通信450 「第2回TOPIKフォーラムに行ってきました」浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第450号 (2023年7月26日発行)

第2回TOPIKフォーラムに行ってきました
株式会社HANA 浅見綾子
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先日7月15日に開催された第2回TOPIKフォーラム「TOPIKの持続可能な発展に向けた多言語TESTとの比較―教育現場での活用を中心にー」に参加してきました。

TOPIKの教材を出している出版社としては非常に有益な情報をたくさん聞くことができてとても行って良かったです。

フォーラムは1部と2部に分かれて進行され、1部は運営者、教育者、学習者の観点からの「問題提起」、2部は韓国語以外の言語(英語、中国語、フランス語)のTESTについての紹介がありました。

まず1部パートでTOPIK運営者の方からのお話の中に知りたかった情報がたくさんありました。
・日本でのTOPIK試験の回数が現在の年3回から年4回になる
・年間の受験者数が4万人(2020年)に達した
・受験者の56%は20代、15%は10代、合わせて71%
・スピーキングの試験は会場確保が難しく、しばらくの間は日本では難しそう
などです。

今後は年間受験者数10万人を目指したいとのことで、期待していきたいところです。

私がもっとも興味深く聞いた発表は2部の新多了先生からのCEFR(セファール)に関するお話でした。

CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)とは、外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠のことで、言語の枠や国境を越えて、外国語の運用能力を同一の基準で測ることが出来る国際標準のことです。

英語だけでなく、日本語や中国語を含む全40言語で参照枠が提供されており、教材開発や教員研修、教育課程の改革など、あらゆるシーンで幅広く用いられているそうです。

CEFRの評価の基準は「その言語を使って具体的に何ができるのか」。それを6段階で評価します。
「ネイティブ・スピーカー」モデルではなく、「複言語者」モデルを目指すということをお話しされながら、これまでは「ネイティブ・スピーカー」のように話すことがよしとされていたところから、今後は「質」、その言語を使って何ができるのかが求められるとのことです。

CEFRで検索するとたくさん関連サイトが上がってくるのでぜひ調べてみてください。

通信449 「外国語が聞き取れる話の続き」寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第449号 (2023年7月22日発行)

外国語が聞き取れる話の続き
寄田晴代
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447号のハンガンネット通信「外国語が突然聞きとれるようになる瞬間」を読んで、韓国語が聞き取れるようになった瞬間を覚えているか?が、我が家で話題になりました。(レベルの差はあるが、うちの家族は韓国語が聞き取れる。)
家族メンバーAは、聞き取れるようになった瞬間は覚えていないけれど、自分が覚えた単語がドラマの中に出てきたときは「ホントにこうやって使うんやぁ」と感激したそうです。(学習に感激は強い味方ですね。)

メンバーBは英語が聞き取れるようになった瞬間を話してくれました。
毎日NBAの試合を英語の放送で見ていたおかげなんだそうです。当時、他にすることがなくて毎日毎日毎日毎日見ていたそうです。初めはアナウンサーが何を言っているのか全くわからなかったのですが、そのうち、選手の名前を言っている部分がわかるようになり、次にバスケットのルールに関する用語を言っている部分がわかるようになったそうです。これらは繰り返し出てくるのでわかるようになったらしいのですが、すると、その二つのパーツ以外の部分が、急に聞き取れるようになったというのです。
今まで切れ目すらわからなかった言葉が「選手名」と「バスケット用語」で区切られ、意味の固まりをつかむきっかけになったようです。

ところで、Bの韓国語の方はどうだったかというと、韓国に語学留学に行って3カ月くらいは全然上達しなかったようです。
それでも、聞き取れなくても韓国語で話しかけられれば、何でも「ケンチャナヨ」と笑顔で答えて韓国人の友人たちと交流していました。
ところがある時「『ケンチャナヨ』ってどういう意味かわかってるんですか?」と友人に言われてしまいます。(これを通訳したのは私でした。)
トンチンカンな使い方をしたのでしょう。こう言われて、Bはこのままではいけない、と思ったそうです。(その後、韓国語で仕事ができるくらいにまで上達できました。)
「失敗って効果あるよねー」と、この思い出話をしながら言っていたのですが、できれば失敗したくない大人になってしまったとも思ったのでした。

「作文力が上がれば聞き取り力も上がるのではないか。」という伊藤先生の「実験」結果を楽しみにしています。

通信448 「東京外国語大学での翻訳実習ワークショップ」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第447号 (2023年7月10日発行)

東京外国語大学での翻訳実習ワークショップ 
加藤 慧
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ありがたいことにご縁をつないでいただき、東京外国語大学で、ゲストスピーカーとして学生さんたちとの交流を行うことになりました。
現在その準備に追われています。

朝鮮語専攻の学生対象の翻訳演習形式の授業の一環として、韓国文学翻訳院の支援で学期に一度翻訳家を招待し、学生たちと話し合う時間を設けることになっているそうです。

早速質問集をお送りいただいたのですが、さすがに鋭い質問が多かったです。
身が引き締まると同時に、翻訳への関心の高さを改めて感じました。

質問にあった内容を中心に、これまでの歩み、翻訳出版に至った経緯、翻訳で苦労・工夫したところ、文芸翻訳者のキャリアパス、そして今後の活動などについてお話しようと思っています。

今回渡韓を控えており、スケジュール的に余裕がなくオンラインでの実施となりましたが、それでもとても楽しみです。

講師としても翻訳者としてもまだまだ未熟者ですが、学生さんたちと近い目線で、少しでも役立つお話ができればと思っています。

ハンガンネットオンライン納涼懇談会のご案内

048-15韓国語市民講座講師のネットワーク「ハンガンネット」がオンラインの納涼会を開催致します。講師同士、近況のお話、情報交換、お悩みモロモロお話しましょう。飲み物をご準備頂き、気軽にご参加ください。

前半 授業で使える小ネタ発表会 13:00-13:30
司会:阪堂千津子

授業がマンネリ化していませんか? 受講生さんに楽しんでいただきながら韓国語の力が付く小ネタ、授業の準備で使える小ネタ、などなど共有できたらと思います。

3名の先生方に授業の小ネタを少し紹介して頂きます。
キム・スノク先生(コリ文語学堂):「授業の帯活動としての音読トレーニング」
寄田晴代先生(東京文化学習センター):「習った文型を使って描写しよう」
金玄謹先生(ミリネ韓国語教室):「일본 사람이 회화할 때 틀리기 쉬운 표현 딱 3가지만 고칩시다」

(5分休憩)

後半 講師同士の納涼会 13:35-14:30
司会:キム・スノク(コリ文語学堂)

普段はなかなか直接の語り合うことの少ない各教室・現場をもつ先生同士で、気軽におしゃべりしながら互いの悩みやアイデアを共有し、親睦を深めましょう。

※お申し込みの際に、お悩みや他の先生方に伺いたいことなどをご記入ください。

各ルームにはハンガンネットの世話人がコーディネーターとして参加します。何を話せばいいのか分からないということがないよう、世話人が配慮致しますのでご安心ください。

開催日:2023年8月6日(日)13:00~14:30 (10分延長の可能性有り。飲み物をご準備の上ご参加ください)
時間:12時45分にZoomの部屋をオープンします
開始:13時00分
参加費:無料

参加条件:
・韓国語講師(これから教室を始めたいという方も、大歓迎)
・韓国語教室運営関係者、今後韓国語を教えたいと思っている講師志望者(講師志望者は懇談会のご参加はご遠慮ください)
・会員/非会員は問いません。

申し込み
https://forms.gle/qJZg5gEafhVfr4oA6

通信447 「外国語が突然聞き取れるようになる瞬間」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第447号 (2023年7月3日発行)

外国語が突然聞き取れるようになる瞬間 
伊藤耕一
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マレーシアに来て1年半が経ちました。
私がマレー語の勉強を始めたのは、マレーシアに行って欲しいと言われた翌週、2020年9月頃でしたので、そこから数えると、2年9ヶ月ほどになります。
テキストが欲しいと思い、長野県内の大きめの書店を訪れて探しましたが、インドネシア語のテキストは何冊もある一方、マレー語のテキストは1冊しかなく、選ぶこともなくそれを買い求めました。
これは後から知ることになるのですが、インドネシア語とマレー語は基本語彙は共通であるものの、インドネシアはオランダ語の語彙を受け入れ、マレーシアは英語の語彙を受け入れたため、植民地になった後に語彙や言い回しの違いが鮮明となり、意思疎通が難しい場面が出てきているとのことです。
またある方が「マレー語は抑揚の幅が小さく、インドネシア語はより抑揚の幅が大きい。」とおっしゃることを聞いたことがあります。
適切な例えかどうかは分かりませんが、青森弁で話す人と鹿児島弁で話す人が、共通語を使わずにお互いの方言で話すようなイメージなのかなと想像します。

話を元に戻しますが、2年9ヶ月と1年半のいずれの期間を考えるのかは横に置いて、1ヶ月ほど前に、待ちに待った「突然聞き取れる瞬間」が訪れました。
マレー語もやはり、この瞬間は突然に訪れました。例えば買い物に行ってのやり取りで、マレー語で話されても、何を言っているのかは理解できるようになり、その場で、聞き返したいと思うことが激減した感じです。

その瞬間を確信した一つの場面はコーヒーショップでのやり取りで、「砂糖は入れますか」「持ち帰りますか」「少し離れて待ってください」「現金でしか支払いできません」といった会話がスッと理解できた時でした。
それまでは「Yes, please.」「No, thank you.」「OK.」という返答を、分からない時は適当に言っていたので、時々砂糖入りのコーヒーが出されることもあったのですが、最近は完ぺきにブラックコーヒーを注文できるようになりました。

確信したもう一つの場面は、会社の研修をホテルの会議室でやることになり、その予約に出向いた時です。
実際のやり取りは同行した同僚がしてくれるのですが、そのやり取りもほぼ理解できました。
A:少し大きめのA室と小さめのB室があるのですが、どちらが良いですか?
B:実際に見て確認したいので、案内してください。
A:会議室は3階なので、エレベータの前で少しお待ちください。ご案内します。
A:A室は机を8つ並べられるので、16人ほど入れます。B室は机6つほどなので、12人ほどですが、いかがでしょうか。どちらもプロジェクターとマイクはご用意できます。
B:A室の方が良さそうですね。
A:休憩時には飲み物と軽食をご自由にお召し上がりください。外の共通スペースに用意します。昼食は4階の部屋にご用意します。
このような内容でしたが、全ては聞き取れないものの、要所要所の数字と単語は理解できたので、感想を求められても即答できました。

その日は家に帰ってから、どうして聞き取れたのか考えてみました。
1つ目は、その方のマレー語の発音が良く、ゆっくり話してくれたことです。
知っている単語はほぼ聞き取れ、知っている単語に挟まれた知らない単語は頭の中で識別できて、理解しようとせずに飛ばしていたように思います。
おそらく、知っている単語同士を結び付けて、知らない単語を類推していたのではないかと思います。
つまり、今までは聞き取りに全集中していて余裕がなかったのが、聞き取れる単語への集中が不要になって、知らない単語を類推する余裕が頭の中にできたのではないかと思います。
2つ目は、話そうとする文章を頭の中で作文できるようになったことだと思います。
単文ではあり、語彙力の範囲内ではありますが、どの品詞の語彙をこの文章に当てはめるかを、覚えた語彙群から引っ張り出す作業ができるようになってきました。
分からない単語がある時は英語で代用すれば、ほぼ通じることも分かってきました。
聞き取りはその逆の作業ですが、聞き取った単語がどの品詞で何の意味なのかを、知っている語彙群と照合するような作業が瞬時にできるようになったのではないかと思います。

前者は相手に依存せざるを得ませんが、後者は作文力を鍛えることで自分で高めることができるのではないかというのが私の仮説です。
「作文力が上がれば聞き取り力も上がるのではないか。」と考えるに至ったので、これからはマレー語の作文に集中的に取り組んでみようと思います。
以前の通信で「話す>聞く>読む>書く」が能力の順番と書きましたが、最も弱い「書く」を鍛えると「聞く」に良い影響が及ぶのではないかと考えました。
まるで人体実験のようになってきましたが、実践を通じてこの仮説を検証してみたいと思います。

通信446 「楽しく悩みながら初学者にアドバイス」 幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第446号 (2023年6月26日発行)

楽しく悩みながら初学者にアドバイス
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉
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当校講師陣で制作した、生涯学習のユーキャン「はじめての韓国語講座」が売れ行き好調らしく、リリースから2か月ほどで再版が決定しました。

受講生がオンラインサポートシステムから質問を投げかけると、当校に飛んできて、いまは主に私が回答しています。(今後、多くなってきたら何かしら考えるかもしれません)

初学者の悩みはほとんどが、「わかる~!」と思えるもので、韓国語の学習を始めたときのことを思い出しながら、どう考えたらよいか、どう伝えたらスッキリ理解できるか、楽しく悩みながら回答しています。

例えば、(個人が特定できないように少し変えて書くと)
「私は順子という名前ですが、韓国語で書くとチュンコになります。チュンコと思われてしまいませんか?」

このいろんな問題をはらむ質問に、webツールという限られた空間で、どうシンプルに答え、どうしたら納得していただけるか……。「楽しく悩む」という私の気持ちを先生方ならきっと分かってくださるでしょう。

テキスト1でハングルを学び、ハングルが終わると3章に分けて9種類の発音ルールを紹介しています。この段階でここまで必要か、テキスト2で会話や文法を学ぶ前に、ここで挫折してしまわないか悩んだのですが、版元さんと議論を重ねたのち、載せることになりました。

そうしたら、やはり……、
「発音ルールが複雑すぎて理解できません」
「覚えられません」
等々の悲鳴が寄せられるようになりました。

章の冒頭には、「今の段階では、こういう発音ルールがあるということを知っておくだけで構いません。」と書いていて、このような連絡が来るたびに「すべて理解できなくてもいい」と伝えてはいます。ここで嫌になって学習をやめてしまったら、本末転倒です。

しかし、やや飛躍しますが、通訳クラスの説明会等を行うと、例えば、
1600, 26일を、[천뉵뻭], [이심뉴길]とすんなり読む方は、TOPIK6級を所持していても、ほとんどいない、と言っても過言ではありません。

このような状況を見るといろいろ悩みますが、多くの方に韓国語に親しんでいただくには、最初の段階では発音のルールは「いまはいいから」と、言って行ったほうがいいのかな、と……。

「いやいや、最初が肝心。最初からきちんと教えて行かないと」という先生方の声も聞こえるようです。

韓国語を教えるということを始めた20年前と同じことをまだ悩んでいるなぁ、と、楽しく悩みながら、皆さんにアドバイスをしています。

通信445 第1回ミレ翻訳コンテストで考えたこと「翻訳を学ぼう」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第445号 (2023年6月26日発行)

第1回ミレ翻訳コンテストで考えたこと 「翻訳を学ぼう」
ミレ韓国語学院 前田真彦
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6月25日にミレ第1回翻訳コンテストの審査結果発表と講評会を実施しました。
「日韓部門」26人、「韓日部門」46人、計72人の応募がありました。

募集の段階から「学習翻訳」と銘打って、新機軸を打ち出しました。文芸翻訳でも、出版を目標とする翻訳でもなく、中級以上の学習者ならだれもがかかわれる翻訳のことです。原文に忠実に訳し、訳文としてぎこちない部分を整理して仕上げることを目標とします。読者を意識しすぎることなく、こなれすぎた訳語に仕上げる必要はありません。

審査にはミレスタッフ12人が関わり、スタッフにとっても翻訳について考えるよい機会にもなりました。

外国語を日本語に置き換えるという作業は中学校高校の英文和訳以来という人が大半だと思います。中高生の時は、訳文の検討ということも意識することもなく、ただ宿題として訳してきただけではないでしょうか。

韓国語学習者の大半は大人ですので、翻訳に取り組む素地を持っている人が多いと思います。翻訳ということについて学ぶ場がなかっただけで、文章を書いたり読んだりすることが好きな方が多いのではないでしょうか?

<翻訳とは「意訳だ」「再創作だ」>のような言説の影響を受けてか、自由奔放な訳文を提出する方もいました。ミレの「学習翻訳」が狙っているものは、そういうものではありません。原文を繰り返し味わい、内容を深く理解し、適切な訳語を選んでいくものです。大胆な意訳や読みやすすぎる訳文を推奨しません。

韓国に関心のある人は、誰しも翻訳のお世話になっています。翻訳(字幕翻訳含む)があるおかげで、韓国(語)の魅力に目覚め、学習を始めた人も多いのではないでしょうか?
それほど翻訳は大事なのに、翻訳を学べる場が少ないと思います。

第2回を今年年末に実施することを決めました。翻訳について学ぶ機会をこれからも作っていきたいと思います。

通信444「賢い患者生活」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第444号 (2023年6月12日発行)

賢い患者生活
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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今年の春に人生初の入院手術を経験しました。
初めての経験というのは何と新鮮なことでしょう。
宿泊環境から身の回りで起きる出来事のすべてがアトラクションのようにも感じ、生きていく中での経験値がまた増えたと感じました。

その中で、患者である自分を韓国語教室の受講生に、看護師を韓国語教室の講師になぞらえて考える部分が多々ありました。

・一般的ではない用語
とある交代の看護師が私に話しかけた第一声です。
看護師A「めんきゅうは自分でかえていますか?」
私「???めんきゅーというのは何ですか?」
看護師A「いいですいいです、私がやりますから」

こうした一般的でない用語の使用は複数の場面、単語で経験し、その度に聞き返さざるをえませんでした。

これを韓国語教室に置き換えてみました。
講師「そこは口蓋音化です。」
受講生「こーがいおんか?というのは何ですか?」
講師「いいですいいです、私をまねて発音してください」

・引継ぎ
とある交代の看護師が私に話しかけた第一声です。
看護師B「点滴は毎朝かえに来てますか?」
私「(点滴を??毎朝???ん??)??ちょっとずっと朦朧としていて覚えていないんですが…」
看護師B パソコンをさわって「あ、そうですね、はいはい」

先ほどの看護師Aと同様、一体そのパソコンの中の引継ぎ事項はどのようになっているのか、ということを複数回経験しました。

これを韓国語教室に置き換えてみました。
毎回担当講師が変わりその度に冒頭は前回何を習ったかを受講生に聞く講座ということになるでしょう。

・責任感、責任の所在
点滴を一時的に抜きに来た看護師B。点滴を抜いた後、
看護師B「あれ?止めるやつ忘れちゃった。後で持って来ますね」
どうやら最後に腕に巻いて、腕の針とつなげてあるチューブがぶらつかないように止める何かを忘れたようです。
私「はい」
ところがいつまで経ってもそのままなので、食事を持ってきてくれた人に、
私「すいません、この何か止めておくやつを忘れたということなんですが」
看護師C「あ、そうですか。お薬と一緒に持って来ますね」
そしてどうやら私がトイレに行っていた間に持ってきてくれたらしく、薬と「止めておくやつ」がベッドテーブルに置かれていました。
付け方がわからないのでナースコールを押しました。やって来たのはまた別の看護師でした。
私「これはどうやって付けるのでしょうか?」
看護師D「こうだと思います…たぶん…」
私「たぶん…?」
看護師D「そ、そうですよね、ちょっと担当を呼んできますね」
「今の方は看護師さんではなかったのか?」と自問しているとやって来たのは最初に忘れた看護師B
看護師B「あれ、付けてから行かなかったんですか?置いたまま?あの人ね~」
私は「最初に忘れた自分の責任はどこに行った~~」と心の中でぼやきます。

これを韓国語教室に置き換えてみました。
さながら振替授業や返金手続きなどをすっかり忘れてしまう教室でしょうか。受講生から問い合わせると「あれー担当に伝えておきますね」などと回答する教室でしょうか。

ほかにも、カーテンをきっちり閉めてくれない看護師さんにカーテンを閉めて行ってくれるようお願いすると、「私じゃありません」と言われたこともありました。

こうして今回の体験を韓国語教室に置き換えて考えてみると、この事業がなぜに成り立ち継続しているかを考えてみることとなります。
そこには必要としている人が後を断たない、ということがあるのでしょうが。。。

退院後はみるみる日々が快適なものとなり、医療技術の凄さに感動と感謝をしています。

多くの事を初めて経験し、多くのことを学んだ手術入院生活。
「そうかホスピタルにはホスピタリティがあるとは限らないのだ」などと考えながらこれからの自身のホスピタリティに生かせるであろう様々な思いとともに、またひとつ賢くなり患者生活を終えました。

通信443「はじめまして」田附和久

【週刊ハンガンネット通信】第443号 (2023年6月5日発行)

はじめまして
田附和久
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こちらの通信には初登場となる東京在住の田附(たづけ)と申します。
今週は退屈な内容になってしまい恐縮ですが、初登場ですので、自己紹介を書かせていただきます。

自己紹介の前におたずねするのですが、皆さんの韓国語・朝鮮語の学習歴は何年になりますか。いつ学習を始めたかを記憶していらっしゃる方は多いと思いますが、では、その学習を始めた日から今日までの全ての期間を学習歴として数えられる方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。

私は、韓国語風に言えば、「86学番」、1986年に大学に入学してから学習を始めましたので、それから37年の歳月が流れたことになりますが、学習歴37年とはとても言うことができません。たいへん恥ずかしながら、本気で学んだと言えるのは、学部生だった5年間だけかもしれません。いや、思い起こしてみれば、その5年の間にも、真剣に学んでいなかった時期が短くありません。

入学したのは外国語学部の朝鮮語専攻の学科でした。外国語学部は文系の学部の中では留年率が高いと言われていたため、入学当初は留年したくないという思いで、かなり一所懸命に勉強しました。当時、夢の中にまでㅂ変則が出てきて、うなされながら活用させていたことを覚えています。

しかし、学習開始から一年近く経ち、漢字語の多い文章であれば、辞書をひかなくても大意ぐらいはつかめるようになった頃、早くも怠け癖が出てきてしまいました。自分はもう朝鮮語を身につけたという錯覚。日本語と共通する点が多いだけに他の言語の学習者よりも朝鮮語初学者が陥りやすいこの錯覚に、若気の至りとはいえ、見事に嵌ってしまいました。

そんな天狗の鼻をへし折ってもらえたのは、大学2年の講読の授業のときでした。その日は小説家金裕貞の作品を読んでいて、学生たちが順にいくつかの段落ごとに音読をして日本語に訳していくのですが、最初に私の担当が回ってきました。しかし、ろくに予習もせずに出席した状態で1930年代に書かれた小説をきちんと訳せるわけがありません。先生は怒るでもなく、ただ、その場で何度も繰り返し辞書をひかせ、それなりの訳が出てくるまで解放してくれませんでした。
結局、その日の授業は自分一人の担当だけで90分の授業が全て終わってしまいました。そして最後に先生は、音読の誤り(濃音化できていなかった箇所等)を指摘してくださった上で、「『朝鮮語の難問』をよく読み直しておくように」と言い残して去って行かれました(教科書のほんとうの書名は『朝鮮語の入門』だったのですが)。

恥知らずで怖いもの知らずだった19歳とは言え、さすがにその日は恥ずかしさと悔しさに打ちのめされました。そしてようやく、このままではいけないということに気付かされました。それ以降は、講読の授業の予習も比較的真面目に取り組むようになり、少しずつ文学作品等も読めるようになっていきました。数ヶ月後に再び講読の時間で担当が回ってきたとき、汚名返上しようとしっかり予習をして臨み、授業を終えたときに先生から「毎回これくらいのペースで進むといいね」と言ってもらえたときはうれしかったなあ!
あの日の喜びは今でも忘れられません。

さて、少年老い易く学成り難し。歳月は人を待たず、あの日からもう36年が過ぎました。私は、大学院修了後に縁あって韓国系の団体に就職し、それから長い間にわたり仕事で韓国語を用い続け、また韓国語を教える仕事にも携わってきました。その間も、知らない単語に出会えばその都度辞書をひいてはきたものの、それだけではきちんとした学習期間としてカウントすることはできないでしょう。学生時代の5年足らずの学習のお釣りでここまでご飯を食べさせてもらってきたのが実際のところです。

私はこの春、26年間勤めた職場を退職してフリーランスになりました。55歳で再出発のときを迎え、これまでの人生を支えてくれた韓国語・朝鮮語を愛する気持ち、また指導してくださった先生方(鬼籍に入られた方のほうが多くなりました)への感謝の思いをあらためて強く感じています。そして新生活を始めた中で、もう一度真剣にこの言語と向き合い、しっかり学びなおそうという思いを新たにしています。年齢の割に短い学習歴をこれからの人生の中で少しでも伸ばすべく、怠け癖と戦っていきたいと思います。

皆さんには今後この通信を通して、何回か拙い文章にお付き合いいただくことになりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。