【週刊ハンガンネット通信】第470号 (2023年12月25日発行)
「学習書の音声ダウンロード方式の四つのメリット」
HANA 裵正烈
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今日、ほとんどの語学学習書で音声が提供されています。でも私が大学生だった80年代後半、語学書に音声が付いていることはまれだったと記憶します。
別売カセットで音声を提供している場合がありましたが、二千数百円とか三千何百円とかを払って、本とは別途に購入しなければいけませんでした。音声はほしいけど高いので、複数名で同じ本を買い、カセットだけダビングして融通し合った人もいたのではないでしょうか。
私が韓国語の出版物を手掛けるようになった20年前には、もうカセットを見掛けることはほとんどなく、とっくにCD付き書籍という商品形態になっていました。音声が別売りではなく本に付属するようになって、音声自体の値段が劇的に安くなっていました。
そしていまやCDを回したことがないという世代が読者の中にも増え、家にCDを再生できる機器がない人も多くなりました。HANAでも、新刊の音声はすべてダウンロード方式になりました。
ダウンロード方式になってよかったことは、音声の制作において時間的な余裕が増えたことです。CDの場合は、製本と併行してCDのプレスを行う必要があり、CDの完パケ(制作終了・納品)は校了とほぼ同じタイミングでした。一方ダウンロードの場合、発売日までに音声をサーバーにアップすればよくなり、単行本の場合で2~3週間遅くてすむようになりました。日々締め切りに追われている立場からすると、これは大変ありがたいのです。本の編集を終えた後、校了した原稿で余裕をもって音づくりに取り掛かれるので、精度も増します。
よかったことの二つめは、本が出た後で音声の間違いを見つけてしまったときに、CDはその中身を変えられませんが、ダウンロード方式の場合修正して差し替えることができるということです。例えば音声の順番を間違えたなどの再録音がいらない修正なら、自分のパソコンで簡単に直して、差し替えてしまうことができます。
三つめは、単純にメディアとしてのCDの材料費や制作費が掛からなくなったことです。コストダウンなのでもちろんありがたいのですが、声優のギャラやスタジオ代、音声編集費はどのみち必要なので、音声制作費全体から見たらすごく大きな部分ではないとも言えます。
ここまでダウンロード方式の利点について見てみましたが、現実的には、CD再生以外の方法で音声を利用できないという人(ほとんど年配の方)がまだいらっしゃいます。そういう方がどうしてもCDをほしいという場合、HANAではCD-Rに音声を焼いて送ってあげています(送料分の84円切手2枚のみご負担)。韓国語の専門出版社HANAの使命として、どんな学習者も取り残さないという気持ちでやっているのですが、「いつまでやるんだ」という社長に対する批判が社内にあるのも事実です。
つい最近実際にあったケースでは、その本の音声全部を収めるのに、CDを6枚焼く必要がありました。私が担当した本だったので自らCDを焼いて送ることになりましたが、さすがに「こりゃやってられないな」と思いました。
CDには1枚最長80分ほどの音声しか収められず、最大2枚×80分が提供できる音声の限度でした。一方のダウンロード方式はサーバーの容量が許す限り無制限に音を提供できます。つい欲張り過ぎて、いろんな練習用音声を準備してしまうのです。これが四つめのメリットと言えるのかどうなのかは私にもわかりません。
最後に、HANAの韓国語学習書は高いというご意見をごくたまにいただくことがありますが、ダウンロードになったとはいえ、音声の制作にも相応の費用と労力を掛けている点、ぜひぜひご理解をいただきたいです。
