【週刊ハンガンネット通信】第468号 (2023年12月4日発行)
「韓国語教材のカナルビについて」
加藤 慧
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先生方はハングルのカナルビ表記について、どのようにお考えでしょうか。
おそらくほとんどの方が反対派だと思います。
私もずっと反対派だったのですが、最近初めて教材の監修を担当させていただいた際(https://amzn.to/46FhN52)、出版社の意向でルビが必須でした。
いろいろと葛藤があったのですが、これを機にあれこれ考えたことについて書いてみたいと思います。
例えば、쉬 , 봐 などの発音について言えば、それぞれ「シュイ」、「ボァ」という表記でかなり正確に再現できると思っています。
逆に 화, 회 に関しては「ファ」、「フェ」という表記が一般的ですが、これだとどうしてもFa , Feに近い発音になってしまいます。
これは「ファ」、「フェ」ではなく「ホァ」、「ホェ」という表記にすれば回避できるかもしれません。
もちろん 어/오, 우/으 やパッチムなど、カタカナで区別できない発音に関しては限界がありますが、このように正確な発音に近い表記を、ある程度まで追求することはできるのかなと思います。
それをもとにした韓国の外来語表記法(実際の発音との乖離という問題点はさておき)のようなカタカナの表記法の基準などがあれば、発音の助けになるかもしれません。
最近では韓国カルチャーの普及により、多くの韓国語がカタカナで定着してきています。
料理名や地名、人名などはどうしてもカタカナ表記をするしかないわけなので、むやみに排除するのは違うのかなという気もします。
また、大学で授業をしていると、いつまでたってもハングルが読めるようにならない学生がクラスに一人はいる印象です。
以前カルチャースクールで授業をしていた際にも、入門クラスでどれだけ丁寧に練習してもハングルに抵抗が残り、挫折してしまった方がいました。
このようなケースを考えたときには、たとえ正確な発音ではなくても、カタカナを利用してでも発話を促すというのは、かならずしも悪くないのかもしれないと思いました。
もちろん一度ついてしまったクセを直すのは大変なので、正確な発音を目指すことが難しくなるリスクは無視できません。
ただ、学習を諦めてしまったり、意欲が低下してしまうよりは、たとえカタカナ発音であっても、「言えた」「話せた」という小さな達成感が持てることのほうが大切なのかなとも思います。
誰でもいきなり自転車に乗るのは難しいように、ルビも適切な使い方さえすれば、いつか外せるその日まで、補助輪のような役割をしてくれるかもしれないと考えるようになったのでした。
先生方のご意見をぜひ伺ってみたいです。
