通信476 「外国語脳を作る」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第476号 (2024年2月12日発行)

「外国語脳を作る」 
伊藤耕一
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マレーシア生活も3年目に入りました。
最近困ったなと思うのは、単語を覚えられなくなったことです。
英語や韓国語を勉強していたころは、新出単語を一度覚えれば、ほとんど忘れることはありませんでした。
しかし、今は、過去に覚えたはずの単語の意味が思い出せない、そんなことを毎日のように感じます。

そんな時に、このような動画を見ました。
https://youtu.be/kfMWelITPpg?si=FqpY6MC0mwUFUx2M

「韓国語脳を作るには」とのテーマです。
そのために必要な前提として、基本的な「単語・文法・発音」を身に付ける必要があるとの話がありました。
私のマレー語を振り返ると、このような感じです。
・単語 圧倒的に語彙力が低い。
・文法 語順、修飾被修飾、格、前置詞といった基本的な文法は、ほぼ覚えた。
・発音 スピーチの時の話は通じているので、問題なさそう。

ということで、動画の話に納得するとともに、私の場合は「単語」が課題であることを再認識しました。

その動画では、単語の覚え方として「イメージで覚える」ことを推奨していました。
つまり、韓国語の単語を日本語に変換することなく認識するような手法です。
振り返ってみれば、学生時代には英語も韓国語も難しい単語は逐語的に覚えるのではなく、イメージで覚えていたことを思い出しました。
例えば「따뜻하다は、暖かい日差し」「어지럽다は、グルグル回るめまい」などのイメージが頭の中にあります。
今でも言葉を発した時の音とそのイメージが結びつくような感覚があります。

翻ってこの2年間で覚えたマレー語の単語を思い起こすと、マレー語を英語に変換して逐語的に覚えてきたような自覚があります。
「Kesihatan=Health」「Keselamatan=Safety」「Belajar=Learn」「Bekerja=Work」「Sedap=Delicious」
つまり、イメージとして覚えていないことになります。

また、韓国語を教えていた時、「(外出先で)これから私の家に来る?」と言う時の「来る」は「오다」でなく「가다」を使わなければならないと言っていたことを思い出しました。
「逐語的に覚えてしまうと、実際に言葉を発する場面では不適切な表現になる場合があるので、なるべくイメージで覚えましょう。」「自分の所有物や所属先を言う時にも「내」でなく「우리」を使うことが多いです。」などと言っていたような気がします。
このようなイメージの絵と解説をホワイトボードに何度も書きました。

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しかし、欠点は、学習する側としては膨大な数のイメージの場面を覚える必要があり、教える側も膨大な数のイメージの場面を提供する必要があり、非常に手間がかかることです。
私はホワイトボードに絵を描くことが多かったのですが、本当はこのようなカードを用意しておくと、もっと効率的なのかも知れません。

私が韓国語を学習していた頃は、ふんだんな時間と旺盛な記憶力があったのですが、今は限られた時間と衰えた記憶力しかなく、これが一番のネックです。
いくつかのマレー語の単語を覚えたつもりが、翌日にはその半分ほどは忘れてしまい、まさに3歩進んで2歩下がるような感じです。
そうは言っても、マレー語脳を作るには、一歩一歩を積み重ねるように一語一語の単語を覚えて行くしかないなと思うのが、記憶力が衰えた学習者の開き直った本音のような気がしています。

通信466 「トライ&エラー」 伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第466号 (2023年11月29日発行)

「トライ&エラー」
伊藤 耕一
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マレーシアに来て、早いもので来月で丸2年になります。
気候が良く、優しい人々が多く、マレー・中国・インドの各民族の生活習慣や食文化は新しい発見ばかり、食べるものは安く美味しく、もうしばらくこちらで生活したいと思うようになってしまいました。
今回は丸2年で私のマレー語がどのようになったのか、振り返ってみたいと思います。

2年前は、耳に入ってくるマレー語は全く分かりませんでした。
今は知っている単語は聞き取って意味を理解できますが、例えばラジオだとパーソナリティが話す単語のうちの10~20%くらいしか分からないので「話のテーマ」は分かっても「具体的に何を話しているのか」はよくわかりません。

先日、車で移動中にラジオニュースを同僚と一緒に聞いていました。
「イスラエル」「パレスチナ」「4日」といった単語は聞き取れたので、ガザのニュースであることは分かりました。
その時は一緒に乗っていた同僚が「4日間の停戦交渉中だって。」と教えてくれたので、そのニュースを理解することができました。
この「停戦」「交渉」といった単語が聞き取れるようになればなあ、と思ったところです。
この2年で私のヒアリング力の「ざるの目」は少し締まってきたように思いますが、もっと締めて、ざるに残る音と単語を増やしたいところです。

話す方は、英語の構文で文章を作り、それをマレー語に直して行くと、ほぼ通じる文章になることが分かり、頭の中で英作文しては、一語一語をマレー語に置き換えて行くような作業をしています。
ハングルを頭の中で書いては話していた頃を思い出します。

例えば「明日、私はお客様との会議に行く予定です。」と言いたい時は、このように作文します。
Tomorrow, I will go for a meeting with a customer.
Esok, saya akan pergi untuk meeting dengan pelanggan.
検証のため、是非、Google翻訳にコピペしてみてください。⇒Esok, saya akan pergi untuk meeting dengan pelanggan.
マレー語⇒英語の翻訳は、ほぼ同じ結果が出てくるかと思います。

しかし、これを英語⇒マレー語にひっくり返してみると、こんな感じになります。
Esok, saya akan pergi ke mesyuarat dengan pelanggan.
Tomorrow, I will go to a meeting with a client.
この場合の前置詞は「untuk」よりも「ke」の方が良く、「meeting」は「mesyuarat」という単語を使った方が良いことが分かります。

今は短い単純な文章しか書いたり話したりしかできなないので大きな間違いはないと思いますが、高度もしくは複雑な文章はGoogle翻訳の結果の検証も必要です。
また、どちらかというと、書き言葉が訳出される傾向があるので、話し言葉として自然なのかどうかも確認したいのですが、今の実力ではそこまで到達できていません。

おそらく、少し変なマレー語を話す日本人だと周りでは思われているのではないかと思いますが、こんな感じのトライ&エラーを繰り返しながら、ひとつひとつ単語と会話文を覚えている段階です。
また、言いたいことは準備することで何とか話せますが、相手の返事を瞬時に理解して、自分の次の話を組み立てられないので、対話になりません。
この歳になると記憶力の低下を否が応でも自覚させられますが、語彙力は何としても高めたいとも思います。

マレー語は英語と親和性があり、韓国語は日本語と親和性があるのですが、韓国語を勉強し始めて丸2年くらいの学習者は、私と同じような作文をするのではないでしょうか?
間違っているとまでは言えないけど、直したいところがたくさんある。
なので、私が発するマレー語を聞いた時に、私の周りにいるマレー人は「こういう風に言った方がもっと良い。」などと教えてくれるのでしょう。

私の今のマレー語は大目に見て「下の上」くらいかと思いますが、私の韓国語学習の経験から想像すると、あと2年くらいすれば、「中の上」くらいにはなるのではないかと思っています。
言語の習得には、やはり度胸と時間とトライ&エラーが必要ですね。

通信457「講座の料金設定と講師の収入」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第457号 (2023年9月18日発行)

「講座の料金設定と講師の収入」
伊藤耕一
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幡野先生の通信に続き、私もお金にまつわる話題を書いてみたいと思います。

例えば、授業料をいくらに設定すれば良いか、これはとても悩ましい課題かと思います。
自宅の一室を利用して、半年コース(25回)の講座を複数設定しようとする場合、1回当りの講座料金もしくは、1コースの料金をいくらに設定すれば良いのでしょうか?
原則的には需要と供給の関係で決まってくるのですが、そのあたりの関係をどのように考えれば良いのか、飲食店の例を参考にしながら考えてみたいと思います。

飲食店業の場合、よく言われるのが「飲食店の原価は約3割が適正」という指標です。
「原価」とは飲食店の場合「食材費」のことを指します。
例えば1食1,100円のラーメンを考えた場合、スープ・麺・具材・調味料等が330円という意味です。
残りの770円は家賃・光熱水費・アルバイト等の人件費・広告宣伝費・設備の減価償却費・その他経費と利益ということになります。
利益が3割(330円)欲しいとすると、諸経費を440円以内に抑えなければなりません。

続いて、自分が1ヶ月でいくら稼ぎたいかを考える必要があります。
例えば月に手取り30万円くらい欲しいと思えば、額面ではザックリ40万円ほどの利益を得る必要があります。(税金・社会保険料を約25%と仮定。消費税は40万円の中から3万円ほどを納めなくてはならず、実質収入は37万円ほど。)

では、月に40万円の利益を得るには、いくら売り上げれば良いか?
それは「利益÷利益率」という算式で求められ、40万円÷30%=約133万円、月に133万円程度の売り上げが必要となります。
では、月に25日働くとして、一日いくらを売り上げれば良いか?
133万円÷25日=約53,000円となります。(売上121万円+消費税12万円=133万円)

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左側の表は顧客の目線で考えた視点、右側の表は、経営者の目線で考えた視点のイメージです。(万円単位で表示しているため、矛盾する箇所はご了承ください。)

次に、ラーメンを一日に何杯売れば良いか?
53,000円÷1,100円=49杯≒50杯、以下の計算では一日50杯としてみましょう。
続いて、1杯作るのに何分必要か?
もし10分なら、50杯×10分=500分=8時間20分、これだと休憩時間もなさそうです。
もし8分なら、50杯×8分=400分=6時間40分、休憩はできそうですが、仕込みや閉店後の清掃の時間は取れそうでしょうか?
このように考えながら、無理そうなら利益を減らす、あるいはアルバイトを増やして食数を増やし売り上げを上げることを考える、時短での調理法を考える、といったことを試行錯誤しながら考える必要があります。

また、これはひっきりなしにお客さんが来てくれる場合の想定ですが、閑古鳥が鳴いたらどうするかも考えなければなりません。
最悪の場合、一日25杯でもやって行けるだろうか? 食材が残ったとしてもロスにしにくい方法はないだろうか? 自分が風邪を引いたらどうしよう? 昨今の電気代やガス代や食材費の値上がりは1,100円で吸収できるだろうか? 等々、リスクについても考えておく必要があります。

韓国語講師の原価を考えるのは、経営方法によって千差万別なので、今回は自宅の一室を教室にして極力諸費用を抑え、自身の人件費のみが必要という前提で考えてみます。
自宅の一室なので、定員は1回当り8人としてみます。
90分授業を一日に4回、間に30分休憩を挟み(90分×4回+30分×3回=450分=7時間30分)、週に5日(月に20日)働くという前提にしてみましょう。

月に40万円を稼ぐには、40万円÷20日÷4講座÷8人=625円となるので、1人の受講生から1講座1回当たり625円の受講料を受け取ることができれば実現できそうです。
1講座25回(半年コース)とすれば、625円×25回=15,625円となり、受講料は1人当たり半年で約16,000円という計算になります。
しかし、全講座に8人が集まるとは限らないので、リスクを考えて半分の4人としてみると、受講料は1人当り半年で32,000円という計算になります。

つまり1回当り1,280円(32,000円÷25回)ですが、受講生は集まりそうでしょうか?
一日に4講座を1人でやって行けそうでしょうか?
このあたりが「需要と供給の関係」を考える場面になります。

もし難しそうであれば、40万円の稼ぎを35万円にしてみる、授業時間を60分にして一日の講座数を増やしてみる、プライベートレッスンを行い単価を上げてみる、オンラインの授業も行い遠隔地の方でも受講できるようにして定員を増やしてみる、平日の午前は休みにして、平日の夕方から夜にかけてと土日に授業をするようにしてみる、等々、条件を変えて試算することになろうかと思います。

いずれにしても、自分自身が満足できる収入を得つつ、受講生に料金をリーズナブルと感じてもらい、受講生が参加しやすい時間帯と手段で授業を行い、働き過ぎにならないように気を付け、リピーターを確保し、、、講師にとっても受講生にとっても持続可能なところで時間とお金の折り合いを付けることになるのだろうと思います。

何となく半年の講座で授業料40,000円とか50,000円などと上から考えるのではなく、1日当り売上〇〇円、1ヶ月当り売上〇〇円、1回当り受講料〇〇円と、受講生の立場も考えながら下から積み上げて計算してみるのが良いのではないかと個人的には思います。
このように考えておけば、価格競争に巻き込まれ価格を維持するか下げるかの判断を迫られた時や、コロナ禍のような減収があった時でも、根拠を持った対策が打てるのではないかと思います。
もしくは32,000円もらえば十分だけど、強気に40,000円に設定してみることも可能になります。

以上は、もし私が韓国語講師を専業でやってみたらどうなるだろうかと何年か前に考えた時の思考法ですが、少しでも皆様の参考になれば幸いです。

通信447 「外国語が突然聞き取れるようになる瞬間」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第447号 (2023年7月3日発行)

外国語が突然聞き取れるようになる瞬間 
伊藤耕一
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マレーシアに来て1年半が経ちました。
私がマレー語の勉強を始めたのは、マレーシアに行って欲しいと言われた翌週、2020年9月頃でしたので、そこから数えると、2年9ヶ月ほどになります。
テキストが欲しいと思い、長野県内の大きめの書店を訪れて探しましたが、インドネシア語のテキストは何冊もある一方、マレー語のテキストは1冊しかなく、選ぶこともなくそれを買い求めました。
これは後から知ることになるのですが、インドネシア語とマレー語は基本語彙は共通であるものの、インドネシアはオランダ語の語彙を受け入れ、マレーシアは英語の語彙を受け入れたため、植民地になった後に語彙や言い回しの違いが鮮明となり、意思疎通が難しい場面が出てきているとのことです。
またある方が「マレー語は抑揚の幅が小さく、インドネシア語はより抑揚の幅が大きい。」とおっしゃることを聞いたことがあります。
適切な例えかどうかは分かりませんが、青森弁で話す人と鹿児島弁で話す人が、共通語を使わずにお互いの方言で話すようなイメージなのかなと想像します。

話を元に戻しますが、2年9ヶ月と1年半のいずれの期間を考えるのかは横に置いて、1ヶ月ほど前に、待ちに待った「突然聞き取れる瞬間」が訪れました。
マレー語もやはり、この瞬間は突然に訪れました。例えば買い物に行ってのやり取りで、マレー語で話されても、何を言っているのかは理解できるようになり、その場で、聞き返したいと思うことが激減した感じです。

その瞬間を確信した一つの場面はコーヒーショップでのやり取りで、「砂糖は入れますか」「持ち帰りますか」「少し離れて待ってください」「現金でしか支払いできません」といった会話がスッと理解できた時でした。
それまでは「Yes, please.」「No, thank you.」「OK.」という返答を、分からない時は適当に言っていたので、時々砂糖入りのコーヒーが出されることもあったのですが、最近は完ぺきにブラックコーヒーを注文できるようになりました。

確信したもう一つの場面は、会社の研修をホテルの会議室でやることになり、その予約に出向いた時です。
実際のやり取りは同行した同僚がしてくれるのですが、そのやり取りもほぼ理解できました。
A:少し大きめのA室と小さめのB室があるのですが、どちらが良いですか?
B:実際に見て確認したいので、案内してください。
A:会議室は3階なので、エレベータの前で少しお待ちください。ご案内します。
A:A室は机を8つ並べられるので、16人ほど入れます。B室は机6つほどなので、12人ほどですが、いかがでしょうか。どちらもプロジェクターとマイクはご用意できます。
B:A室の方が良さそうですね。
A:休憩時には飲み物と軽食をご自由にお召し上がりください。外の共通スペースに用意します。昼食は4階の部屋にご用意します。
このような内容でしたが、全ては聞き取れないものの、要所要所の数字と単語は理解できたので、感想を求められても即答できました。

その日は家に帰ってから、どうして聞き取れたのか考えてみました。
1つ目は、その方のマレー語の発音が良く、ゆっくり話してくれたことです。
知っている単語はほぼ聞き取れ、知っている単語に挟まれた知らない単語は頭の中で識別できて、理解しようとせずに飛ばしていたように思います。
おそらく、知っている単語同士を結び付けて、知らない単語を類推していたのではないかと思います。
つまり、今までは聞き取りに全集中していて余裕がなかったのが、聞き取れる単語への集中が不要になって、知らない単語を類推する余裕が頭の中にできたのではないかと思います。
2つ目は、話そうとする文章を頭の中で作文できるようになったことだと思います。
単文ではあり、語彙力の範囲内ではありますが、どの品詞の語彙をこの文章に当てはめるかを、覚えた語彙群から引っ張り出す作業ができるようになってきました。
分からない単語がある時は英語で代用すれば、ほぼ通じることも分かってきました。
聞き取りはその逆の作業ですが、聞き取った単語がどの品詞で何の意味なのかを、知っている語彙群と照合するような作業が瞬時にできるようになったのではないかと思います。

前者は相手に依存せざるを得ませんが、後者は作文力を鍛えることで自分で高めることができるのではないかというのが私の仮説です。
「作文力が上がれば聞き取り力も上がるのではないか。」と考えるに至ったので、これからはマレー語の作文に集中的に取り組んでみようと思います。
以前の通信で「話す>聞く>読む>書く」が能力の順番と書きましたが、最も弱い「書く」を鍛えると「聞く」に良い影響が及ぶのではないかと考えました。
まるで人体実験のようになってきましたが、実践を通じてこの仮説を検証してみたいと思います。

通信438 「初学者の言語運用能力の状況」伊藤耕一

週刊ハンガンネット通信】第438号 (2023年4月24日発行)

初学者の言語運用能力の状況 
伊藤耕一
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マレーシアでは4月21日にラマダンが終わり、22日からハリラヤ休暇が始まりました。
ハリラヤは日本のお正月のようなもので、国全体がお休みモードに入ります。
公休日は2日しかありませんが、私の会社ではマレー人が従業員の95%程度を占めるためか、前後の土日を入れて10連休となります。
連休明けは日本のGWがあり、今回は長めの休暇を取ることができ、この通信を日本で書いています。

早いものでマレーシアに来て1年4ヶ月が経ちました。
今回は、私のマレー語の運用能力がどれほどになったか、恥ずかしながら振り返ってみたいと思います。

聞く力
マレーシアに来たとはいえ、普段の仕事は英語、買い物やちょっとした用足しも英語で済ませられるため、マレー語に接する機会はほとんどありません。
少しでもマレー語を聞く機会を持ちたいと思い、通勤時の車内ではマレー語のラジオを聞くようにしています。
繰り返し流れるCM、音楽を紹介する時のフレーズ、天気予報など定型的な言い回しは徐々に理解できるようになりました。
私にとっての外国語である英語と韓国語を覚えた時のことを思い出すと、会話の実践で最も役立ったのはリズム感と抑揚でした。
そこで、聞く時にはそこに注意を向けています。
最初は全く聞き取れなかったマレー語が、少しずつ聞き取れるようになってきました。
これは、ざるで砂利をすくった時に、最初は全てが零れ落ちていたのが、大きな石から順にざるに残るのに似ていると思っています。
時間をかければ、ざるの目がもっと細かくなり、零れ落ちる砂がだんだん少なくなっていくイメージを持ちながら、マレー語を聞き続けています。

話す力
日常のあいさつ、単文は語彙力の範囲で話せるようになりました。
会社では月に1回、スピーチの時間があるのですが、1〜2分程度の原稿を作り、それを読むことを続けています。
日本語で文章を書いて、それをGoogle翻訳でマレー語に変換します。便利な世の中になったものです。
翻訳されたマレー語が適切かどうかは、マレー語を英語に変換して確認します。
すると、経験的に全体の20%ほどは手直しが必要になるのですが、英語を修正してマレー語に変換、マレー語を日本語に変換、日本語を修正してマレー語に変換、マレー語を英語に変換…このような作業を数回繰り返すと、手直しが不要な程度の文章が出来上がります。
それを社員の皆さんの前で読むのですが、最初は目を細められたり、首を傾げられたりすることがありました。
最初の頃は単純な文章しか話さなかったので、ひとえに発音が悪かったのだと思います。
最近は、「おはようございます。元気ですか。」と言うとタイミング良く「元気です。」と返してくれたり、ウンウンと頷いてくれたり、伝わる言葉を喋れていることを実感します。
先日、社長とこのことについて話す機会があり「発音は問題なく、だいたい聞き取れる。」とおっしゃっていただけたので、とても嬉しくなりました。
みんなの前で話すことは、月に1回であっても話す力を着実に高めてくれることを実感します。
今後は語彙と言い回しを覚えて、原稿なしで話せるようになりたいと思います。

読む力
スピーチの効果だと思いますが、文字が書いてさえあれば、ゆっくりと文章を読むことはできます。
しかし、語彙力と文法力がなさ過ぎて何が書かれているのかは、分かる時と分からない時があります。
日本語の外来語のように、マレー語には英語由来の単語が多いので、読んで発音するとその音から意味を類推できることが結構あります。
これはハングルで書かれた文章から、音を頼りに漢字を類推して韓国語の意味を捉えるプロセスにも似ています。
実感するのは黙読して分からない時に、声に出して読むと分かる時があることです。
声に出すと、英語に似た音の単語を類推できたり、ラジオで聞いた音が思い出されたり、インプットされた単語やフレーズが頭の中から取り出されるような気がします。
改めて音読は効果的だなと実感します。

書く力
学生の頃のように、ノートに手書きする時間を今はなかなか取ることができず、書くことはほとんどできていません。
聞き取れた単語を書いても、綴りが間違っていることが多々あります。
パソコンで書く時には、英語や日本語はスペルチェックや校正機能が助けてくれるのですが、マレー語はほぼ全ての単語に波線が表示されてしまい、この機能の力を借りることもできません。
書く力はやはり、ペンとノートと時間を使い、地道に築き上げるしかないように思います。

私はマレー語について「聞く>話す>読む>書く」の順番で力を付けようと思っていましたが、現時点では「話す>聞く>読む>書く」の順番になっているようです。
これは、そこそこ適切な文章を手軽に入手できる自動翻訳機能と、話す機会に恵まれている環境のおかげだと思います。
30年以上前に私が韓国語を学び始めた時は「読む≒書く>聞く>話す」でした。
最も手軽な学習法は「読む」ことでした。
二番目に手軽な学習法は「書く」ことでしたが、辞書と文法の教科書を何度もひっくり返すことが必要でした。
しかも、書いた文章が正しいかどうかは、その場で自分では検証できません。
韓国語を聞くにはラジオやテレビを録音・録画したり、先生の音声が録音されたカセットテープを受け取ったりするしかなく、「聞く」は自分の環境(ラジカセやテレビや録画機を買う等)を整え、機会を逃さない姿勢(番組の録音・録画、先生に録音をお願いする、旅行に行く等)が必要でした。
話すことは、交通費をかけて誰かに会いに行く、電話で話すなどコストが高すぎ、学生の私には最も難しいものでした。

今はスマートフォンがあれば、動画を通じて聞くことができ、自分の音声を手軽に録音することができ、それをすぐに誰かに送ることができ、通話アプリで格安に会話ができ、音声も文字も瞬時に翻訳することができ、「聞く」こと「話す」ことの方が、やる気さえあれば安く簡単にできる時代になったように思います。
この30年で随分と環境が変わったものだなと、あらためて驚かされます。

学習歴が1年を超えた韓国語学習者の中には、私と同じような状況にある人がいるのではないかと思いながら、今回の通信を書いてみました。
皆様のご参考になれば幸いです。

ここからは余談ですが、日本に帰って来ていつも感動するのは、耳に入って来る音声のほとんどが聞き取れて理解できることです。
外国にいる時には空港の搭乗前のアナウンスでさえ「どの座席ゾーンに搭乗できる」と言ったのか、全神経を耳に集中させています。
日本ではさほど集中しなくても、何を言われたのか理解できるので、全集中する必要がなく、その分の脳みそのリソースをセーブできるような気がしています。
マレーシアに来て以来、恥ずかしながら、お酒も飲まないのに夜9時には猛烈に眠くなってしまいます。
全集中する必要がない分、日本ではもう少し夜遅くまで起きていられるのではないかと思い、連休中にそれを検証してみたいと思っています。

2023年6月の「ハンガンネットオンラインセミナー」のお知らせ

040-04韓国語市民講座講師のネットワーク「ハンガンネット」が開催する6月のセミナーもオンラインにてお届けします。今回のセミナーテーマは「消費税インボイス制度について」です。

開催日時:2023年6月11日(日) 14:00~16:00
開場:13:50
スタート:14:00
定員:30人(Zoomの定員)
セミナー講師:伊藤耕一(ハンガンネット世話人)

セミナーテーマ「消費税インボイス制度について」
皆さんご存じのとおり、今年10月から消費税インボイス制度が導入される予定です。
この制度は事業者(韓国語講師のような個人事業者を含む)に支払われた消費税が確実に納税されることを可能にするものです。
これを受け、現行の免税事業者(課税売上1,000万円以下)は課税事業者になるのか、非課税事業者のままでいるのかの選択を迫られ、その期限が9月とされています。個人事業主である韓国語講師にも大きく関係してきます。
しかし、消費税インボイス制度が全事業者に正しく理解されているかというと、そうではないように思います。
今回のハンセミでは、消費税の理解とインボイス制度に対する適切な対応ができるよう、理解を深めることを目的とします。

セミナー内容
・インボイス制度の問題点
・消費税の基本的仕組み(本則課税)
・インボイス制度の弊害
・課税事業者になるか、非課税事業者のままでいるか
・消費税の基本的仕組み(簡易課税)
・インボイス制度を無視できそうな人
・経過措置と少額特例と2割特例と返還インボイス免除
・まとめ

発表者:伊藤耕一(いとうこういち)
大阪外国語大学外国語学部朝鮮語学科卒業。卒業後、市民講座で韓国語を教えていた。
現職は、総務・経理担当のGeneral Manager。日本法人のマレーシアの子会社に勤務。

参加条件:
・韓国語講師(これから教室を始めたいという方も、大歓迎)
・今後韓国語を教えたいと思っている講師志望者
・会員/非会員は問いません。

申し込み締切り:2023年6月8日(木)20:00まで
事前に会話授業の実践例や悩んでいることなど、簡単なアンケートに回答お願いします。
参加費:1,000 円
【参加費は事前に銀行振込よりお支払いください。】
⇒振込先 paypay銀行 本店 普通 2174994 ハンガンネットマエダタダヒコ

募集終了しました。ありがとうございました。

通信430 「電子帳簿保存法」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第430号 (2023年2月27日発行)

電子帳簿保存法
伊藤耕一
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今回は電子帳簿保存法について書いてみたいと思います。
こちらは前回書いたインボイスとは異なり、消費税の課税非課税は関係なく、個人を含む全ての事業者に影響があります。

これまでは「電子的に受け取った帳票類」を「電子的な形式のまま保管」しても「印刷して保管」してもOKでした。
ところが、来年2024年の1月1日以降は「電子的に受け取った帳票類は、電子的な形式のまま保管」しなければならなくなります。
※今回の通信の下書きをした後に「相当の理由がある場合は紙保存も事実上容認することを検討中」との情報を見つけました。「検討中」とのことですので「もし容認されなかったらどうしなければならないのか」という視点でお読みいただければと思います。

保存の手段としては電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引の3つがあり、整理すると次のとおりです。
①パソコン等で作成した帳簿書類を電子データで保存する「電子帳簿等保存」
⇒自分で電子的に作成した帳簿や請求書控えや領収書控えを紙に印刷することなく電子的に保存しておくことができます。
②紙で受け取った書類をスキャン/撮影して電子データで保存する「スキャナ保存」
⇒他社や取引先から受け取った紙の証憑類をファイリングすることなく、スキャン/撮影により電子的に保存しておくことができます。
⇒要件さえ満たせば、スキャン後の紙の証憑類は捨てることができます。
③メールやECサイト等で受け取った取引情報を電子データで保存する「電子取引」
⇒例えば〇mazon等のサイトで電子的に取得した請求書や領収書等は印刷してはならず、電子データのまま保存することが求められます。

上記のうち①と②は任意なのですが、③は強制であることに注意が必要です。

また、事業主として「事務処理規程」を作って用意しておく必要があります。
規程などと聞くと面倒そうですが、下記国税庁のページからダウンロードして自分の名前や法人名を書いて作っておけばOKとのことです。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm

最近よく見るテレビCMの「いよいよか!」は上記のことを指しています。

ここまでは、昨年のうちに下書きしてあったのですが、上記※印に書いたように、下記の情報を発見しました。
税務当局の本来の方向性は上記のとおりだったのですが、昨年11月に当局がやや軟化し「相当の理由がある場合」は、当面③は紙に印刷して保存しても良いことになったとのことです。
https://www.youtube.com/watch?v=cBwZDBdw7EQ

「相当の理由」とは「会計ソフト導入が資金的に難しい」といった理由でも良いそうです。
そういうわけで今までどおりのやり方でもOKになりそうですので、電子帳簿保存法に対しては、今すぐ何らかの行動を起こす必要はないように思います。
しかし、遅かれ早かれ③の紙印刷保存が禁止になることは予想できますので、徐々に電子データ保存に慣れたり移行したりすることはお勧めしたいと思います。

電子帳簿保存で当初言われていたのは「日付・取引先名・金額の3情報が検索できれば良い」だったので、私の場合は下記のような感じで保存してきました。
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しかし、売上5,000万円以下の事業者はこの検索情報の記載も不要になるとのことで、これまでの私の手間は何だったのかと思ったりもしました。

いろいろと書いてきましたが、個人で売上5,000万円は相当な水準なので、おそらくハンガンネットの会員の皆様のほとんどは電子帳簿保存法を今のところはいったん無視できるものと思います。

今回のテーマは、結果的には今までどおりのやり方でも良くなったようで、今後の経理処理の参考にしていただければと思います。
今回も「上記は税務当局との見解と合致しない可能性があることをご了承ください。」と申し添えます。

通信422 「インボイス制度」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第422号 (2022年12月26日発行)

インボイス制度
伊藤耕一
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最近のGoogleを見ていると日本では「インボイス制度」について騒がしく記事がアップロードされています。
このインボイス制度、すでに消費税を納税している法人や個人(課税事業者)にとっては大きな影響がないのですが、消費税を納税していない法人や個人(非課税事業者)にはとても大きな影響があります。
語学教室を運営する皆さんにも無視できない影響があると思い、個人的に思うところを書いてみたいと思います。

そもそもインボイス制度がなぜ導入されるのかはいろいろな方が記事に書いているのでここでは省きますが、非課税事業者が受け取っている「益税」の排除が主目的と私は理解しています。
「益税」は現状では合法なのですが、来年10月からは「益税が発生し得ない仕組み」になり「益税が消滅」することになります。
「益税はずるい」と考える人も多く、その面では公平になるのですが、一方で非課税事業者がインボイス制度に沿った経理処理をしようとすると、経理の手間がかなり増えることになります。
この「経理の手間の増大」が問題と考える人もいて、この手間の増加を苦に感じ「廃業が増えるのでは」と心配する人がいたりします。
その一方で売り上げ要件に該当すればインボイス制度を無視することもできるのですが、その場合「仕事と売上を失う事業者」が出る恐れがあり、結果として「廃業が増えるのでは」と危惧する人がいたりします。
一般的にはこのような問題や心配があるのですが、語学教室を運営する法人や個人には具体的にどんな影響がありそうなのでしょうか。

課税事業者への影響
すでに消費税を納税している課税事業者には大きな影響はないのですが、大きくない影響としては下記のようなものが考えられます。
・「適格請求書(インボイス)」を発行しなければならない。(システムを使えば一定の手間は省けますが、システム利用料等が発生します。)
・非課税事業者と取引(講義を外注している講師が非課税事業者であるなど)すると、自身の消費税負担額が増える。(キャッシュフローが悪化する。)

非課税事業者への影響
課税事業者である語学学校等と業務委託契約等に基づいて講義する講師(非課税事業者)は、契約書に消費税金額が記載されていないことが多いと思います。
この場合「非課税事業者は消費税を受け取っていないと認識できる」「語学学校等は消費税を支払ったものとして経理処理できる(仕入税額控除)」という矛盾した経理処理が今は認められています。
この矛盾が「益税」の源泉です。
これが今後は次のように変わり、結果として大きな影響が出る可能性があります。

①非課税事業者が来年10月以降も非課税事業者であることを選択した場合
・非課税事業者は「適格請求書(インボイス)」を発行できないので「普通の請求書」を発行する。
・課税事業者は「普通の請求書」を受け取っても「仕入税額控除」できず、消費税の納税金額が増えキャッシュフローが悪化してしまうので、課税事業者は非課税事業者との取引をやめる可能性がある。
・または消費税分の値下げを非課税事業者に要請する可能性がある。
・非課税事業者は、取引停止による売上減少と値下げによる売上減少の影響を受ける可能性がある。

②非課税事業者が来年10月以降、課税事業者になることを選択した場合
・課税事業者となれば「適格請求書(インボイス)」を発行できる。
・課税事業者は「適格請求書(インボイス)」を受け取れば「仕入税額控除」できるので、顧客は取引(講師の依頼)を続ける可能性が高い。
・消費税が含まれた講師委託料を受け取っても、そのうちの10%は「預り消費税」であり、講師委託料の総額が同額である場合、実質的な売上金額(収入)は減少する可能性がある。
・経費(交通費や教材費)に含まれる「仮払消費税」と上記「預り消費税」を相殺する経理処理が新たに発生し、相殺後の消費税を納めなければならなくなる。(この相殺後の消費税が「益税」だった金額)
・この経理処理はかなりの手間がかかるので、新たに経理ソフトを使ったり、税理士にその処理をお願いしたりすると今までよりも経費が増え、手元に残るお金はその分減る。

「ずるい益税」は消滅しますが、課税事業者にも非課税事業者にも大小の影響があり、この影響が事業者の手間の増大や手元キャッシュの減少につながり、景気の冷え込みや廃業につながるのではないかと主張する人が増えてきたのが、騒がしい記事の原因だろうと思っています。
しかし、このような心配がある一方で、心配しないためには次のような方法も考えられます。

③非課税事業者を選択するが、顧客である学習者が全員個人である場合
・個人が受講料を支払う時は「仕入税額控除」する必要がないので、消費税が含まれているか含まれていないかは考えなくても良い。
・この場合、個々人から受講料を受け取った非課税事業者は受け取った全額を売上収入とすることができる。
・経理処理は今までと同様に、収入から費用を差し引くだけ。
・この場合はインボイス制度の影響を全く受けないため、心配する必要がない。
・課税事業者から講師を依頼されても戦略的に引き合いを断るという方法もあり得る。

④自身の講師としての存在が唯一無二であり、他に比肩する人がいない場合
これはある記事に書いてあったことですが「この先生に絶対に講師になって欲しい」といった優位性を持っている場合は、事実上インボイス制度を無視できます。
仮に顧客が課税事業者で「講師料について消費税分を安くして欲しい」と言われても「それなら仕事を引き受けません」と強く断ることができ、その課税事業者が自分以外の講師を探すことができないならば、成立するかも知れません。

⑤課税事業者を選択するが、さらに「簡易課税制度」を選択する
簡易課税制度は課税売上高が5,000万円以下の事業者が選択することができます。
語学講師は「第5種事業」に該当するものと思いますが「みなし仕入率が50%」とあるので、次のような計算となります。
仮に課税売上が500万円とします。
・500万円×10%=50万円(売上に係る消費税額)
・50万円×50%=25万円(仕入控除税額)
・50万円-25万円=25万円(納税額)
このケースでは25万円を消費税として納めることになります。
この制度は「仮払消費税と預り消費税を相殺」する必要がなく、経理処理を大幅に省くことができる一方、毎年必ず消費税を納めなくてはなりません。
ですが、経理処理に要する費用(事務員や経理ソフトや税理士の費用)と本則による消費税納税額の合計を比べ、これが25万円よりも大きいならば、メリットがあるかと思います。

インボイス制度を批判する声を受けて、政府では12月になって様々な軽減措置を決めています。
インボイス制度を解説する動画を見ると、その説明は複雑多岐にわたり、私もついて行けていない部分があります。
税理士の皆さんがいろいろな動画をアップロードされていますので、そちらをご覧いただくのも良いのではないかと思います。

結構、厄介で難しい問題なのですが、我々が選んだ政権が決めてしまったことなので、従うしかありません。
約束事で書かなければならないのですが「上記は税務当局との見解と合致しない可能性があることをご了承ください。」と申し添えます。

今年は皆様にとってどんな一年だったでしょうか。
来年が良い年になることを願っております。
どうぞ良いお年をお迎えください。

通信414 「マレー語の疑問詞」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第414号 (2022年10月31日発行)

マレー語の疑問詞
伊藤耕一
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マレーシアに来て早いものでもうすぐ丸11ヶ月になります。
マレー語を覚えようとしているものの、日常生活では英語が通じるので、マレー語で話す機会はとても少ないです。
今日は、つい最近の買い物の時に、マレー語を話した時のことを書きたいと思います。

この前の日曜日、社員の結婚式に招待され、会社の皆さんと一緒に参加して、その後、同僚とちょっとした買い物に行きました。
目の前にある商品を見て、「『これは何ですか?』とマレー語で聞いてみよう。」と思い、同僚に聞いてみました。
『Siapa ini?』と言ってみたら、怪訝そうな顔をされました。
おかしいなと思い「『これは何ですか?』は『Siapa ini?』ですよね?」
「それは『Apa ini?』だよ。『Siapa ini?』は『こちらは誰ですか?』という意味です。」と言われました。

マレー語の疑問詞は語末の音が似ているせいか、未だに私の中に定着していないことに気付かされました。
(Apa:何、Siapa:誰、Berapa:どのくらい、Kenapa:なぜ)
「Siapa?」は会社でよく耳にする言葉で、誰かが訪ねてきた時のインターフォン越しの第一声が「Siapa?」です。
状況的に「何でしょうか?」という意味に私が思い込んでいたのですが、実際には「どなたですか?」と言っていたのですね。

その一方で「元気ですか?(How are you?)」は「Apa khabar?」と言うのですが、改めて「khabar」を調べてみると「ニュース、新しい情報、面白い情報、最近のイベント」が元々の意味であることが分かりました。
つまり、マレー人は「あなたは何か新しい情報や面白い情報を持っていますか?」とあいさつしていることになります。
当然、日本人が「おはようございます。」の元々の意味を考えて話さないのと同様に、マレー人も「Apa khabar?」の元々の意味を意識して話すことはありません。
私が浅はかだったのは、「Apa khabar?」を「How are you?」と理解し、「Apa」を「How」と誤解していたことでした。
なぜそのように誤解したのかは明確で、私が英語で書かれたマレー語テキストを使っていたことです。

今回の一件を通じて、やはり、実際に声に出して発音してトライすることは大切だなと思いました。
ひとつひとつの単語は理解したつもりでも、声に出してみると本当に理解して定着しているのかが判明するように思いました。
そして、このような小さな失敗は強烈な体験となって、二度と間違えなくなることを経験的に知っているので、これからもどんどん声に出して間違えてみようと思いました。
言葉の勉強はとても楽しい、そんなことを改めて実感した日となりました。