通信445 第1回ミレ翻訳コンテストで考えたこと「翻訳を学ぼう」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第445号 (2023年6月26日発行)

第1回ミレ翻訳コンテストで考えたこと 「翻訳を学ぼう」
ミレ韓国語学院 前田真彦
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6月25日にミレ第1回翻訳コンテストの審査結果発表と講評会を実施しました。
「日韓部門」26人、「韓日部門」46人、計72人の応募がありました。

募集の段階から「学習翻訳」と銘打って、新機軸を打ち出しました。文芸翻訳でも、出版を目標とする翻訳でもなく、中級以上の学習者ならだれもがかかわれる翻訳のことです。原文に忠実に訳し、訳文としてぎこちない部分を整理して仕上げることを目標とします。読者を意識しすぎることなく、こなれすぎた訳語に仕上げる必要はありません。

審査にはミレスタッフ12人が関わり、スタッフにとっても翻訳について考えるよい機会にもなりました。

外国語を日本語に置き換えるという作業は中学校高校の英文和訳以来という人が大半だと思います。中高生の時は、訳文の検討ということも意識することもなく、ただ宿題として訳してきただけではないでしょうか。

韓国語学習者の大半は大人ですので、翻訳に取り組む素地を持っている人が多いと思います。翻訳ということについて学ぶ場がなかっただけで、文章を書いたり読んだりすることが好きな方が多いのではないでしょうか?

<翻訳とは「意訳だ」「再創作だ」>のような言説の影響を受けてか、自由奔放な訳文を提出する方もいました。ミレの「学習翻訳」が狙っているものは、そういうものではありません。原文を繰り返し味わい、内容を深く理解し、適切な訳語を選んでいくものです。大胆な意訳や読みやすすぎる訳文を推奨しません。

韓国に関心のある人は、誰しも翻訳のお世話になっています。翻訳(字幕翻訳含む)があるおかげで、韓国(語)の魅力に目覚め、学習を始めた人も多いのではないでしょうか?
それほど翻訳は大事なのに、翻訳を学べる場が少ないと思います。

第2回を今年年末に実施することを決めました。翻訳について学ぶ機会をこれからも作っていきたいと思います。