通信603 「大学初修韓国語におけるハングル導入法について③」加藤 慧

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【週刊ハンガンネット通信】第603号(2026年10月19日発行)
「大学初修韓国語におけるハングル導入法について③」 加藤 慧
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前回の通信ではハングル導入時における「国語のローマ字表記法」との親和性、音素・文字構造の可視化と発音変化指導時のメリットについてご紹介しました。今回はこの理解をさらに深める、スマートフォンのキーボードの活用について見ていきます。

【タイピングと文字認識の連動】
②で触れた英字表記による論理的な構造理解を、今度は実際の「入力(タイピング)」へと移行させます。
「2ボル式キーボード」は、その仕組み自体が、ハングル構造を体得する最高のドリルとなります。
例えば、左手で「ㄱ(g)」、右手で「ㅏ(a)」をタップすると、画面上でリアルタイムに結合し「가(ga)」という文字が完成するこの2ストロークの動作が、「子音+母音」という英字表記の説明と合致することを感覚的に確認させることができます。
単なる丸暗記ではなく、物理的な指の動きを伴うことで、学習者は自然と「子音」と「母音」の存在を意識します。視覚・感覚・触覚が連動し、記憶の定着率向上が期待できます。実際に韓国で識字障害のある子どもたちを対象に、タイピング練習を用いた学習を行うこともあるそうです。

「SNSで推しにコメントを送りたい」という学生のモチベーションも満たすことができます。

【大学生のITリテラシー育成への副次的効果】
授業内でのタイピング練習導入は、外国語教育の枠を超えたメリットももたらします。
近年、スマホのフリック入力普及により、大学入学時点で「パソコンのローマ字入力が苦手」という学生が少なくありません。しかし、レポート作成や社会人生活においてPCタイピングは必須スキルです。
ハングルを「ローマ字入力の仕組み(子音と母音の組み合わせ)」と重ねて指導することで、副次的に日本語のローマ字入力スキルの再確認・習得にも寄与することができます。

次回、最終回では、この指導法を実践する上での注意点と、今後の展望についてまとめます。
(④へ続きます)

通信595 「大学初修韓国語におけるハングル導入法について②」加藤慧

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【週刊ハンガンネット通信】第595号(2026年8月24日発行)
「大学初修韓国語におけるハングル導入法について②」 加藤 慧
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【「国語のローマ字表記法」との親和性】

前回の投稿で触れた文字導入の課題を解決するため、大韓民国が2000年に告示した「国語のローマ字表記法」を英字表記として採用します。
これは、現代の韓国における地名など(例:Seoul、Incheon)で実際に使われているだけでなく、K-POPアーティストの名前やSNSで学生が日常的に目にしている表記です。実社会や学生の興味(推し活)と地続きであるため、なじみのない発音記号よりも、モチベーションを引き出す効果が期待できます。

【音素・文字構造の可視化】
ハングルは、日本語の感覚だとひとかたまりの文字として捉えてしまいがちです。パーツが規則的に組み合わさった「音素文字」だということをしっかりと理解してもらうため、英語の「子音(C)+母音(V)+子音(C)」の構造と対比させ、アルファベットを用いて視覚的に提示します。

・初声(子音):ㅅ = S
・中声(母音):ㅏ = A
・終声(パッチム):ㄴ = N

→これらを組み合わせ、「ㅅ(S) + ㅏ(A) + ㄴ(N) = 산(SAN)」になる

このプロセスは多くの先生方が導入されていると思いますが、しつこいくらい視覚的に印象付けることで「未知の複雑な記号」という恐怖感が払拭され、パズルのように直感的に文字構造を把握できるようになります。

【一貫性による認知負荷の軽減と、発音変化の視覚化】
平音(ㄱ, ㄷ, ㅂ, ㅈ)の指導において、語頭・語中で符号を変える(k/gなど)従来の説明を避け、「ㄱ = g」「ㄷ = d」「ㅂ = b」「ㅈ= j」と固定します。文字そのものを覚える負荷を最小限に抑え、有声音化については、むしろ「語頭では清音に近く聞こえる」と後付けのルールとして説明します。

またこの英字表記は、ハングルをようやく覚えた矢先にぶつかる新たな壁、発音変化の理解にも効果を発揮します。

・連音化

 한국어:han – gug – eo → han – gu – geo

(gが後ろのeoと結合する様子が視覚的に明確)

・鼻音化

 입니다:ib – nida → im – nida

(口の形が同じbからmへの同化が感覚的に掴みやすい)

このように、英字表記は学習者の認知負荷を劇的に下げてくれます。次回は、この理解をさらに深める、スマートフォンのキーボードの活用についてご紹介します。

(③へ続きます)

通信587 「大学初修韓国語におけるハングル導入法について①」加藤慧

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【週刊ハンガンネット通信】第587号(2026年6月29日発行)

「大学初修韓国語におけるハングル導入法について①」 加藤 慧
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先日行われた仙台韓国教育院主催の韓国語教育者シンポジウムで、『大学初修韓国語におけるハングル導入法について―英字表記とタイピング練習の併用を中心に―』というテーマで実践報告を行いました。 現代の学生のニーズ(SNSや推し活)に合わせた導入の一例として、先生方の日々の授業づくりの参考になればと思い、こちらでも数回に分けて内容を簡単に共有させていただきます。

【はじめに:多様化する学習動機と初期の壁】
近年のK-POPや韓国ドラマの流行に伴い、大学の韓国語初修クラスにおける受講動機は多様化しています。従来の資格取得や留学だけでなく、「SNSで推しの投稿を読み、自分でコメントを書きたい」といった、日常的に文化や趣味を楽しむことを目標とする学生が急増しています。

しかし、日本語を用いた間接法の指導環境下では、見慣れない「ハングル」そのものが初期の大きな心理的障壁となり、学習意欲の低下やドロップアウトを招くという課題があります。

そこで、この心理的障壁を下げ、学習の定着率を高めるための「英字表記(ローマ字)」と「タイピング」を掛け合わせた導入方法を提案します。

【日本語母語話者の心理的障壁と既存指導法の限界】
日本語母語話者にとって韓国語は、語順や助詞の使い方が極めて類似した非常に学習しやすい言語です。しかし、初学者が最初に直面するのが、日本語の文字体系とは全く異なる幾何学的な形状を持つ「ハングル」の壁です。

この障壁を回避するため、これまで以下のようなアプローチがとられてきましたが、それぞれに限界がありました。

カタカナ表記の弊害:市販の入門書でよく見られますが、音素の混同や、日本語の開音節構造に起因するパッチムへの不要な母音挿入などの弊害が生じるのは周知の通りです。

発音記号(IPA)併記の限界:大学の教科書で一般的ですが、記号(例:ɔ, ʌ, ə, ts/dz)自体が馴染み薄く、解読に余計な認知負荷がかかってしまいます。イメージに引っ張られ、不自然な発音(「야 [ja]」を「ジャ」、[tsa/dza]」を「ツァ」あるいは「ズァ」   と発音するなど)を誘発するケースも実際に散見されています。

そこで今年度から、こちらでも以前触れた英字表記を積極的に活用してみることにしました。大韓民国が2000年に告示した「国語のローマ字表記法」を採用します。

これは、現代の韓国における地名(例:Seoul、Incheon)や人名で実際に使われている「生きた表記」です。「ㅓ = eo」「ㅡ = eu」といった文字列は、K-POPアーティストの名前やSNSで学生が日常的に目にしています。実社会や学生の興味(推し活)と地続きであるため、自発的なモチベーションを引き出せるというメリットもあります。

次回はその具体的な内容について書いていきたいと思います。

(②へ続きます)

通信579 「学びがつながる」加藤 慧

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【週刊ハンガンネット通信】第579号(2026年5月4日発行)

「学びがつながる」加藤 慧
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4月から、東京外国語大学のオープンアカデミーでネパール語の授業を受講しています。ネパール語を勉強してみたいと思った動機のひとつが、子音で終わる音が多いことや濃音に似て聞こえる音などがあることなど、なんとなく韓国語との共通性を感じて親しみをおぼえたことでした。

実際に勉強を始めてみると、それぞれの文字のかたちは似ていないものの、子音と母音の組み合わせであることや、子音に調音点による分類があり、同じ調音点で出す音も有気音と無気音に分かれていたりなど、ますます近いと感じることが増えました。

そしてその感覚は当たらずと雖も遠からずでした。ネパール語の源になっているサンスクリット語の発音体系が、タイ文字やハングルなどの新しい文字にも影響を与えているという話を聞いたとき(タイ文字は少しかじった程度ですが)自分の中でこれまでの学びがつながり、何とも言えない嬉しい気持ちになりました。

ネパール語でいつか日本語学校の学生たちと会話ができればうれしいなという気持ちはもちろんありますが、いまのところはこのように知的好奇心が満たされていくだけでも満足感でいっぱいです。語学は使えなければ意味がないと言う人もいるでしょうが、道具としての語学がすでに多くの部分でAIに代替されつつある今、人間にしかできないのは、学びを通して得られる喜びを感じ、人生を豊かにしていくことなのではないでしょうか。

何か国語も学んでいると、一体何を目指しているのかなどと冷笑されることもありますが、私にとっては役立つかどうかよりも、語学を通して異なる文化を学ぶことそのものが、そしてそれがつながる瞬間が何よりも喜ばしい過程です。もちろん学習目的は人それぞれですが、韓国語学習者の方たちともその過程を共有していけたらいいなと思っています。

通信570「N잡러」 加藤慧

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【週刊ハンガンネット通信】第570号(2026年2月18日発行)
「N잡러」加藤慧
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陰暦でも新年を迎えましたが、2026年の新たな挑戦として、年明けから週に2日、日本語学校に出講しています。コロナ前に日本語教育能力検定試験を受験し、対面とオンラインのプライベートレッスンで日本語も教えてきましたが、教壇に立つのは初めてのことです。また、非ネイティブ講師として間接法中心で教えてきた韓国語と違って、ネイティブ講師として直接法で教えるのも初めての経験です。

はじめはこうした違いに戸惑いもありましたが、基本的な授業の進め方は共通する部分も多いため、相乗効果でどちらの仕事にも活かせる学びを得られています。非ネイティブ講師とネイティブ講師、それぞれの視点から見えてくるものもあります。

また、日本語の構造や文法についての学びは、翻訳の仕事をする上でも強みになっています。

私が韓国語講師を始めるきっかけとなったのは、韓国留学中の言語交換でした。これが難しくも楽しく、帰国したら韓国語も教えてみようかな、と思ったのがすべての始まりです。その意味では原点回帰とも言えます。

いずれまた韓国の方に日本語を教えられたらとも思っていますが、現在の学生さんたちの出身国はネパール。簡単な挨拶や単語などを教わったり、文化について話してもらったりするうちに語学オタクの血が騒ぎ出してしまい、4月からは東京外国語大学のオープンアカデミーでネパール語を受講することにしました。

実はこれまでネパールという国について意識することはほとんどありませんでしたが、考えてみればコンビニや飲食店、そして見えないところでもたくさんのネパール人の方々にお世話になっているわけですし、すぐそばで日本の社会をともに生きる仲間です。互いの言語や文化についても理解を深めつつ、サポートし合っていけたらと思っています。

気づけば 3잡러 になってしまいましたが、〝ことば〟というキーワードを中心に、楽しみながら3本の軸のバランスをとっていきたいです。

通信561 「パンマルとため口」 加藤 慧

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【週刊ハンガンネット通信】第561号 (2025年12月8日発行)
「パンマルとため口」 加藤 慧
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寄田先生と幡野先生の投稿を楽しく拝読し、私も普段から考えていることを書いてみたいと思います。

「日本のため口と同じ」と言われることも多いパンマルですが、私はため口(以下では日本語のみを指します)とは、実は大きな違いがあると思っています。

少し前に、日本の俳優の方が、日本出身で韓国籍を取得したタレントの方のYouTubeチャンネルに出演した際、韓国の視聴者から「年下で初対面なのに終始ため口で失礼」と批判されていました。韓国語ではなく日本語の会話だったにもかかわらず、です。本人としては同年代の相手への親しみの表れとしてため口で話したのかもしれませんが、韓国の文化に慣れているタレントの方や韓国の視聴者は戸惑ったのでしょう。

自分に置き換えて考えてみると、日本語の会話でそれほど親しくない相手からため口で話されたときに覚える不快感は、相手の年齢やそれが失礼かどうかよりも、馴れ馴れしさからくるものという気がします。一方韓国語母語話者の場合、特に年下の相手からパンマルを使われると、相当に無礼と感じるようです。韓国ドラマでも初対面の相手にパンマルを使われて、何歳か言ってみろと怒るシーンがよく出てきますね。私はここに、日本のため口との差を感じます。

アニメもいい例だと思います。日本のアニメや漫画では、子供のキャラクターはため口で話すことが一般的だと思いますが、その韓国語吹替版を見てみると、子供の台詞はきれいな丁寧語に直されていることがわかります。日本のアニメで子供がみんな丁寧語で話していたら、逆に違和感があるのではないでしょうか。丁寧語で話す子供が登場したとしても、大人びたキャラクターを表すための役割語的なものが多いと思います。

日本の子供がテレビのインタビューでため口で答えるのも、私たちにとっては当たり前の光景ですが、SNSでこれに不快感をあらわにしている韓国の方の投稿を見たことがあります。子供が自分の親以外の大人に対してパンマルを使うことなどありえないからでしょう。

また、先日台湾に行ったときにキャラクターが台湾華語で話している施設紹介映像の字幕を比較してみましたが、韓国語は格式体、日本語はため口になっていました。韓国も子供向け番組のキャラクターなどはパンマルで話しますが、ここでは大人も見る映像だから格式体になっているのだな、と違いを改めて感じました。

こうした例からもわかるように、同じ親しさの表れでも、ため口は距離の近さ、パンマルは無礼講的な意味合いが強いのかもしれません。

さらに同じパンマルでも、한다 体 と해 体の二種類がある点も注意が必要ですね。手元のカナタ韓国語中級1のテキストでは、前者は「相手を非常に低く見る場合」、後者は「お互いが気安い場合」と説明されています。

このような注意点の多さを考えると、本当に深い付き合いになれるネイティブの友達がほしい!という学習者さん以外は、使えるようにまではなる必要がないのかもしれません。
個人的にも、同い年〜年上の友人でパンマルを使うのは日本で知り合った友人のみで、ほとんどが学生時代に先に日本語で会話し始めたケースです。
韓国留学中に親しくなった年下の友人たちからは、ある時点で丁寧語を使わないでくださいと言われ、パンマルを使うようになりましたが、向こうは丁寧語のままです。

使えるようにはならなくていいとしても、映像作品や歌詞、コンテンツなどに登場するので理解できるようになると楽しいものです。
特に映像作品では丁寧語からパンマルに変わったときの微妙な距離感の変化が描かれていたりするのがわかって、作品をより楽しめるようになりますよね。

言語体系が似ているためついつい同じように考えてしまいがちなパンマルとため口ですが、単語の意味などと同じように、重なる部分と異なる部分をしっかりと意識する必要があります。
もちろん個人差があるのは大前提だと思いますが、教える際にはこのような違いも伝えていけると、お互い嫌な思いをすることも減らせるのかなと思いました。

通信543「ハングルを介さない韓国語学習」加藤 慧

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【週刊ハンガンネット通信】第543号 (2025年8月4日発行)
「ハングルを介さない韓国語学習」 加藤 慧=================================================

私も伊藤先生に続き、先日の幡野先生の通信のテーマについて書いてみたいと思います。具体的には幡野先生への返信でも触れたアルファベットを用いた教育の可能性について、もう少し掘り下げてみます。

私はハングルや前回伊藤先生がご紹介くださったタイ文字などの音素文字が大好きな人間なので、ハングルはもちろん、台湾華語の発音記号である注音符号も楽しみながら覚えることができました。ただ、それが苦痛となるタイプの人にとっては、わざわざ苦労してまで覚えたくないと感じてしまうのも無理はないかもしれません。

注音符号はハングルと同様の音素文字で、例えば「你好」の場合ㄋㄧˇㄏㄠˇという表記になり、次の対応をすべて覚えていなければ発音することができません。
ㄋ→n
ㄧ→i
ㄏ→h
ㄠ→ao

これをひとつひとつ覚えるのはなかなか大変なので、台湾華語学習者のなかでも、中国の中国語と同様ピンインのみを使った学習をしている人が多い印象です。ピンインでの表記だとnǐ hǎoとなり、感覚的にも読むことが可能なためです。ただし、注音の方が発音を正確に表すことが可能と言われています。

この注音とピンインの対応を、ハングルとアルファベットの対応に置き換えてみてはどうだろうかと最近考えています。例えばpapago翻訳を使うと、次のようにハングルとアルファベットが併記されます。

한글을 외우고 싶지 않아요
hangeureul weugo sipjji anayo

これは旅行先での利用などで、ハングルを読めなくても発話することを想定されていると思います。もちろん、eu, eo などがローマ字読みに引っ張られないように発音のポイントをよく説明し練習してもらう必要が出てきますが、旅行会話くらいならなんとかなりそうです。

ちなみに日本語の場合でも、日本滞在中のK−POPアーティスト(英語・韓国語のバイリンガル)のオンライン上でのファン(母語は不明)とのやりとりにこのようなものがありました。

Yakitori naniga suki? − Zenbu sukidesu.

日本語のひらがなやカタカナは音素文字ではなく音節文字なので、また分けて考える必要があるかもしれませんが、音だけでコミュニケーションをとるという目的に限っていえば、アルファベットの使用もありなのかもしれないとは思いました。

とはいえ、ハングルのしくみがわかって読めたときのあのパズルが解けたような快感は、韓国語学習の最初の成功体験と言えるものではないでしょうか。大学の講義でも、記号にしか見えなかったハングルが読めるのがうれしく、電車や街中で見かけると意味もなく読んでは楽しんでいるというコメントをくれる学生が多くいます。その快感を知らないままでいるのはもったいないと思うので、少しだけ我慢してなんとか覚えてもらいたいなというのが本音なのでした。

通信534「チーム分けの地域性について」加藤慧

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【週刊ハンガンネット通信】第534号 (2025年6月2日発行)
「チーム分けの地域性について」加藤慧
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先生方は子どものころ、チーム分けやペア決めをどのようにしていましたか?

私の場合、二つに分かれるときは「うーらおーもて(手のひらvs手の甲)」あるいは「グーッパ(グーvsパー)」、三つに分かれるときは「グーチョッパー(グーvsチョキvsパー)」と言っていました。

この「うらおもて」はどうも全国的にみると主流ではないようで、長崎・兵庫・宮城で主に使われ、他の地域は掛け声はさまざまなものの「グーvsパー」のみというところが多いようです。
https://j-town.net/2015/10/02212950.html?p=all

一方韓国ではこの「うらおもて」にあたるものが主流で、このような地域性があるそうです。https://m.bobaedream.co.kr/board/bbs_view/strange/5933524

このチーム分けの掛け声 (편가르기 구호) を方言ととらえた国語国文科の学生の研究までありました。
https://linc.ajou.ac.kr/acot/?m=30002&mode=view&idx=727

三つにチーム分けする場合は、「うらおもて」をしてペアになった順に抜けていくか、「うらおもて+手刀」などで分ける場合もあるそうです。

こちらの動画では私の知っているものに近いやり方をしています。
https://youtu.be/aWW6iHFDu8o?si=GOKVJOZJWHXJ2uu3

韓国、日本各地のケースをもっと知りたいので、よろしければ先生方のケースをぜひ教えてください。

大人になるとチーム分けをする機会というのもなかなかないので実用的とはいえませんが、授業でグループワークをする際などにゲーム感覚で取り入れてみても面白いかもしれませんね。

通信526「2025年3月の韓国」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第526号 (2025年3月24日発行)

「2025年3月の韓国」 加藤慧
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前回の伊藤先生の通信で、韓国に行きたくなった方も多いのではないでしょうか。偶然にも、私の今回の通信も韓国旅行についてです。

先日一年半ぶりに韓国に行ってきました。最初の目的地は光州。仁川空港から高速バスで向かいました。光州市は私の住む仙台市と姉妹都市でもあり、いつか行ってみたいとずっと思っていた都市です。昨年ノーベル文学賞を受賞した作家ハン・ガンさんの『少年が来る』を読んでその思いはますます強まり、次の渡韓では必ず行こうと決めていました。

「光州事件」の現場となった場所のなかでも、特に全日ビル245に残る245発の弾痕は大変生々しく、ことの恐ろしさを物語っています。こうした歴史があるからこその、昨年12月3日のあの速やかな議員たちと市民の行動があったのだと改めて実感しました。ビルには「광주가 왔다! 파면이 온다!」 という垂れ幕がかけられていました。

その後KTXで移動したソウルでは、今度は途端に弾劾に反対する横断幕が目につきはじめました。たまたま市庁駅付近に行く用事があったのですが、太極旗と星条旗を持った大統領弾劾反対派の人たちが集まり、なかには泣き叫んでいる人もいたりと、異様な雰囲気が漂っていました。若い人は少なく、ほとんどが年配の人でした。

そこから光化門の教保文庫に移動しようとすると、警察のバスで道路が完全にブロックされており、地下を通るしかありません。週末だったこともあり、警察官も多く動員されていて、緊張感のある雰囲気が漂っていました。

教保文庫に入ると、ようやくたどり着けた変わらない景色に一安心という感じでした。買い物を終え、今度は弾劾賛成派の集会が行われている光化門前に移動しましたが、こちらは一転、若者が多く、ペンライトを振りながら明るく連帯する雰囲気です。一緒にいた韓国人の友人と夫とともに行進に参加しました。少し前に目にした光景とのあまりの雰囲気の違いに、道路を隔てる警察バスの車両が、そのまま韓国社会の分断を象徴しているように感じました。

メディアやYouTubeなどには偏った情報が多く、心配になることもありますが、今回光州、そしてソウルで感じたことを、授業のなかでもしっかり伝えていかなければと思いました。また、韓国の友人が韓国文化や社会の今を日本語で発信するPodcastを配信しており、「光州事件」やその後の政治ニュースについても詳しくとりあげているので、こちらも生徒さんたちにおすすめしています。
https://www.youtube.com/@seoul2sendai
先生方にもご視聴の上、ぜひ生徒さま方にご紹介いただきたいです。

今回肌で感じた2025年3月の韓国の空気は、きっと忘れないことでしょう。一日も早く、韓国社会に再び平穏が訪れることを願うばかりです。