通信467 「韓国語教材のカナルビについて」加藤 慧

【週刊ハンガンネット通信】第468号 (2023年12月4日発行)

「韓国語教材のカナルビについて」
加藤 慧
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先生方はハングルのカナルビ表記について、どのようにお考えでしょうか。
おそらくほとんどの方が反対派だと思います。

私もずっと反対派だったのですが、最近初めて教材の監修を担当させていただいた際(https://amzn.to/46FhN52)、出版社の意向でルビが必須でした。
いろいろと葛藤があったのですが、これを機にあれこれ考えたことについて書いてみたいと思います。

例えば、쉬 , 봐 などの発音について言えば、それぞれ「シュイ」、「ボァ」という表記でかなり正確に再現できると思っています。

逆に 화, 회 に関しては「ファ」、「フェ」という表記が一般的ですが、これだとどうしてもFa , Feに近い発音になってしまいます。
これは「ファ」、「フェ」ではなく「ホァ」、「ホェ」という表記にすれば回避できるかもしれません。

もちろん 어/오, 우/으 やパッチムなど、カタカナで区別できない発音に関しては限界がありますが、このように正確な発音に近い表記を、ある程度まで追求することはできるのかなと思います。

それをもとにした韓国の外来語表記法(実際の発音との乖離という問題点はさておき)のようなカタカナの表記法の基準などがあれば、発音の助けになるかもしれません。

最近では韓国カルチャーの普及により、多くの韓国語がカタカナで定着してきています。
料理名や地名、人名などはどうしてもカタカナ表記をするしかないわけなので、むやみに排除するのは違うのかなという気もします。

また、大学で授業をしていると、いつまでたってもハングルが読めるようにならない学生がクラスに一人はいる印象です。
以前カルチャースクールで授業をしていた際にも、入門クラスでどれだけ丁寧に練習してもハングルに抵抗が残り、挫折してしまった方がいました。
このようなケースを考えたときには、たとえ正確な発音ではなくても、カタカナを利用してでも発話を促すというのは、かならずしも悪くないのかもしれないと思いました。

もちろん一度ついてしまったクセを直すのは大変なので、正確な発音を目指すことが難しくなるリスクは無視できません。
ただ、学習を諦めてしまったり、意欲が低下してしまうよりは、たとえカタカナ発音であっても、「言えた」「話せた」という小さな達成感が持てることのほうが大切なのかなとも思います。

誰でもいきなり自転車に乗るのは難しいように、ルビも適切な使い方さえすれば、いつか外せるその日まで、補助輪のような役割をしてくれるかもしれないと考えるようになったのでした。

先生方のご意見をぜひ伺ってみたいです。

通信466 「トライ&エラー」 伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第466号 (2023年11月29日発行)

「トライ&エラー」
伊藤 耕一
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マレーシアに来て、早いもので来月で丸2年になります。
気候が良く、優しい人々が多く、マレー・中国・インドの各民族の生活習慣や食文化は新しい発見ばかり、食べるものは安く美味しく、もうしばらくこちらで生活したいと思うようになってしまいました。
今回は丸2年で私のマレー語がどのようになったのか、振り返ってみたいと思います。

2年前は、耳に入ってくるマレー語は全く分かりませんでした。
今は知っている単語は聞き取って意味を理解できますが、例えばラジオだとパーソナリティが話す単語のうちの10~20%くらいしか分からないので「話のテーマ」は分かっても「具体的に何を話しているのか」はよくわかりません。

先日、車で移動中にラジオニュースを同僚と一緒に聞いていました。
「イスラエル」「パレスチナ」「4日」といった単語は聞き取れたので、ガザのニュースであることは分かりました。
その時は一緒に乗っていた同僚が「4日間の停戦交渉中だって。」と教えてくれたので、そのニュースを理解することができました。
この「停戦」「交渉」といった単語が聞き取れるようになればなあ、と思ったところです。
この2年で私のヒアリング力の「ざるの目」は少し締まってきたように思いますが、もっと締めて、ざるに残る音と単語を増やしたいところです。

話す方は、英語の構文で文章を作り、それをマレー語に直して行くと、ほぼ通じる文章になることが分かり、頭の中で英作文しては、一語一語をマレー語に置き換えて行くような作業をしています。
ハングルを頭の中で書いては話していた頃を思い出します。

例えば「明日、私はお客様との会議に行く予定です。」と言いたい時は、このように作文します。
Tomorrow, I will go for a meeting with a customer.
Esok, saya akan pergi untuk meeting dengan pelanggan.
検証のため、是非、Google翻訳にコピペしてみてください。⇒Esok, saya akan pergi untuk meeting dengan pelanggan.
マレー語⇒英語の翻訳は、ほぼ同じ結果が出てくるかと思います。

しかし、これを英語⇒マレー語にひっくり返してみると、こんな感じになります。
Esok, saya akan pergi ke mesyuarat dengan pelanggan.
Tomorrow, I will go to a meeting with a client.
この場合の前置詞は「untuk」よりも「ke」の方が良く、「meeting」は「mesyuarat」という単語を使った方が良いことが分かります。

今は短い単純な文章しか書いたり話したりしかできなないので大きな間違いはないと思いますが、高度もしくは複雑な文章はGoogle翻訳の結果の検証も必要です。
また、どちらかというと、書き言葉が訳出される傾向があるので、話し言葉として自然なのかどうかも確認したいのですが、今の実力ではそこまで到達できていません。

おそらく、少し変なマレー語を話す日本人だと周りでは思われているのではないかと思いますが、こんな感じのトライ&エラーを繰り返しながら、ひとつひとつ単語と会話文を覚えている段階です。
また、言いたいことは準備することで何とか話せますが、相手の返事を瞬時に理解して、自分の次の話を組み立てられないので、対話になりません。
この歳になると記憶力の低下を否が応でも自覚させられますが、語彙力は何としても高めたいとも思います。

マレー語は英語と親和性があり、韓国語は日本語と親和性があるのですが、韓国語を勉強し始めて丸2年くらいの学習者は、私と同じような作文をするのではないでしょうか?
間違っているとまでは言えないけど、直したいところがたくさんある。
なので、私が発するマレー語を聞いた時に、私の周りにいるマレー人は「こういう風に言った方がもっと良い。」などと教えてくれるのでしょう。

私の今のマレー語は大目に見て「下の上」くらいかと思いますが、私の韓国語学習の経験から想像すると、あと2年くらいすれば、「中の上」くらいにはなるのではないかと思っています。
言語の習得には、やはり度胸と時間とトライ&エラーが必要ですね。

通信465 「今年の年末イベントで、また新しい試みを」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第465号 (2023年11月20日発行)

「今年の年末イベントで、また新しい試みを」
アイケーブリッジ外語学院  幡野 泉
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当校の韓国語講座は毎年、年末に大きなイベントを行っていますが、
対面のイベントは2019年の年末を最後に開催せず、オンラインで行ってきました。
この間、縮小したスピーチ大会の代わりに翻訳大会を催し、大変盛り上がりました。

今年はコロナ禍の制限もなくなってきたので、久しぶりに対面のイベントに
戻すのですが、このコロナ禍の約4年間で、海外・地方の受講生が増えたため、
オンライン形式も残したい、となりました。

対面形式のイベントをただYoutubeで配信することを考えたのですが、
まてよ、オンラインの受講生がスピーチ大会に参加できないではないか、
翻訳大会で受賞した人がオンライン参加だったら喜びの声を聞けないな、と。

同時に、教室周辺の貸会議室について調べ、下見に行ったところ、
ビデオカメラとマイクを使ってのYoutube配信にZoomをドッキング
させることができることが分かり、今年はこの方式にチャレンジして
みることになりました。

映像翻訳部門はこれまで字幕翻訳だったのですが、今年は初の
「吹き替え翻訳」とし、韓日翻訳部門はこれまでエッセイだったものを、
初めて小説にしてみました。

去年の字幕翻訳部門の受賞者の方は、この受賞がはずみになって、
それから一定のお仕事を受注するきっかけになったとおっしゃっていて、
一人でも多くの方に、何かの「きっかけ」を届けられるイベントにしたいな
と思っています。

イベントの様子はまた、ご報告させていただきたいと思います!

通信464 「K-POPダンスの衝撃」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第464号 (2023年11月6日発行)

「K-POPダンスの衝撃」
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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先日、韓国語学習者が中心となって企画主催した「みんなでK-POPダンスを踊ろう」という催しに参加して来ました。

入門者向けの内容でしたが(そうでなければ自分には参加は不可能でしたが)人生初体験のダンスレッスンは衝撃でした。

まずはストレッチに1時間ほど。もうこれだけで体が心底喜んでいます。

そしてそのあとついに具体的なダンスの振付の練習です。
練習曲はBTSの<Dynamite>。

たった1小節を覚えるのに必死です。
最終的にはサビの8小節をなんとか頭に入れて通しで踊って完成です。

合計で3時間ほどの全身運動となりました。

そこで得たものは計り知れないものでした。

記憶の作業は日常的に行っていますが、様々な体の動きを記憶していくという作業は初めてした気がします。
そしてK-POPアイドルの振付を分解して、多少なりとも記憶できるようになったことは大変な喜びでした。

脳は相当に活性しているに違いない。
体は心地よい疲労で喜びがあふれてくる。
そうか、ダンスに魅了される人々はこの喜びの積み重ねをしているのか!
ダンスの魅力が初めてわかったぞ!

ああ、そしてK-POPアイドルの偉大さを初めて体で知った。
彼らはこんな練習を毎日何時間もこなし、この何百倍もの小節数のダンスをライブで踊り、
おまけに息切れもせず踊りながら生で歌も歌ってしまうのだ。
そして曲と曲との間には軽妙なトークまでもこなしてはいなかったか!

普段なんとなく見ていたK-POPアイドルたちのパフォーマンスが神のなせる技だとこの日初めて認識した。
だからなのだ!だから全世界がK-POPに熱狂するのだ。
ああ偉大なり。たゆまぬ努力の結晶よ。

そして私は教室生にこの話をしました。
「K-POPアイドルはとんでもない神業をなんでもないようにパフォーマンスしていたんですね。」
そして最も強調する部分は、たゆまぬダンスや歌の練習努力に加えて
「おまけに彼らはダンスやメロディー歌詞を覚えることのみならず、外国語まで勉強をしているんですよね」ということでした。

外国語まで勉強する努力家K-POPアイドルという視点を改めて話すと、
やはりみなさん元気づけられるようです。
「そうか!自分たちもK-POPアイドルの努力に見習ってそのほんの一部でも韓国語の勉強をがんばろう!」と。

通信463「4技能5領域」田附和久

【週刊ハンガンネット通信】第463号 (2023年10月30日発行)

「4技能5領域」
田附和久
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私は前回、学習指導要領改訂に伴う高等学校での観点別評価の実施というトピックをご紹介しました。学校教育の現場から離れている方々はあまりご存じないかもしれませんが、今、日本の小中高校の現場は評価方法の変更というたいへん大きな変化に直面しているという話でした。

今回は関連してもう一つ、学習指導要領の改訂に伴い、小中高校での外国語教育(現状では主に英語教育ですが)の指導目標が、これまでの「4技能」別ではなく、「4技能5領域」別に設定することが求められるようになったということをご紹介したいと思います。

「4技能」が何かはご存じでも、「5領域」というのは初めて聞くという方も少なくないのではないでしょうか。「4技能」と言えば、「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと」、「書くこと」ですが、「5領域」というのは「聞くこと」、「読むこと」、「話すこと(やり取り)」、「話すこと(発表)」、「書くこと」であり、すなわち従来の「話すこと」が「話すこと(やり取り)」と「話すこと(発表)」に分けられるようになったのです。この変更に伴い、高校英語は、細分化した5領域を総合的に扱う「英語コミュニケーション」と、発信能力を強化する「論理・表現」の2種類の科目に再編されました。

現在の高等学校では、英語教育以外の外国語教育はまだあまり多く実施されていませんので、科目の細分化は行われていませんが、私自身は、近年、自らの高校での韓国語授業の目標を5領域別に設定するよう心がけています。そして授業の中では、従来から行ってきた、やり取りの力を養うための会話練習だけでなく、発表する力を養うためのプレゼンテーションやポスター発表の時間も設けるようにしています。

具体的には、「ソウル2泊3日旅行計画の作成と発表」、「日本の高校生が好きな○○ベスト5のポスター制作と口頭発表」といった課題を出題しています。私からは、ルーブリックによる評価基準と、発表の中で使ってほしい文型等をわずかに伝えるのみで、あとは生徒の自発性に任せていますが、多くの生徒はたいへん生き生きとした表情でこれらの課題に取り組んでいます。Papago等のアプリも使いこなしながら作成した成果物やプレゼンテーションはなかなかの水準に達していて、韓国の大衆文化が大好きな、2023年という時代に生きる日本の여고딩たちの生態をよく描き出した内容となっています(여고딩のような単語も私からは教えていませんが、自分たちで学び、使いこなしています)。

さて、一般市民を対象とした講座の場合には、準備したテキストに依拠した授業になることが多く、発表課題等に取り組む機会はあまり多くないのではないでしょうか。受講生の方たちも発表の力を養うことはあまり求めていないかもしれませんが、仕事の現場等ではプレゼンをすることもあるでしょうし、考えようによっては自己紹介も発表の一つの形態と見ることができるかもしれません。

授業のはじめに一週間の出来事等を自由に語ってもらう時間を設けている先生もいらっしゃるかと思いますが、「やり取り」とは異なる「発表」の力を養うという視点で取り組んでみると、少し違った展開へと発展させることができるのではないでしょうか。

2回続けて、高校の外国語教育の現場における近年の変化についてご紹介しましたが、高校の韓国語教育の水準をさらに高めようと努力している仲間たちが集まって高等学校韓国朝鮮語教育ネットワーク(JAKEHS)という団体を組織し活動を行っています。同団体の今年度の全国研修が来る11月25日、26日に東京で開催されます(会場は25日が韓国文化院、26日が目白大学)。ご紹介した観点別評価に対応した授業の実践報告等も行われます。高校で教えていない方でも興味関心のある方でしたら、どなたでも参加いただけます。オンライン視聴も可能です。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

高等学校韓国朝鮮語教育ネットワーク
http://home.a08.itscom.net/jakehs/

通信462「映像選びも楽じゃない」奈良美香

【週刊ハンガンネット通信】第462号 (2023年10月24日発行)

「映像選びも楽じゃない」
下関市立大学 他 奈良美香
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会員の先生方皆様も、K-popやドラマ、映画等を活用して授業をされたご経験があるかと思います。学習者からすると楽しく学べるという印象があるらしく、授業での要望が多いため、私も取り入れたりします。

以前、韓国ドラマ「私のIDはカンナム美人」の第1話を使用して映像授業を実施しました。主人公の男性がイケメンで学生受けする点、韓国の外見至上主義、美への追及意識、美容整形に関する意識が垣間見れる点、大学のMTの様子が見れる点からこのドラマを選びました。

授業では、映像を見せる前に、あらすじを簡単に述べ、登場人物の相関図を説明します。語彙説明では①강남언니, ②오크, ③티(가)나다, ④모태솔로, ⑤18학번を紹介し、問題シートを作成しドラマを見ながら答えを見つけるようにと指示します。また、聞き取れた単語や表現を5個以上は書くようにとも伝えます。ドラマ鑑賞後は、この映像を選択した趣旨を説明し、問題シートの答え合わせとドラマに関する感想を書いてもらい提出させます。

この内容を理工系の大学1年生の後期の授業で実施しました。回収した感想には、「韓国の大学生は19歳からお酒が飲めるのか」、「美に対する意識がすごい」、「見た目で判断されるのがつらい」、「MTが楽しそう」などの感想がある中、一人だけ「興味のないドラマを見せられ、面白くなくつまらなかった」という感想がありました。このコメントに、正直ショックを受けました。視聴後にこのドラマを選択した趣旨を説明しましたが、伝わっておらず、人それぞれ好みがあるため、全員が満足できる映像内容を選択する難しさを痛感しました。

そこで、第2弾としてYahooニュースで紹介された「韓国七放世代の絶望」という5分程度の映像を使用しての授業を実施しました。韓国での就職難、外見至上主義、企業間格差などの内容が凝縮された映像に学生達は衝撃を受けたようでした。ナレーターが日本語で紹介するので、語学よりは文化紹介に適切な映像だと思います。

視聴後に、韓国での就職事情や「三放世代」から「七放世代」のキーワードについて説明した後に、感想を提出してもらいました。回収した感想からは、「大企業と中小企業の格差の違いに驚いた」、「整形してまで就職活動をするのに驚いた」、「若者が大企業を目指すために多くのことを諦めていることを知り悲しくなった」などが大半を占めており、マイナス意見はなかったのでホッとした記憶があります。

学習内容の用途にもよりますが、映像を使用して何を学習者に伝えたいのかという意識が非常に大切だと思います。その趣旨を反映させた映像を選択し授業を展開しますが、学習者の反応が良い時と悪い時もあり、なかなか一筋縄ではいきません。私の奮闘の日々はまだまだ続きそうです。

会員の皆様も授業でお薦めの映像がありましたら、是非、教えて頂ければと思います。

参考までにYahooニュースのリンクを貼りますので、興味のある方は是非、ご覧になってみてください。

夢も仕事も恋愛も手が届かない 韓国「七放世代」の絶望
https://news.yahoo.co.jp/feature/91/

通信461 「K-POPで韓国語? 英語?」ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第461号 (2023年10月18日発行)

「K-POPで韓国語? 英語?」
ペ・ジョンリョル
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最近、大学の出身学部(外国語学部)の同窓会が主催するセミナーの企画を任されました。それで現役英語教師B先生に出演依頼をしにいったときのことです。「参考までに、A先生は倍数表現を取り上げるとおっしゃっています。twice, three timesとか…」「それ私も得意なやつですよ!」とB先生。そして提案されたのが「TWICEの歌詞で英語表現を学ぶ」という内容でした(以上実話)。

このTWICEはご存じ人気K-POPグループのことなので、わざと言ったのか、人の話をちゃんと聞いていなかったのかのどちらかですが、それはともかく、彼によると最近のK-POPは英語の歌詞が多く、生徒受けもいいので、英語の授業でよく取り上げているそうです(勤務校は英語の他に韓国語にも力を入れている日本の中学校です)。最近のK-POPには英語オンリーの曲もあるので、英語の授業で取り上げられてもなんら不思議はないですよね。

さて、小社に『K-POPで韓国語!』というシリーズがあります。2013年7月に1冊目を出してから、『K-POPで韓国語!2』『K-POPで韓国語!3』『K-POPで韓国語!4』と続けて出し、少し間が空いて5冊目の『K-POPで韓国語! 2017-2018』まで出版しました。

これらは本ごとにテーマや取り上げるアーチストを変えて、韓国語の歌詞を、発音どおりのハングルとフリガナ、文法項目などの丁寧な解説とともに紹介した学習教材です。人気のK-POPで韓国語が勉強できるとあってそれなりに売れましたが、作る側にとっても「歌詞ありき」でゼロから何かを生み出す必要がなく、最初に作ったフォーマットや作業要領を次作でそのまま生かせるので、かなり楽な本といえます。

もちろん歌詞を勝手に掲載することはできないので、著作権管理団体を通じて所定の料金を支払って利用しています。これも手続きの問題なので、一度経験したら難しいことはありません。

K-POPの人気はずっと高かったのに、なぜか2018年の5冊目以降続編を作っていませんでした。「韓国語の学習」という観点で見ると、冒頭で記したように英語が多い、韻やリズム重視で意味のないフレーズの繰り返しが多いなどの理由で、実際に使える曲が多くないという事情もあります。でも、久しぶりに1冊作ってみたいという編集者が社内にいるので、ぜひ最近の曲の中で、ネットワークの先生方のオススメを教えてほしいです!

もっとも「韓国語の学習」を重視するなら、バラードやドラマOSTがいいのかもしれません。個人的にはトロットや7080歌謡の名曲をやりたいのですが、「需要がない!」と社員から猛反対されそうです。

通信460 「日韓交流おまつりでの売上推移」浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第459号 (2023年10月13日発行)

「日韓交流おまつりでの売上推移」
浅見綾子
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去る9月30日、10月1日に駒沢オリンピック公園で開催された「日韓交流おまつり2023 in Tokyo」にHANAも書籍販売ブースを設け参加してきました。

日韓交流おまつりは、2005年の日韓国交正常化40周年を記念した「日韓友情の年」の主要事業として始められたもので、ソウルでのみ開催されておりましたが、2009年からは毎年両国のソウルと東京で開催されるようになりました。

HANAは2014年から参加しており、今年で10年目を迎えました。2014年の年は、一つの小さい長机を駿河台出版社と半分ずつ区切って本を並べ、炎天下の中テントもない状態でのスタートでした。帽子を準備しなかったことをかなり後悔したものです。

2014年から地道に参加し、日韓交流おまつり事務局側の方から頑張っていると認められたのか2016年にはテントの中に入れていただき、日焼けの心配なく販売できるようになりました(テントがあるのとないのでは疲れ方がかなり違います)。

コロナの3年間を除いては、ずっと日比谷公園での開催でしたが、日比谷公園が改修工事に入っているため今年は駒沢オリンピック公園での開催になりました。2日間の人の入りを見ていると、やはり毎年同じことを感じますが、土日開催ですと土曜日よりも日曜日の方が人の入りがかなり多いです。よって日曜日の方が売上も良い。

さて、2014年からHANAの売上の推移を見てみたいと思います。
日韓おまつり売上推移

2020年〜2022年の3回はオンラインでのみの開催でした。つまりオンラインでショップを開き、販売をした売上になります。2020年は弊社がオンラインで書籍を販売するのが初めてで、不慣れだということもあり、さほどネット販売用に商品を準備しませんでした。ところが思いの外売れたので、2021年にはたっぷり商品をネットショップ上に並べ、去年よりは売れたらいいなぁくらいに思っていたところ、これが韓流第4次ブームにもうまく乗り、大売れしました。2022年も売れる!と意気込んでいましたが、結果は売上は落ち、今年の2023年は対面とオンラインと両方開催したのにも関わらず、あまり売上があがりませんでした。

売上が上がらなかった理由は推測ですが、まず駒沢オリンピック公園という場所が駅からも遠く交通が不便だった、毎年日比谷公園だったので駒沢オリンピック公園に馴染みがなかった、物価上昇の影響で韓国語書籍にお金をかけなくなった、などなど。私も含め、やはり最近は財布の紐が固くなっています。

売上は期待ほど上がりませんでしたが、それでも参加する価値は大いにあります。何よりも学習者の皆さんの声が直接聞ける機会は非常に貴重です。どういう悩みを持っているのか、どういう目的で購入するのかなど。また書籍をパラパラめくりながら、止めてじっくり読むページはどんなページか、手に取られやすい本はどんな表紙の本かなど参考になること盛りだくさんです。

次の対面販売は11月に東京神保町で開催されるK-BOOKフェスティバルです。またここで直接学習者さんや先生方にお会いできるのを楽しみにしています。

通信459「消齢化」寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第458号 (2023年10月8日発行)

「消齢化」
寄田晴代
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「消齢化」ということばを最近知りました。
消齢化とは、「若者らしさや年相応のような年代、年齢にひもづいた生活者の特徴が徐々に薄らいでいき消えていくこと」で、博報堂生活総合研究所が今年発表した新語です。

この言葉を聞いて思い浮かんだことがありました。

日本に30年以上住んでいる、50代の韓国人男性の話なのですが、面識のない韓国人と電話で話をすると、「あなたが何歳なのか見当がつかない」とよく言われるのだそうです。
声を聞いたらおおよその歳がわかりそうなものですが、予想する年齢と、その年齢らしいと思われている話し方(語彙、イントネーション、語尾など)がズレていると混乱します。

そういえば、私が以前韓国で日本語を教える仕事をしていたときにもこんなことがありました。
あるクラスに、中学生のころまで日本で生活していたという受講生がいました。発音、イントネーションなど自然な日本語を話せるのですが「40代の人なのに、話し方が10代の若者みたいなんです。」と担当の先生が言っていたのを覚えています。日本で身についた、その時の話し方がそのままアップデートされていなかったようです。

私たちは周囲の人からことばを学び続けています。
前述の二つの例のように、もともと使っていたことばに囲まれた世界から出てしまうと、年を重ねるにつれて変わっていく話し方に接する機会がほとんどなくなり、意識しない限り自然に身につくことはないのかもしれません。また、文法的間違いならコミュニケーションに支障が出ますが、「年相応」の話し方でなくても日常の会話なら「ちょっと変わってる」と思われるくらいなので、指摘されることもあまりないと考えられます。(家族など身近な人は、その人の話し方に慣れているだろうし、身近ではない人はわざわざ指摘しにくい。)

ちなみに、私は仕事で20歳前後の人と接することが多いのですが、知らないうちに「若者の話し方&微妙な関東アクセント」(勤務地は東京ですが、私は大阪弁ネイティブスピーカー)になっているらしく、家族によく「ときどき気色悪い話し方する」と言われます。

同研究所によると、消齢化の傾向はこれからも進んでいくということなので、このように「ちょっと変わってる」と思われることもなくなるのでしょうね。
そもそも、年齢による話し方に全く違いのない言語もあるのか、も興味深いところです。