵서예」が全てということになります(歌詞の意味は、どうぞ皆さんお調べになってみてください)。

歌で覚えた単語や表現は、その後何年経っても、なかなか忘れません。だからこそ授業の中でも歌を教材として用いる先生方が少なくないのでしょう。私も、授業の中でかなり頻繁に歌を聴きます。単元と単元の間にふと時間ができたときや、授業に退屈してきた受講生たちの瞼が重くなってきたときなどに「ちょっと歌を聴きましょうか」と言って、受講生たちが関心を示しそうな最新のK-POPを取り上げることが多いのですが、文字の学習がここまで進んだら「피 땀 눈물」、その次は「눈, 코, 입」というように、歌詞に出てくる語彙や表現を確認しておいた上で、あらかじめ年間の授業計画の中に組み込んでいる定番の歌も何曲かあります。

受講生からは歌をよく取り上げる教師だと思われているかもしれませんが、これは私自身が授業で聴いた歌を通して多くの学びを得てきたことが大きく影響しているのだと思います。

私は1986年に大学で朝鮮語を学び始めましたが、ネイティブの先生の中に歌をよく取り上げてくださる方がいらっしゃいました。その方は特に양희은さんの歌を多く紹介してくださいました。彼女が歌う「서울로 가는 길」、「늙은 군인의 노래」などの歌に出てくる単語や表現が、私の朝鮮語の血となり肉となっていきました。

「우리 부모 병들어 누우신 지 삼년에」や「나 떠나면 누가 할까 병드신 부모 모실까」等の歌詞を通して、「変格活用に尊敬の-시がつく連体形」のように、教科書で習うだけでは形を作るのがなかなか難しい表現も自然に口から出てくるようになりました。「아 다시 못 올 흘러간 내 청춘」と歌いながら「못 오다」の発音が[모도다]になることを身に付けました。「아서라 말어라」のような慣用的な表現も、歌だからこそ記憶でき、今でも忘れずにいます。中には「서울로 가는 길이 왜 이리도
멀으냐」の「멀으냐」のように、文法的には誤りであっても広く人々の間で使われている表現というものがあり、生きた言語とはそのようなものなのだということも学びました。

歌を通した学習の楽しさを知った私は、その後、授業時間外にも自分で好きな歌を訳す作業を楽しむようになりました。「好きこそ物の上手なれ」とはよく言ったもので、講読の授業よりも、そんな自習を通してのほうが、より多くの単語や表現を覚えたのではないかと思うほどです。

当時、そうやって自分で訳した歌の一曲に양희은さんのデビュー曲である「아침이슬」があります。私が学習を始めた当時は「아침이슬」の作者である김민기さんが作った歌の多くは、反体制的だという理由で禁止曲に指定されていましたが、韓国の人たちは皆、彼の歌をよく知っており、特に1987年の6月民主化抗争のときには、運動の現場で必ずと言ってよいほど「아침이슬」が歌われていました。そして、その民主化抗争以降にようやく禁止が解かれ、「아침이슬」をはじめとする김민기さんの歌のレコードやカセットテープは再び公然と流通するようになりました。

あの日から37年の歳月が流れた先週、김민기さんの訃報が届きました。上で挙げた「서울로 가는 길」、「늙은 군인의 노래」の作者も김민기さんですから、私にとってはお世話になった朝鮮語の先生のお一人が旅立たれたような寂しさを感じています。

外国語の歌詞や詩歌を暗誦できるようになることの効用は、言語学習の上達だけにあるのではないでしょう。その言葉が伝える意味そのものが、その後の一人ひとりの人生を支える糧にもなります。私もこれまでの人生で困難に直面したとき、「아침이슬」の歌詞にどれだけ励まされたかわかりません。今、教室で取り上げる歌の一曲一曲も、学習者の語学学習に役立ち、さらにはその後の一人ひとりの人生を豊かにする様々な出会いに結びついてほしいと心から願います。

かつて解禁直後に購入したレコードが擦り切れるのではないかと思うほど何度も聴いた김민기さんの「아침이슬」を、今夜はサブスクで聴き直しながら、久しぶりに口ずさみ、あの頃、朝鮮語の学習に傾けた情熱を思い出してみます。

 나 이제 가노라 我は今行かん
 저 거친 광야에 あの荒野へと
 서러움 모두 버리고 悲しみを全て捨て去り
 나 이제 가노라  我は今行かん

通信495「K-POP、K-文学の次はK-ティーチャー?!」ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第495号(2024年7月22日発行)

「K-POP、K-文学の次はK-ティーチャー?!」 
ペ・ジョンリョル
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先日、出張でソウルに行きました。6年ぶりです。この間に街の様子がずいぶん変わったと聞いていて、実際そのとおりだと思いましたが、滞在中に動き回っていたのが地味な界隈だったこともあり、以前とあまり変わらない現地の人々の姿も多く見られました。私個人としては妙に安心しました。

さて、今回、地下鉄5号線の西側終点パンファ駅近くの国立国語院を訪れ、チャン・ソウォン院長にお目に掛かりました。院長先生は、実は小社HANAの著者の先生でいらっしゃいます。

その際に国立国語院が運営を始めた「K-티처 프로그램」についての話を伺いましたので、今日はそれをお伝えしたいと思います。

国立国語院では、海外各地で韓国語教育に尽力している韓国語教師の方々の力量向上のために、今年度からオンライン教育プログラム「国外韓国語教員(K-ティーチャー)プログラム」の運営を始めました。

https://kcenter.korean.go.kr/kcenter/kteacher/info.do

国外の大学で韓国語学関連を専攻している・した方、もしくは国外の教育機関で韓国語を教えている教師であれば、このプログラムを受講することができます。

プログラムは韓国語教師として知っておくべき韓国語学、韓国語教育学、韓国文化などのさまざまな理論分野と実習分野の計130回分で構成されており、修了後は国立国語院が発行する履修証(オンラインで発給)とバッジをもらえるとのことです。

大学や高校などの正規教育機関以外にも、民間の語学学校や教室に所属している先生も受講可能。ただし、受講申請の際には「韓国語教育機関に在職中であることを証明する在職証明書を提出する必要がある」とのことです。

上記は、日本における韓国語の教室の多くが民間で小規模なものであることを説明したうえでいただいた返答を基にしています。

受講料は無料です。

HPで現在公開されている今年度プログラムの募集はすでに終わっていますが、院長先生の話を伺った限りでは、今後も継続的に運営を行っていくものと思われます。

プログラムのサイトでは「외국인 한국어 학습자가 선생님이 되는 시대. 세계를 무대로 한국어를 가르치는 K-티처」とうたっています。韓国語教師を韓国から送りだすことだけでなく、現地の韓国語教師による韓国語の教育・普及にも国語院は大きな関心を寄せていると院長先生はおっしゃっていました。

国立国語院では、日本に既に多くの韓国語教師がいることをよく知っており、ぜひこのプログラムを利用して、教師としての力量を高めてくださいとのことでした。

受講手続きやプログラム内容についての詳しい情報は上記のリンクからご覧いただくことができます。関心のある方はサイトを詳しくご覧ください!

通信494 「韓国語の方言講座について」浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第494号(2024年7月15日発行)

「韓国語の方言講座について」
HANA 浅見綾子
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다덜 펜안햇수과?
아사미 아야코랜 햄수다.
제주도 말은 호끔밖에 못헤부난 말 골을 때 천천히 골아 줍서양.
(다들 편안했습니까?
아사미 아야코라고 합니다.
제주도 말은 조금밖에 못해서 말할 때 천천히 말해 주세요.)

済州語であいさつしてみました。
これくらいだとなんとなく分かるのですが、早く話されるともう全く分からないのが済州島の方言ですよね。

先日「済州島の文化・言葉を学ぼう!」という講座を開催しました。
済州語は、ユネスコが報告する消滅危機言語のリストに登録されており、話者人口も1万人以下と非常に少なくなってきています。この講座を聞いてみて、なるほど消滅するかもしれないと妙に納得してしまいました。

とにかく難しいのです。

少しご紹介します。

해요体に当たるのが済州語では허멘마씨体ですが、またこれは簡単。
멘마씨, 으멘마씨をつけるだけです。

ヘヨ体_動詞

합니다体に当たる헴수다体が難しいのです。

ハムニダ体_形容詞

헴수다体の形容詞ですが、パッチムなしは疑問文が-우꽈?、パッチムがあると-수과?
パッチム有り無しで「꽈」と「과」も使い分けないといけません。
どっちか一つに統一して!と外国人は(韓国人も恐らく)思ってしまうところですが、高昌弘先生に伺ったところ、疑問文の「과?」と「꽈?」を逆にして話すととても不自然なんだそうです。「ああ、この人は済州島人じゃないな」とバレるポイントだとか。

HANAでは方言講座をこれからも開催する予定です。
現在準備中なのは、釜山語講座と全羅道方言講座です。

釜山語講座の資料をチラリ。

釜山語講座

教えてくださる先生さえいらっしゃればぜひ忠清道方言講座、江原道方言講座も開催してみたいです。我れこそは!という先生がいらっしゃればぜひ浅見までご連絡くださいませ。

通信493 「カメラOFFレッスン 」加藤 慧

【週刊ハンガンネット通信】第493号(2024年7月8日発行)

「カメラOFFレッスン」
加藤 慧

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先日の幡野先生の投稿で、「コミュニケーションの際に言語情報が与える影響はわずか7%」という心理学の法則のお話が大変興味深かったです。
先日、アメリカの大統領選のニュースでも取り上げられていました。

対人コミュニケーションにおいて、言語情報(Verbal)が7%、聴覚情報(Vocal)が38%、視覚情報(Visual)が55%の割合で相手に影響を与えるという「メラビアンの法則」というもので、「7-38-55のルール」や「3Vの法則」とも呼ばれるようですね。

この話題で思い出したのが「カメラOFFレッスン」です。
私がレッスンを提供しているオンライン学習サイト「カフェトーク」では、双方もしくは片方が音声のみの「カメラOFFレッスン」の需要が一定数あります。

理由として、どんな場所や体勢でも、またノーメイクやパジャマ姿などでも受講できる「手軽さ」があることは想像がつきますが、意外なことに「音声だけなので集中できる」というものもあるようです。

音声のみのレッスンでは、会話の際の大きなヒントとなる「視覚情報」が共有できないため、残り45%の「言語情報」+「聴覚情報」に頼るしかありません。
これは外国語での通話がハードルの高いものであることからもわかります。
その意味で、負荷をかけるトレーニングとしての有効性はあるかもしれません。

一方で当然相手の表情や雰囲気がわからない分、心理的なストレスは増加する恐れがあるので、声がけや相槌などの重要度が上がりそうです。

気をつける部分さえきちんと意識できれば、オンラインレッスンや、ひいてはカメラOFFレッスンも、対面レッスンとは違ったメリットを発揮できるのかなとも思います。

学習者のニーズが多様化するなか、それぞれの形態によって異なる留意点を忘れないようにしたいものです。

通信492 「マレーシアの日本語教育」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第492号(2024年7月1日発行)
マレーシアの日本語教育 伊藤耕一
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先日、あるイベントに参加しました。
そのイベントにあてがわれた会場は日本語を教える教室のようでした。
イベントの合間に教室内を歩いていたら、写真のような教材を見つけ、思わず写真を撮ってしまいました。
それは日本語の動詞の五段活用を教えるために作られた手作りの教材です。

image

なるほど、マレーシアではこのように日本語文法を教えているのだなと、新鮮な発見をした気持ちになりました。
この教材を見て日本語母語話者である私が発見したことを書いてみたいと思います。

①「あかさたなはまやらわ」でなく「あかがさざただなはばぱまやらわ」という順番で五十音表を作る。
日本語母語話者にとって、濁音と半濁音を五十音表に混ぜるという発想は、あまりないのではないかと思います。
しかし、音声学的に考えると「かが」「さざ」「ただ」「ばぱま」を並べるのは理に適っています。
このように並べておけば、発音が似ている音どうしの違いを説明しやすいなと思いました。
もし、将来日本語を教える機会があれば、参考にしたい教え方です。

②「う」で終わる動詞は「あ行」でなく「わ行」で活用する。
これは盲点だと思いました。
「あ行」に単語の例示がないのはなぜだろうと思ったら「わ行」のところにありました。
その理由は未然形の活用をした時に「う」を「わ」に変えるからですね。
私は無意識に「あ行」に意識が行ってしまいましたが、文法を考える時には「わ行」なのだということが新鮮な発見でした。

③「ず」「づ」「ふ」「ぷ」「ゆ」で終わる動詞は現代語には存在しない。
日本語母語話者は感覚的に理解できていることですが、この5音で終わる動詞はありません。
古語にはたくさんありますが、現代語にはない、そんな気付きをくれました。
おそらく「この5音で終わる動詞はない」と教えれば、日本語学習者には分かりやすいのでしょう。
このように、形式的に説明できる場面ではそのように教えた方が文法が定着しやすいように思いました。

④動詞を活用し語尾に「て」「で」「って」「んで」/「た」「だ」「った」「んだ」のどれを付けるのかは、意外とややこしい。
これも日本語母語話者は感覚的に理解できることですが、日本語学習者には次のように教えるのでしょう。
「く」で終わる動詞:「く」を「い」に変え「て」及び「た」を接続させる。
「ぐ」で終わる動詞:「く」を「い」に変え「で」及び「だ」を接続させる。
「す」で終わる動詞:「す」を「し」に変え「て」及び「た」を接続させる。
「つ」で終わる動詞:「つ」を「っ」に変え「て」及び「た」を接続させる。
「ぬ」で終わる動詞:「ぬ」を「ん」に変え「で」及び「だ」を接続させる。
「ぶ」で終わる動詞:「ぶ」を「ん」に変え「で」及び「だ」を接続させる。
「む」で終わる動詞:「む」を「ん」に変え「で」及び「だ」を接続させる。
「る」で終わる動詞:「る」を「っ」に変え「て」及び「た」を接続させる。
「う」で終わる動詞:「う」を「っ」に変え「て」及び「た」を接続させる。
韓国語の動詞形容詞の活用と遜色ないほどのややこしさだと思いました。
この活用を我々日本語母語話者はどうやって幼児期に習得するのか、とても興味深いとも思いました。

日本語を教える時には、これ以外にも分かりやすく教える方法があるはずです。
「日本語を教えて」と言われ「いいよ」と安請け負いしてしまいそうですが、このようなテクニックを体系的に知っている人から教わるのと、無知な人から教わるのとでは、その後の上達に雲泥の差が出そうだなとも思いました。
韓国語の教授法にも似たところがあり、私自身、ひとつひとつ文法を覚えた行ったのですが、そのように体系的に学ぶことは大切だなと改めて思いました。

余談ですが、あるイベントとは将棋大会でした。
私は将棋が趣味で、クアラルンプール日本人会の将棋クラブに入れてもらっています。
この11月に東京の将棋会館で世界大会が開かれるのですが、そのマレーシア代表を決める大会を行うということで、その運営に携わりました。
私はマレーシアのローカルの将棋クラブにも参加しているのですが、そのクラブの将棋仲間が代表に決まりました。
彼はまだ20歳前ですが、彼との通算の対戦成績は私の3勝6敗くらいで、私よりも強い青年です。
是非、大会では良い成績を納めてもらいたいと思います。