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【週刊ハンガンネット通信】第564号 (2026年1月5日発行)
「絶版と品切重版未定」ペ・ジョンリョル
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前回著作権の話をしましたが、今回も続けて著作権に関することを記したいと思います。
出版社から本を出すとき、通常、著作権者である著者と出版社との間で出版契約を結びます。出版社はこの契約により、著者の原稿に出版権(業界では版権と言うことが多い)を設定し、多くの場合、国内で独占的にその原稿を出版する権利を持つことになります。この場合でも、あくまで著作権は著者に帰属します。
なお、雑誌などでは、原稿料を支払って原稿を書いてもらうことがあります。これを「買い取り」と呼ぶことがありますが、この場合も、契約書などで特段の取り決めがある場合を除いて、出版社は原稿料と引き換えにその原稿の1回きりの使用権を得ているだけで、著作権は執筆者にある(出版社が著作権を「買い取った」わけでない)と解釈されることが多いです。
ほとんどの本は、時間の経過とともに販売が低下します。書店の売り場は限られているのに毎月新刊が出て、常に入れ替わるからです。Amazonなどのオンライン書店はその限りではありませんが、やはり新しい本やよく売れている本が目立つように表示されるので、時間がたった本、売れ行きを維持できない本はやがて先細りしていきます。書店の売り場やオンライン書店での露出を勝ち取るためには、絶え間ない営業・販促活動が必要です。でも出版社も、古い本より新しい本の営業に力を入れる傾向にあります。
さらに出版社にとって、在庫は経理上財産であるため、処分することで会社の利益を圧縮することができます。在庫を持っていると倉敷料(保管料)もかかります。加えて、お金を貸してくれる金融機関は在庫の増加を好ましく思いません。法人税を減らすため、経費を減らすため、よい決算書を作るために、出版社は売れないタイトルから絶版処分を行います。出版社の中には、あまり絶版にしないところもあれば、売れないとみるやさっさと絶版にする出版社もあります。
絶版は「版を絶つ(印刷用の版を廃棄する)」から来ている言葉で、出版社がその本をもう売らない、出荷しないと決めたことを指す用語です。これに伴い、(私が知る限り)倉庫の在庫を廃棄し、著者との契約も終了することがほとんどです。
契約が生きている間は、著者がその原稿を他の出版社から本にすることができません。しかし契約が終了すれば、別の出版社から出すことが可能になります。もし引き受けてくれる出版社があればですが、一度売れなくなった本も内容をアップデートさせて、再び日の目を見られるようになるかもしれません。
一方「品切重版未定」という状態もあります。出版社に在庫がないのに増刷を行わない場合です。増刷をすると印刷・製本費がかかりますが、一定部数売れないとその費用は赤字になってしまうので、ある程度の売上が見込めないときは、出版社も増刷ができないのです。ではなぜ絶版にしないのか? 市中在庫があるから?(返品されたら改装して出荷できる)、取り置き在庫だけはキープしてあるから? 要件が揃ったときに増刷する可能性を残しておきたいから? HANAではこういうケースがないので私もちょっと良く分かりません。
著者にとっては在庫がないので売れる可能性はゼロ。一方で出版権が有効なので他の出版社から出すこともできず「塩漬け」状態になります。人生を懸けて書いた本がそんな状態だったら、困りますね。
こういう場合は、出版社に連絡をして、「もう増刷しないのなら出版契約を終了してほしい」と相談するとよいと思います。応じてくれなくても(そういうことはまずないと思いますが)、多くの出版契約では「契約期限の●カ月前までに文書で知らせない限り1年ずつ自動更新する」といった条項を設けてあります。この場合、逆にいうと、次の更新日の●カ月前までに「更新しない」と文書で通知すれば、契約を終了させることができるわけです。すでに本を出版されていて関心のある方は、ぜひ一度出版契約書の内容を確認してみてください。




