通信498 「席をめぐって」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第498号 (2024年8月12日発行)

「席をめぐって」
ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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ソウルで地下鉄に乗ると、混雑していてもぽっかりと空いた角の席に違和感を感じる人もいるかと思います。

日本で言う「優先席」は韓国では「対象者以外は決して座ってはいけない席」となっているように思います。

この席は ‘노약자석’ という名前で認識していましたが、나무위키 ではこの席の事を以下のように解説していました。

<교통약자석>
기존에는 ‘노약자석’이라 지칭했으나, ‘노약자석’이 아니라 ‘노인석’이라는 비판을 받아 ‘교통약자석’으로 바뀌는 추세다. 비슷한 개념의 좌석을 일본에서는 우선석(優先席)이라 부르고 대만에서는 박애좌(博愛座)라고 부른다. 영미권에서는 ‘priority seating’혹은 ‘reserved seating’이라고 한다.

この席について、韓国の人はどう思っているのだろうと、自分よりも年配の韓国の人に聞いてみたところこんな答えが返ってきました。

「最近は’노약자석’ 以外に高齢者が座ると、前に若者が立って「お前らここに座るなよ、あっちにお前らの専用席があるだろ」といった無言の威圧を感じることがあります。」

「自分のような老人が朝の通勤ラッシュに乗ると「お前らがこの時間帯に乗って来て、なんでさらに地下鉄の混雑率をあげるんだよ。タダで乗車してるくせに」といった威圧も感じます。自分はできるだけ朝の通勤ラッシュの時間帯は乗らないよう調整をするようになりました」ということでした。

一個人の意見しか聞いていませんが、世代間の「断絶」は広がりを見せているように思える回答でした。

韓国の ’노인석’ の今後に変化はみられるでしょうか。気になります。