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【週刊ハンガンネット通信】第537号 (2025年6月27日発行)
「何かを調べるとき、検索するよりもAIに聞くようになると」
HANA ペ・ジョンリョル
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近ごろ私の周りでは、「何かを調べるとき、検索するよりもAIに聞く」という人が増えています。確かに検索で示されたサイトを見に行き自分で情報を取得するよりも、AIとやり取りして答えを聞くほうが手っ取り早いときもありますよね(AIの回答が怪しいこともありますが)。
小社では「韓国のことばと文化を学ぶサイトhana+(ハナタス)」を2023年12月に始めました。オープン以来ずっと定期的に記事をアップしてきて、これまでに公開した記事の総数は900以上にも上ります。Googleでも韓国語関連の検索を行うと上位に表示されることが多くなってきました。まだご覧になっていない方は、ぜひこのサイトを一度訪れてみてください。アドレスはhttp://www.hanatas.jpです。
最近Googleで検索を行うと、結果ページの冒頭に「AIによる概要」が表示されるようになっていますが、その際、AIが参考にしたサイトが示されます。韓国語関連の検索を行うと、hana+が表示されるようにもなってきました。
当初は「AIにも結構頼られているんだな、よし」と思ったりもしましたが、のんきに喜んでばかりいられません。こうやってソース表示でもされるのならまだましですが、対話型AIのChat GPTの場合はそういう機能はなく、どこから情報を得たのかがすぐ分からないようになっていたと思います。
冒頭で書いたようにAIがウェブ上の情報を集めて回答の精度を上げてどんどん便利になると、ウェブで情報を出している人や企業は困ったことになってきます。多くのサイトは無料で見られるようにしているとはいえ、企業には「広告収入を得るために集客する」「有料会員を増やす」「商品やサービスの購買につなげる」など、何かしらの目的があって人力や費用を費やしてコンテンツを提供しているわけです。
AIが便利になればなるほど、企業は費用をかけてウェブを更新したりSEO対策をしたりする意味がなくなる。サイトが更新されないとAIは新たに得られる情報が少なくなる。するとAI自体もどんどん陳腐化して使えなくなる…となってしまうのではないか。ふとそのように思いました。
この疑問をAIに聞いてみたところ、「【結論】確かに、AI利用の拡大がSEOやWeb更新の意味を変えてしまうことは避けられません。ただ、それは「終わり」ではなく、「新しい情報流通の時代の始まり」と捉えるべきです。いま私たちは、Webができた頃と同じように、新しいルールを作る過渡期にいるのだと思います」となんともモヤモヤさせる回答です。
6月26日の朝日新聞朝刊に「AI学習に書籍無断利用 『購入なら合法』米判決」という記事が出ました。あるAIの会社が書籍(を買って?その)データをAIの学習のために無断利用したことに対し、作家が訴えたが、法廷は「作品をそのまま模倣せず独自の『回答文』を生成しているので合法」だと認めたそうです。
仮にAIの会社が、こんなやり方であらゆる本の内容をもAIに取り込み、元ソースも示さずに別の形で配布し、そしてそれが市民権を得るようになるなら、われわれの商売はもう成り立たなくなります。
先のAIの回答にもあったのですが、「自社コンテンツをAIに利用させる代わりに情報提供者が報酬を得る」ようなきちんとした仕組みが早くできるといいのですが。




