通信458「韓国文学翻訳院の研修に参加しました」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第457号 (2023年9月25日発行)

「韓国文学翻訳院の研修に参加しました」
加藤 慧
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7月24日から8月4日にかけて、ソウルの韓国文学翻訳院で行われた <2023 한국문학 번역가 역량강화 프로그램> に参加しました。

渡航費・宿泊費・食費の支援をいただきながら、日本語圏・フランス語圏・ドイツ語圏・ロシア語圏の韓国文学翻訳家、合計15名で研修を受けました。

大変充実したプログラムでしたので、簡単にではありますが、内容の一部をご報告したいと思います。

・작가와의 만남
作家のキム・ミウォルさん、チョン・セランさんのお話を伺うことができました(サインもいただけました!)。
翻訳についての、作家さんたちの考えを聞ける大変貴重な機会でした。

・번역실습 및 합평
事前にそれぞれ取り組んでいる訳文20ページ分と原文(30ページ以上)を提出し、全員分読んでから臨みました。
日程的にもかなりハードでしたが、この過程だけでも力がついたような気がします。
先生と日本語圏参加者の皆さんから訳文のフィードバックを受け、たくさんのヒントをいただきました。

・번역 세미나 “좋은 번역이란 무엇인가”
最後の翻訳セミナーでは、「良い翻訳とは何か」について全員で考えました。
各言語圏ごとに代表者が発表を行い、様々な視点から討論をしました。

翻訳に関する学びはもちろん、日本、そして世界の韓国文学翻訳家の皆さんとの素敵な出会いが大きな財産となりました。

韓国文学や韓日翻訳への学習者の関心が高まるなか、この経験は韓国語教育の仕事にも還元できると思います。
オンラインでの文学作品精読のレッスンも好評です。

まだ夢のまた夢ですが、いつの日か翻訳も教えることのできる講師になれるよう、さらに学びを深めていきたいと思っています。

通信457「講座の料金設定と講師の収入」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第457号 (2023年9月18日発行)

「講座の料金設定と講師の収入」
伊藤耕一
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幡野先生の通信に続き、私もお金にまつわる話題を書いてみたいと思います。

例えば、授業料をいくらに設定すれば良いか、これはとても悩ましい課題かと思います。
自宅の一室を利用して、半年コース(25回)の講座を複数設定しようとする場合、1回当りの講座料金もしくは、1コースの料金をいくらに設定すれば良いのでしょうか?
原則的には需要と供給の関係で決まってくるのですが、そのあたりの関係をどのように考えれば良いのか、飲食店の例を参考にしながら考えてみたいと思います。

飲食店業の場合、よく言われるのが「飲食店の原価は約3割が適正」という指標です。
「原価」とは飲食店の場合「食材費」のことを指します。
例えば1食1,100円のラーメンを考えた場合、スープ・麺・具材・調味料等が330円という意味です。
残りの770円は家賃・光熱水費・アルバイト等の人件費・広告宣伝費・設備の減価償却費・その他経費と利益ということになります。
利益が3割(330円)欲しいとすると、諸経費を440円以内に抑えなければなりません。

続いて、自分が1ヶ月でいくら稼ぎたいかを考える必要があります。
例えば月に手取り30万円くらい欲しいと思えば、額面ではザックリ40万円ほどの利益を得る必要があります。(税金・社会保険料を約25%と仮定。消費税は40万円の中から3万円ほどを納めなくてはならず、実質収入は37万円ほど。)

では、月に40万円の利益を得るには、いくら売り上げれば良いか?
それは「利益÷利益率」という算式で求められ、40万円÷30%=約133万円、月に133万円程度の売り上げが必要となります。
では、月に25日働くとして、一日いくらを売り上げれば良いか?
133万円÷25日=約53,000円となります。(売上121万円+消費税12万円=133万円)

image
左側の表は顧客の目線で考えた視点、右側の表は、経営者の目線で考えた視点のイメージです。(万円単位で表示しているため、矛盾する箇所はご了承ください。)

次に、ラーメンを一日に何杯売れば良いか?
53,000円÷1,100円=49杯≒50杯、以下の計算では一日50杯としてみましょう。
続いて、1杯作るのに何分必要か?
もし10分なら、50杯×10分=500分=8時間20分、これだと休憩時間もなさそうです。
もし8分なら、50杯×8分=400分=6時間40分、休憩はできそうですが、仕込みや閉店後の清掃の時間は取れそうでしょうか?
このように考えながら、無理そうなら利益を減らす、あるいはアルバイトを増やして食数を増やし売り上げを上げることを考える、時短での調理法を考える、といったことを試行錯誤しながら考える必要があります。

また、これはひっきりなしにお客さんが来てくれる場合の想定ですが、閑古鳥が鳴いたらどうするかも考えなければなりません。
最悪の場合、一日25杯でもやって行けるだろうか? 食材が残ったとしてもロスにしにくい方法はないだろうか? 自分が風邪を引いたらどうしよう? 昨今の電気代やガス代や食材費の値上がりは1,100円で吸収できるだろうか? 等々、リスクについても考えておく必要があります。

韓国語講師の原価を考えるのは、経営方法によって千差万別なので、今回は自宅の一室を教室にして極力諸費用を抑え、自身の人件費のみが必要という前提で考えてみます。
自宅の一室なので、定員は1回当り8人としてみます。
90分授業を一日に4回、間に30分休憩を挟み(90分×4回+30分×3回=450分=7時間30分)、週に5日(月に20日)働くという前提にしてみましょう。

月に40万円を稼ぐには、40万円÷20日÷4講座÷8人=625円となるので、1人の受講生から1講座1回当たり625円の受講料を受け取ることができれば実現できそうです。
1講座25回(半年コース)とすれば、625円×25回=15,625円となり、受講料は1人当たり半年で約16,000円という計算になります。
しかし、全講座に8人が集まるとは限らないので、リスクを考えて半分の4人としてみると、受講料は1人当り半年で32,000円という計算になります。

つまり1回当り1,280円(32,000円÷25回)ですが、受講生は集まりそうでしょうか?
一日に4講座を1人でやって行けそうでしょうか?
このあたりが「需要と供給の関係」を考える場面になります。

もし難しそうであれば、40万円の稼ぎを35万円にしてみる、授業時間を60分にして一日の講座数を増やしてみる、プライベートレッスンを行い単価を上げてみる、オンラインの授業も行い遠隔地の方でも受講できるようにして定員を増やしてみる、平日の午前は休みにして、平日の夕方から夜にかけてと土日に授業をするようにしてみる、等々、条件を変えて試算することになろうかと思います。

いずれにしても、自分自身が満足できる収入を得つつ、受講生に料金をリーズナブルと感じてもらい、受講生が参加しやすい時間帯と手段で授業を行い、働き過ぎにならないように気を付け、リピーターを確保し、、、講師にとっても受講生にとっても持続可能なところで時間とお金の折り合いを付けることになるのだろうと思います。

何となく半年の講座で授業料40,000円とか50,000円などと上から考えるのではなく、1日当り売上〇〇円、1ヶ月当り売上〇〇円、1回当り受講料〇〇円と、受講生の立場も考えながら下から積み上げて計算してみるのが良いのではないかと個人的には思います。
このように考えておけば、価格競争に巻き込まれ価格を維持するか下げるかの判断を迫られた時や、コロナ禍のような減収があった時でも、根拠を持った対策が打てるのではないかと思います。
もしくは32,000円もらえば十分だけど、強気に40,000円に設定してみることも可能になります。

以上は、もし私が韓国語講師を専業でやってみたらどうなるだろうかと何年か前に考えた時の思考法ですが、少しでも皆様の参考になれば幸いです。

2023年11月の「ハンガンネットオンラインセミナー」のお知らせ

038-07韓国語市民講座講師のネットワーク「ハンガンネット」が開催する11月のセミナーもオンラインにてお届けします。今回のセミナーテーマはライブ授業「複パッチムの単語の読み方」です。

開催日時:2023年11月12日(日)20時~21時30分
開場:19時50分にZoomルームをオープンします
スタート:20時00分
定員:50人(お申し込み先着順)
発表と進行:前田真彦

セミナー:ライブ授業「複パッチムの単語の読み方」
二重パッチムの単語(읽다、젊다など)は、中級を終えるまでにかなりの数が出てきます。
原形だけでも発音の原則が複雑で混乱しがちですが、活用形になると発音変化(濃音化、激音化、鼻音化、流音化)も出て来て、指導の難しいところです。そこで、今回のハンガンネットセミナーではライブ授業(初対面の受講生対象)を行いながら、30分で総整理をしてみます。

セミナーの流れ
1.ライブ授業を見て頂きます。(ライブ授業後、受講生には退室して頂きます)
2.授業後、講師同士で話し合い。
授業での気づき、自分ならこうするなど、工夫、改善点を出し合い、より良い授業について考えていきます。

前田真彦(まえだただひこ)
ミレ韓国語学院院長。関西大学博士後期課程単位取得。
10年間中級をさまよった自身の経験を生かして「前田式」の教授法を開発。日本語話者の強みと弱みを知り尽くした指導には定評がある。

参加条件:
・韓国語講師(これから教室を始めたいという方も、大歓迎)
・今後韓国語を教えたいと思っている講師志望者
・会員/非会員は問いません。
申し込み締切り:2023年11月10日(金)20:00まで
悩みや課題に思っていることや現況も一言添えてください。

参加費:1,000 円
【参加費は事前に銀行振込よりお支払いください。】
⇒振込先 paypay銀行 本店 普通 2174994 ハンガンネットマエダタダヒコ

申込ページ:

通信456 「質に見合った料金設定」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第456号 (2023年9月11日発行)

「質に見合った料金設定」
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉
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日下先生やぺさんが、検定試験の話題と共に、いくらだったら払うか等、学習とお金にまつわる話題を取り上げてくださったので、私も乗ろうと思います。

当校はプライベートレッスンの料金見直しを行い、10月よりアップすることにしました。18年間、変更せずに来ましたが、講師への謝礼をアップしたいというのが一番の理由です。

長い間プライベートレッスンを運営してきて、当校のレッスンシステムも改良を重ね、講師の実力も上がってきているのに、同じレッスン料金というのはどうだろうと、だいぶ前から思っていました。

『激安ニッポン』という書籍がベストセラーになっています。
物価が上がらない、人件費が上がらない、日本は(質に比べて)‘安い’国になっています。

韓国語講師を募集しても、以前ほど応募がありません。(就業を見据えた)留学先として、就職先として、日本は魅力を失ってきているのではないかと思います。

しかし、質の高いレッスンは提供し続けなければいけない、というジレンマでここのところとても悩んでいました。

私たち教育業界の人間は、また、日本人の傾向として?お金を頂くということに何か罪悪感のようなものを感じるでしょうか。学校の先生たちの「働き方」も社会問題になっていますね。

前も取り上げましたが、当校が制作したユーキャンの「はじめての韓国語講座」は、教科書が4冊、動画もついて、質問のサポートもあり、29,800円です。
あの労力を考えると、値段にマルをもう一つ付けたいくらいです。(ミリネさんご著書、HANAさんより出版された『hanaの韓国語単語<上級編>』も、もう一つマルを付けたいですね!)

「〇円以上は払えない」と言われてしまうと、なんだか悪いことをしているような、なんとも言えない気持ちになります。20年以上学院を運営している私でもそうです。

インターネットには無料レッスンや格安レッスンがあふれていますが、当校を選んでくださる方にはそれとは別物として、捉えていただきたいと思っています。

ハンガンネットの会員の皆さんは、経営に携わる側の方と、講師として働く側の方がいらっしゃると思います。お金の話はなかなか大っぴらに語ることができませんが、この何回か続いている投稿のように、できる範囲で情報交換ができたらいいですね。

通信455 「教え方も上達する」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第455号 (2023年9月4日発行)

「教え方も上達する」
ミレ韓国語学院 前田真彦
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当たり前のことですが、教え方も上達します。

ミレでは、「教え方の学校」金曜21時~、「韓国語教育ラボ」日曜16時~、
を毎週実施しています。

内容は大きく分けて2つ

1,韓国語の理解を深める (『韓国語概説』などを講読しています)
2,教え方の訓練 (10分間模擬授業・音声添削など)

それぞれ輪番制で私もその一人として発表しています。

受講生の教え方の成長ぶりを目の当たりにして感動しています。
ここでは10分間模擬授業について簡単に報告します。

指導案付きの10分間模擬授業を毎時間輪番制で実施しています。
受講生のみなさんは授業をした経験がありませんから、
最初は当然、みなさんお下手です。
学習指導案(教案)もまともに書けません。指導案の添削もします。
模擬授業の予行も別途することもあります。

そういう人が、毎回他の受講生の模擬授業を見、自分も数回模擬授業をやっているうちに、
次第に着実に腕を上げてくるのです。

授業の進め方、説明の仕方、指名、コメントなど、どんどんうまくなっていきます。
自信が付くと、声の張りも表情も変わってきます。

模擬授業であることを忘れ、私もその授業で一緒に学び、ポイントをメモしたり、
一受講生として質問したりするようになります。

授業のやり方は様々ですが、おさえないといけない基本のポイントはいくつかあり、その指導が必要です。
また切磋琢磨し、相互批評する仲間がいることも大切です。
そして回数をこなすことが何より必要です。

10分間模擬授業を毎週実施していると、
模擬授業にも順序があること(テーマによって難易度の違いがある)ということも分かってきました。

教え方のカリキュラムも作っていかなければなりません。

市民講座の講師養成は急務です。

通信454 「検定試験の勧め」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第454号 (2023年8月28日発行)

「検定試験の勧め」
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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生徒が全員主婦のグループレッスンにて、韓国語学習のモチベーションにと検定試験を勧めました。
「検定試験受付が始まりますね。申請してみてはどうですか。自分で思っているより少し上のレベルを狙うのもモチベーションアップにつながるかもしれませんよ。」

するとこんな答えが返ってきました。
「受験料って高いんですよー!絶対に受かる級じゃないと受けられません。」

なるほど、その視点が欠けていたかと気づきました。高い受験料、決してもったいないものにしたくないという心理。
クラスメート全員が共感します。「そうなんですよー」

そんな検定試験の受験料はいったいいくらなのか検索してみました。

ハングル能力検定試験
1級 10,000円
2級 7,000円
準2級 6,300円
3級 5,300円
4級 4,200円
5級 3,700円

また上記料金は2022年に改訂されたものでそれまでの料金はこちらだったようです。
1級 10,000円
2級 6,800円
準2級 5,800円
3級 4,800円
4級 3,700円
5級 3,200円

確かTOPIKはもう少し安かった印象がありましたが、いくらなのかこちらも検索してみました。

TOPIKⅡ 7,000円
TOPIKⅠ 5,000円

むむ?? TOPIKってこんな料金でしたか?
上記は2023年7月試験からの改定料金で、その前は、
TOPIKⅡ 6,000円
TOPIKⅠ 4,500円
だったということです。

ただ上記も2022年に改訂された料金で、その前は、
TOPIKⅡ 5,500円
TOPIKⅠ 4,000円

ただ上記も2021年に改訂された料金で、その前は、
TOPIKⅡ 4,000円
TOPIKⅠ 3,500円
だったということです。

TOPIKⅡの場合3年ほどの間に 4,000円→ 7,000円という値上げが行われていたのですね。
結構大胆な値上げペースに思います。

これらが高いか安いかは英語のTOEICや日本語のJLPTなどの試験や他国との比較なども必要かもしれません。

先の韓国語学習者主婦グループの場合、聞いてみたところ5千円以上になると気軽に受けられる値段ではないということです。
彼女たちにとっては検定試験合格が今後履歴書作成に必要な項目というわけでもないので、
モチベーションのためだけに5千円以上は難しい金額のようです。

これがそのまま主婦の学習者の一般的考えだと仮定すると、
TOPIKⅠ、TOPIKⅡ、ハングル能力検定3級以上は、今後主婦の受験者は減ることになりますが、さて実際はどうなのでしょうか。

幅広い年齢層の学習者が増えている韓国語ですが検定試験の今後の推移も気になるところです。

通信453 「学習の評価について」 田附和久

【週刊ハンガンネット通信】第453号 (2023年8月14日発行)

「学習の評価について 」 
田附和久
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私は、高等学校と一般市民対象の教室、それぞれで長く韓国語教育に携わってきました。同じ韓国語教育といっても、高校と一般対象の語学教室とでは多くの違いがありますが、もっとも大きく異なるのは、学習の評価に関する点です。

現在私は一般を対象とした教室では、定期試験等は実施しておらず、成績表を渡すこともしていませんが、学校では必ず学期末ごとに成績評価を行い、それを成績表の形で学校を通して本人に伝えなくてはなりません。学校の成績は、受講者のその後の進路、人生に大きな影響を与えるため、客観性、公平性が厳しく問われます。疑義が生じたときには、成績を算出した根拠をきちんと示さなくてはなりません。

高校の成績というと定期試験の結果に基づいた5段階もしくは10段階の評価・評定を思い起こす方が多いと思いますが、2022年度の学習指導要領改訂に伴い、日本全国の高校では昨年度入学生から全ての科目において「観点別学習状況の評価」(観点別評価)というものが導入されるようになりました(小・中学校ではすでに以前から導入されています)。これは、「知識・技能」、「思考・判断・表現」、「主体的に学習に取り組む態度」の3観点別にそれぞれA・B・Cの3段階で評価し、それをもとに1~5の評定をつけるという評価法です。

この新しい観点別評価の背景には、従来の知識偏重の教育ではなく、知識及び技能の習得と、思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視した「主体的・対話的で深い学び」を目指すという新学習指導要領の基本方針があります。新学習指導要領では、知・徳・体にわたる「生きる力」を育むために、全ての教科が、①知識及び技能、②思考力、判断力、表現力等、③学びに向かう力、人間性等の3つの柱で再整理され、観点別評価の3観点もこれに基づいて設定されています。

観点別評価が基本方針として目指しているのは、①児童生徒の学習改善につながるものにしていくこと、②教師の指導改善につながるものにしていくこと、③これまで慣行として行われてきたことでも、必要性・妥当性が認められないものは見直していくこと、の3点です。企業で働いていらっしゃる方には古くから親しまれているPDCAサイクル(Plan
計画、Do 実行、Check 評価、Action 改善 の循環プロセス)が、近年では学校教育の現場でも強く意識されるようになっています。

ここまで長々と理念的な話を書きましたが、実際のところ、観点別評価の導入によって高校の教育現場がどのように変わったかといえば、正直な話、まだ評価法が確立せず、かなり多くの学校で混乱が見られているのが現状であろうと思われます。

いくら理念が立派でも(理念が立派であるだけに)、それを現実に実践しようとすると、多くの準備が必要となります。従来であれば、普段の小テストや授業態度等から算出される平常点と期末試験の点数との総合によって比較的機械的に成績を出すことができましたが、観点別評価を実施するためにはそれだけでは足りず、思考力、判断力、表現力を評価できるような課題や、主体的に学習に取り組む姿勢を評価する方法等をきちんと考えておかなくてはなりません。私が担当している韓国語の授業でも、通常の期末試験のほかに、おぼえた単語や表現を用い、思考力、判断力、表現力を発揮して発表を行ってもらう課題(例えば、ソウル旅行計画を作成して発表する等)を出題していますが、初学者の段階でそれだけの発表を行えるようにするためには、あらかじめ様々な仕掛けを用意しなくてはなりません。正直な話、授業準備の時間がいくらあっても足りないほどです。それでもまだ外国語は、こうした課題を作成しやすい科目であるように思います。体育や音楽等の実技中心科目の先生方は相当苦労されていることでしょう。一方で、教師の過重労働が問題となり学校でも働き方改革が叫ばれる中、多くの先生方がこれまで以上に時間のやりくりに困っているのが大半の現場の実状であるようです。

さて、冒頭で、私は一般対象の教室では現在定期試験実施に基づく学習評価は行っていないと書きましたが、一般対象の授業であっても学習評価自体はきちんと行い、その評価を受講者に伝えるべきだと考えています。正しい評価活動を通してこそ、学習者は自らの到達度や足りない点を理解して今後の学習改善につなげられるようになり、また教師も自らの指導の足りない点や弱い点をより正確に把握できるようになり、授業改善のためのPDCAサイクルが回り始めるようになるでしょう。

評価方法には工夫が必要です。大人の皆さんは、学校で行ってきたような試験の実施は嫌がる方が少なくありません。私も、可能な限り普段の授業のやり取り等を通して評価を行い、その結果を上手に受講者と共有する方法を模索しているのが現状です。

難しいけれどとても大切な学習評価を、皆さんは普段の授業においてどのように実施していらっしゃいますか。ぜひ皆さんの学習評価に対するお考えやご経験も紹介いただけるとうれしいです。

通信452 「夏休み前に…」奈良美香

【週刊ハンガンネット通信】第452号 (2023年8月7日発行)

「夏休み前に… 」 
下関市立大学 他 奈良美香
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時期的に期末試験の採点及び成績判定処理に追われる頭の痛い毎日となりました。期末試験の点数や平常点など、総合的に判断した結果、「不可」認定を与えなければならないケースの場合は、心が穏やかではありません。大学で授業を担当されている先生方は、同様な状況ではないでしょうか。

新学期がスタートする際に、毎回初回の授業で学生に「今学期の到達目標を決めよう!」というシートを作成させます。その内容は

① 今学期の到達目標を3つ書いてください。
② 目標を達成するための学習目標または方法を書いてください。
③ 自己紹介を書いてください。

上記の3つを作成後に、自己紹介も兼ねながら①の到達目標から一番に達成させたいもの1つだけ発表させ、「有限実行」できるように今学期終了までお互いに頑張りましょうと動機付けをし、15回目の最後の授業の際にその用紙を学生に返却し、振り返りシートを作成させます。授業開講時に設定した自身の到達目標を達成できたかどうか、反省点などの自己評価と授業に関しての感想も書いてもらいます。回収した内容には、「目標を2つは達成できた」、「授業の活動を通して簡単な文を韓国語で話せるようになった」、「読めるようになったが単語の意味を書くのは難しい」、「自分が当たるところを答えるのに必死で、他の問題の解説をまともに聞けてない」など、この作業を通して学生本人も、当初の目標設定時と現在の状況を比べ、今学期の韓国語学習に対して具体的に振り返ることができたようです。私自身も回収した内容から、授業への評価がわかり、励まされ今後の改善点などの参考になります。この結果をふまえ、後期からスタートする授業準備に備えたいと思いますが、いよいよ大学は夏休みに入ります。教養科目になると、後期の初日には、韓国語力がリセットされているケースがあるので、学生の韓国語学習のモチベーションがアップできるようなアプローチを考えないといけません。私の奮闘はまだまだ続きそうです。

猛暑が続きますので、先生方みな様もお身体にはご自愛くださいませ。

通信451 「ハン検1・2級受験者のための単語集を作りました」 ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第451号 (2023年8月1日発行)

「ハン検1・2級受験者のための単語集を作りました」
株式会社HANA ペ・ジョンリョル
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つい先日、544ページの本を校了しました。ハン検1・2級受験者を対象とした単語集『hanaの韓国語単語上級編 ハン検1・2級レベル』という本です。著者は本ネットワークの会員でもあるミリネ韓国語教室の金玄謹先生で、先生がご自身の学校で開催されてきた「ハングル検定1級・2級対策講座」の教材がベースになっています。

今回の単語集で取り上げた単語は5000語以上になります。まず固有語単語と韓日で漢字や用法が異なる漢字語(이재민[罹災民]=被災者、기상[気像]=気性など)を最優先に選び例文と例文訳、必要に応じて補足説明を加えました。その他、韓日で一致する漢字語や動植物名などは最短で覚えられるよう一覧掲載し、接辞、依存名詞、冠形詞も短い複数の用例とともに掲載しました。もちろんハングルと日本語の索引もあり、音声のダウンロードも可能です。

この本には、ハングル能力検定協会が発行する『合格トウミ上級編』の単語がほぼ網羅されています。本の設計にあたっては、字が小さくなりすぎないようにしつつも、1冊の本にいかに多くの語彙を効率的に入れられるかという点に気を配りました。その結果、B6判で544ページ、背幅26㎜の本になりましたが、必要なものはなんとかギリギリ収めることができたと思います。

弊社内に1人、ハン検1級所持者がいますが、検定試験の頂点ともいえるハン検1級合格のためには、この本で取り上げた上級単語に準2級以下の単語も加えたボキャブラリーが当然必要で、彼女はこれらすべてを覚えたそうです。ハン検の5級から準2級までの出題範囲は7000語弱(弊社調べ)なので、上級単語と合計すると、1万2000語くらいのボキャブラリーは必須とされるわけです。

本を作ってみてよくわかったことは、私が1級を受験したら確実に不合格になるということです。2級もあぶないと思いました。普段から韓国語を使って仕事をしてはいますが、だいたいわかったつもりになっているだけなのでしょう。1級に受かるくらいのボキャブラリーを身に付ければ、聞き取れる韓国語の「解像度」が高まるでしょうし意思疎通や読書、映画・ドラマ鑑賞などをもっと滑らかに進められるのは間違いないと思いました。久しぶりに学習意欲が湧いてきたので、本が出たら、自社のこの本で勉強しようと考えています。

ハン検のHP(https://hangul.or.jp/siken-top/pastexam/)に掲載されている今年春の出願者数を見ると、1級が120人(受験者106人、合格者20人)、2級が426人(受験者370人、合格者70人)とのこと。1・2級共に合格は狭き門ですが、前回は1級合格者が20人も出たと(多すぎると)話題になったそうです。

会社としては採算度外視の本ですが、いつかは元が取れるよう、今後検定上級の受験者が増加することを期待しています。本は8月12日頃から店頭に並ぶ予定です。