通信470 「学習書の音声ダウンロード方式の四つのメリット」 裵正烈

【週刊ハンガンネット通信】第470号 (2023年12月25日発行)

「学習書の音声ダウンロード方式の四つのメリット」  
HANA 裵正烈

=================================================

今日、ほとんどの語学学習書で音声が提供されています。でも私が大学生だった80年代後半、語学書に音声が付いていることはまれだったと記憶します。

別売カセットで音声を提供している場合がありましたが、二千数百円とか三千何百円とかを払って、本とは別途に購入しなければいけませんでした。音声はほしいけど高いので、複数名で同じ本を買い、カセットだけダビングして融通し合った人もいたのではないでしょうか。

私が韓国語の出版物を手掛けるようになった20年前には、もうカセットを見掛けることはほとんどなく、とっくにCD付き書籍という商品形態になっていました。音声が別売りではなく本に付属するようになって、音声自体の値段が劇的に安くなっていました。

そしていまやCDを回したことがないという世代が読者の中にも増え、家にCDを再生できる機器がない人も多くなりました。HANAでも、新刊の音声はすべてダウンロード方式になりました。

ダウンロード方式になってよかったことは、音声の制作において時間的な余裕が増えたことです。CDの場合は、製本と併行してCDのプレスを行う必要があり、CDの完パケ(制作終了・納品)は校了とほぼ同じタイミングでした。一方ダウンロードの場合、発売日までに音声をサーバーにアップすればよくなり、単行本の場合で2~3週間遅くてすむようになりました。日々締め切りに追われている立場からすると、これは大変ありがたいのです。本の編集を終えた後、校了した原稿で余裕をもって音づくりに取り掛かれるので、精度も増します。

よかったことの二つめは、本が出た後で音声の間違いを見つけてしまったときに、CDはその中身を変えられませんが、ダウンロード方式の場合修正して差し替えることができるということです。例えば音声の順番を間違えたなどの再録音がいらない修正なら、自分のパソコンで簡単に直して、差し替えてしまうことができます。

三つめは、単純にメディアとしてのCDの材料費や制作費が掛からなくなったことです。コストダウンなのでもちろんありがたいのですが、声優のギャラやスタジオ代、音声編集費はどのみち必要なので、音声制作費全体から見たらすごく大きな部分ではないとも言えます。

ここまでダウンロード方式の利点について見てみましたが、現実的には、CD再生以外の方法で音声を利用できないという人(ほとんど年配の方)がまだいらっしゃいます。そういう方がどうしてもCDをほしいという場合、HANAではCD-Rに音声を焼いて送ってあげています(送料分の84円切手2枚のみご負担)。韓国語の専門出版社HANAの使命として、どんな学習者も取り残さないという気持ちでやっているのですが、「いつまでやるんだ」という社長に対する批判が社内にあるのも事実です。

つい最近実際にあったケースでは、その本の音声全部を収めるのに、CDを6枚焼く必要がありました。私が担当した本だったので自らCDを焼いて送ることになりましたが、さすがに「こりゃやってられないな」と思いました。

CDには1枚最長80分ほどの音声しか収められず、最大2枚×80分が提供できる音声の限度でした。一方のダウンロード方式はサーバーの容量が許す限り無制限に音を提供できます。つい欲張り過ぎて、いろんな練習用音声を準備してしまうのです。これが四つめのメリットと言えるのかどうなのかは私にもわかりません。

最後に、HANAの韓国語学習書は高いというご意見をごくたまにいただくことがありますが、ダウンロードになったとはいえ、音声の制作にも相応の費用と労力を掛けている点、ぜひぜひご理解をいただきたいです。

通信469 「韓国のことばと文化を学ぶサイト〈hana+(ハナタス)〉オープンしました。そして「hana+」を作ることになった今の世の中の状況。」 浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第469号 (2023年12月18日発行分)

「韓国のことばと文化を学ぶサイト〈hana+(ハナタス)〉オープンしました。そして「hana+」を作ることになった今の世の中の状況」

HANA 浅見綾子
=================================================

『韓国語学習ジャーナルhana』(HANA刊)は来年4月に創刊10周年を迎えますが、これを機にこのたび、韓国のことばと文化を学ぶサイト「hana+(ハナタス)」がオープンしました。

「hana+」では、これまで編集部が蓄積した豊富な学習コンテンツや制作ノウハウを基に、多種多様な学習素材、効果的な学習方法や教材、学習イベント・講座に関する情報を毎日提供していく予定です。

https://www.hanatas.jp/

さて、若者の読書離れが進んでいると言われて久しいですが、若者だけでしょうか。

大人も読書よりも手っ取り早く情報を得られるネットやYouTubeなどの動画で情報を得たりしているように思います。

「若者の本離れ」がこんなにも加速した5つの理由
hthttps://toyokeizai.net/articles/-/330115

2020年の記事ですのでちょっと古いですがお時間あるときに読んでみてください。私は納得しました。

先生方、本はリアル書店で買っていますか? 

ネット書店で購入するか、もしくはめっきり買わなくなったりしていますか?
今年2023年もかなりの数の書店が閉店しました。 
紙の語学書もどんどん売れなくなってきています。

これまでのように「ライバルは、◯◯出版社!」ではなく、YouTubeやインスタ、Netflixなど挙げると切りがありません。

語学素材に使えるものが増えた上に楽しく、さらにスマホさえあればすぐにいつでも見られます。

また最近(でもないですが)話題のAI。

————————

『ニューズウィーク日本版』特集:AI独学英語術https://www.newsweekjapan.jp/magazine/470415.php

(もくじ)
外国語学習 AIの進化が生んだ最強の「独学」英語術
■最新知識 4技能別・AIで今できること
■アプリ 目的別の最適ツールは
英会話 スピーキングを学べるアプリ10選
研究 学習者とAI教材は今のところ相思相愛の関係
メディア テレビも捨てたものじゃない
SNS TikTok先生とインスタ先生
————————

どんどんAIが人間に取って代わって、韓国語を教えたり、添削したり、語学教材を作ってくれたりするでしょう。

AIは私たちの敵でしょうか。

AIを利用すれば、自分ひとりではできなかったことが短い時間で一気にできるようになります。
(イラストを描いてくれたり、すごい量の韓国語の例文を作ってくれたり、訳してくれたり、問題を作ってくれたり)
「hana+」サイトの運営もAIの力がかなり役立っていますし(リード文を書いてもらったりしています)、語学書の編集作業にも大いに利用しています。

AIは敵であり、味方でもあります。AIとハサミは使いよう!

良いお年をお迎えください。

 通信468 「韓国語教材のカナルビについて」を読んで 寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第469号 (2023年12月17日発行)

「韓国語教材のカナルビについて」を読んで  
寄田晴代
=================================================

前回の加藤慧先生の通信を読んで、周囲の韓国語を学習したことのある人に、韓国語教材のカナルビについて聞いてみました。
「いいと思う」「いいと思う。ただし、ハングルを学び始めて慣れるまでの間だけ」という意見でした。
いいと思う理由は「韓国語で言えた!と思える経験が意欲につながるから」「ハングルを覚えるのが嫌にならないために」でした。

私は、文字の指導と発音指導は一体だと思っているので、カナルビに頼る癖をつけたくない派です。また、ハングルが読めない人に発音規則を教えるのは大変そうです。
韓国語のカナルビと言えば思い出すのが、昔、バックパッカーによく読まれていた旅行ガイドブックの韓国編です。국립박물(国立博物館)のカナルビが「ククリプバクムルグァン」となっていて「なんだか爆発しそうだね」と友人と話した思い出があります。

カナルビに頼ってほしくないとは思うものの、1年間毎週受講しているのにハングルが読めない学生に出会うことも実際にあり、そんなときは、読み方をカタカナで書いてもいいからやめないでほしい、と思うのも事実です。

「英語にカタカナを振ることに対する小学校教員の意識」(田中 真紀子・河合 裕美 2023)という論文に英語を指導する小学校教員の「カタカナ使用」に関する意識調査があるのですが、賛成、反対の意見を読んでみると、いずれもなるほどと思わされます。
賛成:自信のない子どもにとっては安心につながる。苦手意識を持ちづらくさせる。児童のやる気や自主的な学習に結び付く。
反対:正しい発音、音韻認識を身に着ける妨げになる。カタカナではスペルの違いに気がつかない。新しい単語に出会ったとき自力で読めない。書くことにも影響する。

教える側としては、学習を続けて上達し韓国語が使える楽しさを知ってほしい、と思うので、まずは嫌になってやめてしまわないためならカナルビもアリなのかもしれない。逆上がりができないときに「鉄棒回転サポーター」を利用するのと同じと考えればいいではないか、と思い始めているのですが、韓国に初めて行ってきた人に「韓国語は全然話せなかったけど、ハングル読めたのが嬉しかったし助かった」と言われると、やっぱりしっかりハングル覚えてもらわなきゃ、と思ったりするのです。

参考文献:英語にカタカナを振ることに対する小学校教員の意識
-賛成派と反対派の考えの相違:教員の英語力および英語指導力の自己評価との関係から-
田中真紀子・河合裕美 神田外語大学紀要第35号(2023)

通信467 「韓国語教材のカナルビについて」加藤 慧

【週刊ハンガンネット通信】第468号 (2023年12月4日発行)

「韓国語教材のカナルビについて」
加藤 慧
=================================================

先生方はハングルのカナルビ表記について、どのようにお考えでしょうか。
おそらくほとんどの方が反対派だと思います。

私もずっと反対派だったのですが、最近初めて教材の監修を担当させていただいた際(https://amzn.to/46FhN52)、出版社の意向でルビが必須でした。
いろいろと葛藤があったのですが、これを機にあれこれ考えたことについて書いてみたいと思います。

例えば、쉬 , 봐 などの発音について言えば、それぞれ「シュイ」、「ボァ」という表記でかなり正確に再現できると思っています。

逆に 화, 회 に関しては「ファ」、「フェ」という表記が一般的ですが、これだとどうしてもFa , Feに近い発音になってしまいます。
これは「ファ」、「フェ」ではなく「ホァ」、「ホェ」という表記にすれば回避できるかもしれません。

もちろん 어/오, 우/으 やパッチムなど、カタカナで区別できない発音に関しては限界がありますが、このように正確な発音に近い表記を、ある程度まで追求することはできるのかなと思います。

それをもとにした韓国の外来語表記法(実際の発音との乖離という問題点はさておき)のようなカタカナの表記法の基準などがあれば、発音の助けになるかもしれません。

最近では韓国カルチャーの普及により、多くの韓国語がカタカナで定着してきています。
料理名や地名、人名などはどうしてもカタカナ表記をするしかないわけなので、むやみに排除するのは違うのかなという気もします。

また、大学で授業をしていると、いつまでたってもハングルが読めるようにならない学生がクラスに一人はいる印象です。
以前カルチャースクールで授業をしていた際にも、入門クラスでどれだけ丁寧に練習してもハングルに抵抗が残り、挫折してしまった方がいました。
このようなケースを考えたときには、たとえ正確な発音ではなくても、カタカナを利用してでも発話を促すというのは、かならずしも悪くないのかもしれないと思いました。

もちろん一度ついてしまったクセを直すのは大変なので、正確な発音を目指すことが難しくなるリスクは無視できません。
ただ、学習を諦めてしまったり、意欲が低下してしまうよりは、たとえカタカナ発音であっても、「言えた」「話せた」という小さな達成感が持てることのほうが大切なのかなとも思います。

誰でもいきなり自転車に乗るのは難しいように、ルビも適切な使い方さえすれば、いつか外せるその日まで、補助輪のような役割をしてくれるかもしれないと考えるようになったのでした。

先生方のご意見をぜひ伺ってみたいです。

通信466 「トライ&エラー」 伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第466号 (2023年11月29日発行)

「トライ&エラー」
伊藤 耕一
=================================================

マレーシアに来て、早いもので来月で丸2年になります。
気候が良く、優しい人々が多く、マレー・中国・インドの各民族の生活習慣や食文化は新しい発見ばかり、食べるものは安く美味しく、もうしばらくこちらで生活したいと思うようになってしまいました。
今回は丸2年で私のマレー語がどのようになったのか、振り返ってみたいと思います。

2年前は、耳に入ってくるマレー語は全く分かりませんでした。
今は知っている単語は聞き取って意味を理解できますが、例えばラジオだとパーソナリティが話す単語のうちの10~20%くらいしか分からないので「話のテーマ」は分かっても「具体的に何を話しているのか」はよくわかりません。

先日、車で移動中にラジオニュースを同僚と一緒に聞いていました。
「イスラエル」「パレスチナ」「4日」といった単語は聞き取れたので、ガザのニュースであることは分かりました。
その時は一緒に乗っていた同僚が「4日間の停戦交渉中だって。」と教えてくれたので、そのニュースを理解することができました。
この「停戦」「交渉」といった単語が聞き取れるようになればなあ、と思ったところです。
この2年で私のヒアリング力の「ざるの目」は少し締まってきたように思いますが、もっと締めて、ざるに残る音と単語を増やしたいところです。

話す方は、英語の構文で文章を作り、それをマレー語に直して行くと、ほぼ通じる文章になることが分かり、頭の中で英作文しては、一語一語をマレー語に置き換えて行くような作業をしています。
ハングルを頭の中で書いては話していた頃を思い出します。

例えば「明日、私はお客様との会議に行く予定です。」と言いたい時は、このように作文します。
Tomorrow, I will go for a meeting with a customer.
Esok, saya akan pergi untuk meeting dengan pelanggan.
検証のため、是非、Google翻訳にコピペしてみてください。⇒Esok, saya akan pergi untuk meeting dengan pelanggan.
マレー語⇒英語の翻訳は、ほぼ同じ結果が出てくるかと思います。

しかし、これを英語⇒マレー語にひっくり返してみると、こんな感じになります。
Esok, saya akan pergi ke mesyuarat dengan pelanggan.
Tomorrow, I will go to a meeting with a client.
この場合の前置詞は「untuk」よりも「ke」の方が良く、「meeting」は「mesyuarat」という単語を使った方が良いことが分かります。

今は短い単純な文章しか書いたり話したりしかできなないので大きな間違いはないと思いますが、高度もしくは複雑な文章はGoogle翻訳の結果の検証も必要です。
また、どちらかというと、書き言葉が訳出される傾向があるので、話し言葉として自然なのかどうかも確認したいのですが、今の実力ではそこまで到達できていません。

おそらく、少し変なマレー語を話す日本人だと周りでは思われているのではないかと思いますが、こんな感じのトライ&エラーを繰り返しながら、ひとつひとつ単語と会話文を覚えている段階です。
また、言いたいことは準備することで何とか話せますが、相手の返事を瞬時に理解して、自分の次の話を組み立てられないので、対話になりません。
この歳になると記憶力の低下を否が応でも自覚させられますが、語彙力は何としても高めたいとも思います。

マレー語は英語と親和性があり、韓国語は日本語と親和性があるのですが、韓国語を勉強し始めて丸2年くらいの学習者は、私と同じような作文をするのではないでしょうか?
間違っているとまでは言えないけど、直したいところがたくさんある。
なので、私が発するマレー語を聞いた時に、私の周りにいるマレー人は「こういう風に言った方がもっと良い。」などと教えてくれるのでしょう。

私の今のマレー語は大目に見て「下の上」くらいかと思いますが、私の韓国語学習の経験から想像すると、あと2年くらいすれば、「中の上」くらいにはなるのではないかと思っています。
言語の習得には、やはり度胸と時間とトライ&エラーが必要ですね。

通信465 「今年の年末イベントで、また新しい試みを」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第465号 (2023年11月20日発行)

「今年の年末イベントで、また新しい試みを」
アイケーブリッジ外語学院  幡野 泉
=================================================
当校の韓国語講座は毎年、年末に大きなイベントを行っていますが、
対面のイベントは2019年の年末を最後に開催せず、オンラインで行ってきました。
この間、縮小したスピーチ大会の代わりに翻訳大会を催し、大変盛り上がりました。

今年はコロナ禍の制限もなくなってきたので、久しぶりに対面のイベントに
戻すのですが、このコロナ禍の約4年間で、海外・地方の受講生が増えたため、
オンライン形式も残したい、となりました。

対面形式のイベントをただYoutubeで配信することを考えたのですが、
まてよ、オンラインの受講生がスピーチ大会に参加できないではないか、
翻訳大会で受賞した人がオンライン参加だったら喜びの声を聞けないな、と。

同時に、教室周辺の貸会議室について調べ、下見に行ったところ、
ビデオカメラとマイクを使ってのYoutube配信にZoomをドッキング
させることができることが分かり、今年はこの方式にチャレンジして
みることになりました。

映像翻訳部門はこれまで字幕翻訳だったのですが、今年は初の
「吹き替え翻訳」とし、韓日翻訳部門はこれまでエッセイだったものを、
初めて小説にしてみました。

去年の字幕翻訳部門の受賞者の方は、この受賞がはずみになって、
それから一定のお仕事を受注するきっかけになったとおっしゃっていて、
一人でも多くの方に、何かの「きっかけ」を届けられるイベントにしたいな
と思っています。

イベントの様子はまた、ご報告させていただきたいと思います!

通信464 「K-POPダンスの衝撃」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第464号 (2023年11月6日発行)

「K-POPダンスの衝撃」
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
=================================================

先日、韓国語学習者が中心となって企画主催した「みんなでK-POPダンスを踊ろう」という催しに参加して来ました。

入門者向けの内容でしたが(そうでなければ自分には参加は不可能でしたが)人生初体験のダンスレッスンは衝撃でした。

まずはストレッチに1時間ほど。もうこれだけで体が心底喜んでいます。

そしてそのあとついに具体的なダンスの振付の練習です。
練習曲はBTSの<Dynamite>。

たった1小節を覚えるのに必死です。
最終的にはサビの8小節をなんとか頭に入れて通しで踊って完成です。

合計で3時間ほどの全身運動となりました。

そこで得たものは計り知れないものでした。

記憶の作業は日常的に行っていますが、様々な体の動きを記憶していくという作業は初めてした気がします。
そしてK-POPアイドルの振付を分解して、多少なりとも記憶できるようになったことは大変な喜びでした。

脳は相当に活性しているに違いない。
体は心地よい疲労で喜びがあふれてくる。
そうか、ダンスに魅了される人々はこの喜びの積み重ねをしているのか!
ダンスの魅力が初めてわかったぞ!

ああ、そしてK-POPアイドルの偉大さを初めて体で知った。
彼らはこんな練習を毎日何時間もこなし、この何百倍もの小節数のダンスをライブで踊り、
おまけに息切れもせず踊りながら生で歌も歌ってしまうのだ。
そして曲と曲との間には軽妙なトークまでもこなしてはいなかったか!

普段なんとなく見ていたK-POPアイドルたちのパフォーマンスが神のなせる技だとこの日初めて認識した。
だからなのだ!だから全世界がK-POPに熱狂するのだ。
ああ偉大なり。たゆまぬ努力の結晶よ。

そして私は教室生にこの話をしました。
「K-POPアイドルはとんでもない神業をなんでもないようにパフォーマンスしていたんですね。」
そして最も強調する部分は、たゆまぬダンスや歌の練習努力に加えて
「おまけに彼らはダンスやメロディー歌詞を覚えることのみならず、外国語まで勉強をしているんですよね」ということでした。

外国語まで勉強する努力家K-POPアイドルという視点を改めて話すと、
やはりみなさん元気づけられるようです。
「そうか!自分たちもK-POPアイドルの努力に見習ってそのほんの一部でも韓国語の勉強をがんばろう!」と。

通信463「4技能5領域」田附和久

【週刊ハンガンネット通信】第463号 (2023年10月30日発行)

「4技能5領域」
田附和久
=================================================
私は前回、学習指導要領改訂に伴う高等学校での観点別評価の実施というトピックをご紹介しました。学校教育の現場から離れている方々はあまりご存じないかもしれませんが、今、日本の小中高校の現場は評価方法の変更というたいへん大きな変化に直面しているという話でした。

今回は関連してもう一つ、学習指導要領の改訂に伴い、小中高校での外国語教育(現状では主に英語教育ですが)の指導目標が、これまでの「4技能」別ではなく、「4技能5領域」別に設定することが求められるようになったということをご紹介したいと思います。

「4技能」が何かはご存じでも、「5領域」というのは初めて聞くという方も少なくないのではないでしょうか。「4技能」と言えば、「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと」、「書くこと」ですが、「5領域」というのは「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと(やり取り)」、「話すこと(発表)」、「書くこと」であり、すなわち従来の「話すこと」が「話すこと(やり取り)」と「話すこと(発表)」に分けられるようになったのです。この変更に伴い、高校英語は、細分化した5領域を総合的に扱う「英語コミュニケーション」と、発信能力を強化する「論理・表現」の2種類の科目に再編されました。

現在の高等学校では、英語教育以外の外国語教育はまだあまり多く実施されていませんので、科目の細分化は行われていませんが、私自身は、近年、自らの高校での韓国語授業の目標を5領域別に設定するよう心がけています。そして授業の中では、従来から行ってきた、やり取りの力を養うための会話練習だけでなく、発表する力を養うためのプレゼンテーションやポスター発表の時間も設けるようにしています。

具体的には、「ソウル2泊3日旅行計画の作成と発表」、「日本の高校生が好きな○○ベスト5のポスター制作と口頭発表」といった課題を出題しています。私からは、ルーブリックによる評価基準と、発表の中で使ってほしい文型等をわずかに伝えるのみで、あとは生徒の自発性に任せていますが、多くの生徒はたいへん生き生きとした表情でこれらの課題に取り組んでいます。Papago等のアプリも使いこなしながら作成した成果物やプレゼンテーションはなかなかの水準に達していて、韓国の大衆文化が大好きな、2023年という時代に生きる日本の여고딩たちの生態をよく描き出した内容となっています(여고딩のような単語も私からは教えていませんが、自分たちで学び、使いこなしています)。

さて、一般市民を対象とした講座の場合には、準備したテキストに依拠した授業になることが多く、発表課題等に取り組む機会はあまり多くないのではないでしょうか。受講生の方たちも発表の力を養うことはあまり求めていないかもしれませんが、仕事の現場等ではプレゼンをすることもあるでしょうし、考えようによっては自己紹介も発表の一つの形態と見ることができるかもしれません。

授業のはじめに一週間の出来事等を自由に語ってもらう時間を設けている先生もいらっしゃるかと思いますが、「やり取り」とは異なる「発表」の力を養うという視点で取り組んでみると、少し違った展開へと発展させることができるのではないでしょうか。

2回続けて、高校の外国語教育の現場における近年の変化についてご紹介しましたが、高校の韓国語教育の水準をさらに高めようと努力している仲間たちが集まって高等学校韓国朝鮮語教育ネットワーク(JAKEHS)という団体を組織し活動を行っています。同団体の今年度の全国研修が来る11月25日、26日に東京で開催されます(会場は25日が韓国文化院、26日が目白大学)。ご紹介した観点別評価に対応した授業の実践報告等も行われます。高校で教えていない方でも興味関心のある方でしたら、どなたでも参加いただけます。オンライン視聴も可能です。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

高等学校韓国朝鮮語教育ネットワーク
http://home.a08.itscom.net/jakehs/

通信462「映像選びも楽じゃない」奈良美香

【週刊ハンガンネット通信】第462号 (2023年10月24日発行)

「映像選びも楽じゃない」
下関市立大学 他 奈良美香
=================================================

会員の先生方皆様も、K-popやドラマ、映画等を活用して授業をされたご経験があるかと思います。学習者からすると楽しく学べるという印象があるらしく、授業での要望が多いため、私も取り入れたりします。

以前、韓国ドラマ「私のIDはカンナム美人」の第1話を使用して映像授業を実施しました。主人公の男性がイケメンで学生受けする点、韓国の外見至上主義、美への追及意識、美容整形に関する意識が垣間見れる点、大学のMTの様子が見れる点からこのドラマを選びました。

授業では、映像を見せる前に、あらすじを簡単に述べ、登場人物の相関図を説明します。語彙説明では①강남언니, ②오크, ③티(가)나다, ④모태솔로, ⑤18학번を紹介し、問題シートを作成しドラマを見ながら答えを見つけるようにと指示します。また、聞き取れた単語や表現を5個以上は書くようにとも伝えます。ドラマ鑑賞後は、この映像を選択した趣旨を説明し、問題シートの答え合わせとドラマに関する感想を書いてもらい提出させます。

この内容を理工系の大学1年生の後期の授業で実施しました。回収した感想には、「韓国の大学生は19歳からお酒が飲めるのか」、「美に対する意識がすごい」、「見た目で判断されるのがつらい」、「MTが楽しそう」などの感想がある中、一人だけ「興味のないドラマを見せられ、面白くなくつまらなかった」という感想がありました。このコメントに、正直ショックを受けました。視聴後にこのドラマを選択した趣旨を説明しましたが、伝わっておらず、人それぞれ好みがあるため、全員が満足できる映像内容を選択する難しさを痛感しました。

そこで、第2弾としてYahooニュースで紹介された「韓国七放世代の絶望」という5分程度の映像を使用しての授業を実施しました。韓国での就職難、外見至上主義、企業間格差などの内容が凝縮された映像に学生達は衝撃を受けたようでした。ナレーターが日本語で紹介するので、語学よりは文化紹介に適切な映像だと思います。

視聴後に、韓国での就職事情や「三放世代」から「七放世代」のキーワードについて説明した後に、感想を提出してもらいました。回収した感想からは、「大企業と中小企業の格差の違いに驚いた」、「整形してまで就職活動をするのに驚いた」、「若者が大企業を目指すために多くのことを諦めていることを知り悲しくなった」などが大半を占めており、マイナス意見はなかったのでホッとした記憶があります。

学習内容の用途にもよりますが、映像を使用して何を学習者に伝えたいのかという意識が非常に大切だと思います。その趣旨を反映させた映像を選択し授業を展開しますが、学習者の反応が良い時と悪い時もあり、なかなか一筋縄ではいきません。私の奮闘の日々はまだまだ続きそうです。

会員の皆様も授業でお薦めの映像がありましたら、是非、教えて頂ければと思います。

参考までにYahooニュースのリンクを貼りますので、興味のある方は是非、ご覧になってみてください。

夢も仕事も恋愛も手が届かない 韓国「七放世代」の絶望
https://news.yahoo.co.jp/feature/91/