通信597 「違いの気づき」日下隆博

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【週刊ハンガンネット通信】第597号(2026年9月7日発行)
「違いの気づき」 ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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日本語と韓国語のおもしろい違いのひとつとしてよく挙げられるものに「順序が逆の言い回し」があります。

「여기저기 あちこち」「왔다 갔다 行ったり来たり」「약혼 婚約」「현모양처 良妻賢母」といった語ですね。

このようなおもしろい違いで、ふと「順序が逆」以外に、「抜き入れが逆」というものに思い至りました。

日本語では「ら抜き」と呼ばれる可能の表現で「ら」を抜く言い方が日常で定着しています。

テレビ放送で街を歩く人が「きょうは素晴らしいものが見れました」と発言すると、

字幕のほうは「見れました」ではなく「見られました」とされます。

広く使われているにもかかわらず現状は正しくない日本語とされているためですね。

逆に韓国語では ‘ㄹ’ の挿入が定着している言い回しがあります。

“내일 갈려고 해요.” は、テレビ放送の字幕は “내일 가려고 해요.”と付けられ、現状では正しくない韓国語であることを知らせています。

‘막걸리’ は昔は ‘막걸이’ だった例などからも、韓国語は ‘ㄹ’ が好きなんだなあとよく思います。

もちろん「ら」と ‘ㄹ’  はまったく同一のものではありませんが、

このように片や、正しくないとされているにもかかわらず大多数が「ら」を抜いて話す表現があり、

片や、正しくないとされているにもかかわらず大多数が ‘ㄹ’ を入れて話す表現がある日韓の違いにおもしろみを感じた次第です。

「日韓は抜き入れが逆」。

過去にどこかで取り上げられたことのある内容でしたら一笑に付してください。

通信589 「取り扱い単語」日下隆博

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【週刊ハンガンネット通信】第589号(2026年7月13日発行)
「取り扱い単語」 ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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最近は、TikTok Liteを開き自動スクロールにしておくと次々に韓国語講師の授業や韓国語学習素材が流れてくるようになりました。

様々な先生のアイデアと努力の成果をお手軽に無料で見られる毎日です。

目を引く点はいろいろありますが、やはり現れたという感じなのが、NHK放送など地上波教育番組では何年経とうと絶対に取り上げない韓国語単語ばかりを紹介するコンテンツです。具体的には書きませんが語学書籍の出版社も決して書籍化することはない単語ばかりかと思います。一方でこうした単語を知りたかったという学習者も少なからずいることでしょう。またこうした単語を扱って口にできるキャラクターも限られるでしょう。今のところ唯一無二のコンテンツかもしれません。

このコンテンツでは日本語から韓国語訳を紹介していますが日本語のほうは一部伏せ字にしているのもおもしろいところでしょうか。

ところで、ハングル入門授業で濃音の文字を説明したのち「それでは次の単語を読んでみましょう」と提示する単語に、みなさんは 뽀뽀 を取り上げますでしょうか。

私は主婦層のクラスでは取り上げているのですが、高校生対象のクラスではこの単語を取り上げないでいます。

この話を韓国語ネイティブ女性講師にしたところ「高校生こそ取り上げますよ。はい 뽀뽀! とか日常で使うでしょう。主婦が 뽀뽀 なんていつ使いますか?」という回答が返ってきました。

別の韓国語ネイティブ先生は「さっきから 뽀뽀 뽀뽀 言いすぎです」という一言を発し笑いに包まれました。

また別の日に日韓バイリンガルの青年に同様のことを訊いてみました。

すると「自分も日本の高校生には 뽀뽀 は避けるでしょうね。뽀뽀 をチュチュとかの日本語に訳すとニュアンスが違いすぎて誤解を招くかもしれませんよね」という回答でした。

みなさんの場合はいかがでしょうか?

通信581 「オンライン先生」日下隆博

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【週刊ハンガンネット通信】第581号(2026年5月18日発行)

「オンライン先生」 ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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最近は、TikTok Liteを開き自動スクロールにしておくと次々に韓国語講師の授業や韓国語学習素材が流れてくるようになりました。

様々な先生のアイデアと努力の成果をお手軽に無料で見られる毎日です。

目を引く点はいろいろありますが、日本語ネイティブ講師の間違った韓国語も目を引く点のひとつです。

生徒とのオンライン授業を講師側にカメラを向けて紹介しているパターンの動画の中でこんな動画が流れてきました。

生徒が “한국 드라마가 좋아요”と言うと、

「それは韓国ドラマがいいという意味なので “한국 드라마가 좋아해요” と言わなければいけません」と生徒に訂正を入れていました。生徒はそれを復唱します。またこのやりとりに字幕も付けて公開していました。

この先生はほかにも日本語ネイティブが間違いやすい韓国語を多く発信しているので大変目を引きました。

この先生の話を私の受講生にすると「フォロワーは10万人を超えていて受講料も高いんですよ」と教えてくれました。

私はこれまでも、SNS上で発信している日本語ネイティブ講師の韓国語の誤用は気づいた時にはスクリーンショットで保存してあることから、ふとこうした韓国語講師が自ら発信している誤用を「日本語ネイティブが間違いやすい韓国語」として特集すれば日本語ネイティブの韓国語学習者にとってわかりやすく有益な授業になるのではないかと思いつきました。

もちろん良い内容の素材もたくさんあります。TikTokはつけているだけで相当にアイデアを提供してくれます。

通信574 「韓国語からの広がり」日下隆博

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【週刊ハンガンネット通信】第574号(2026年3月23日発行)
「韓国語からの広がり」 ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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Instagramを見ていたらNHK俳句テキストの写真に目がとまりました。

ポスティング内容は、テキスト最新号に自身の句が2か所に掲載された、というものでした。

文章を読み進んでいくと一番最後が、以下の文章で締めくくられていました。

「ある韓国語の先生(日下隆博先生)が特選を頂いたのを契機に‘NHK俳句’のテキストを時々買うようになった。

時間がある時に写真と俳句を投稿し、ついに写真と俳句が4月号に載った。韓国語の先生のお陰だ。」

昨年のテレビ放送「NHK俳句」において私の俳句が特選句となったことがこの方の日々に影響を与えていることがわかりました。

これまで「日下先生のおかげで韓国ミュージカルにすっかりはまりました」「日下先生のおかげで推しの歌手ができました」といったことは言われてきましたが、韓国語を学ぶことで日本の俳句に出会い、人生を楽しくしている話は初めて聞きました。

俳句づくりは日本語とじっくり見つめあう作業で新しい発見がたくさんあります。おのずと韓国語ではこうしたことはどう言うのか、などと韓国語の知識にも影響を与えます。

「韓国語を学ぶ広がりは果てしない、どこまでも広がっていくような気がするな」とたいへんうれしく思ったできごとでした。

通信566「講師と生徒」日下隆博

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【週刊ハンガンネット通信】第566号(2026年1月19日発行)
「講師と生徒」 ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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私が昨年からオープンマイクと呼ばれるライブハウスなどの飛び入りステージに立つようになって10か月ほどが経ちました。これまで40回ほどのステージを経験し音楽を通して様々な人と知り合う機会も得ています。

その中で時に、普段はボーカルレッスンの講師やボイストレーナーをしているという方に出会うこともあります。「ボーカルを教える仕事もしていますので気軽に問い合わせてみてください」とステージで自己紹介する方もいます。

人に歌を教えて対価を得ている人のボーカルということで当然その人のボーカルは期待して聞くわけですが、一般のカラオケ好きな人ほどもうまくないボーカルだったりすることがあります。

そこでふと、流ちょうに韓国語会話ができなかったり韓国語の発音が韓国人のように聞こえない韓国語講師の顔が数人頭に浮かびました。

なるほどボーカルの世界でも同じことがあるのだな、と感じます。

本人の歌唱力は二の次で、教えるプロとしての何らかの力量を備えているのだろうと想像します。

ある日、そんなボーカル講師主催のパーティーに誘われ参加したことがありました。

パーティのカラオケコーナーでは参加者がカラオケを披露しました。特にうまくもない歌唱が次々と披露されていきます。その時、歌唱者を紹介する際に「ボーカル講師の生徒」だということが明かされていきます。

そこではたと、講師の教える力量にも疑問符がわいてきました。

生徒のうちひとり歌が上手な人がいました。驚いたのは、その人にボーカル講師が「先生と一緒に歌いましょう」とデュエットしたところハーモニーはいまひとつで講師が生徒の歌を台無しにしていたことでした。また生徒もありがたく講師とのデュエットに臨んでいるように映りました。

このことで考えたことは、こうした先生に習い続けている生徒の、講師を見極める目というのは、ほぼ盲目状態なのではないかということでした。

音楽の交流の場で、思わず講師と生徒について考えてみる機会を得た形となりました。

通信557 「伝えたいこと」日下隆博

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【週刊ハンガンネット通信】第557号 (2025年11月17日発行)
「伝えたいこと」 ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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人にものを教える仕事をしていると受講生が挫折しそうな様子を見ることがあります。
そんな時に伝えるメッセージはいったいどういったものがあるでしょうか。

週刊ハンガンネット通信での私の2025年中の執筆担当はこの号が最後となりますので2025年の個人的に初めてのことを振り返ってみます。

NHK Eテレの「NHK俳句」で私の句が特選句となり番組で紹介されました。
毎月の句会を5年間続けてきたひとつの大きな成果が出たでき事となりました。

句会ではいつもメンバーからの評価が低い私ですが、韓国語とは直接関わりのないもので、こつこつ続けることの成果、続けていれば何か良いことがある、ということを受講生に示すことができました。

今年は音楽活動を再開しました。声や演奏のリハビリを兼ねてライブハウスでの飛び入り演奏など、活動再開からこれまで7か月で30回以上ステージに立ちました。
そのうちの2か所は鳥取県米子市と宮城県仙台市と関東以外でも歌い演奏しました。

その際できるだけ心がけていることは歌詞もすべて暗記して歌詞カードや譜面を見ないで歌い演奏することです。

ステージでの私の演奏曲は主に英語の歌です。
英語の歌詞は韓国語や日本語の歌詞と違って私にとってはおおよそ意味を伴わないで覚えるものです。そのため何度も何度も繰り返し暗記を確かめるしかありません。

「単語が覚えられない」「覚えてもすぐ忘れる」と嘆く受講生からは「単語がすいすい覚えられるのは先生だからできるんですよ」と言われることも多いです。

今回英語と楽器演奏という、韓国語ではないものをこつこつと覚えていくことの実践から、暗記や記憶の定着のために誰もがやらなければならない何度も繰り返し暗記を確かめる過程を説明しやすくなりました。

またステージを何度も積み重ねることで経験値を増やし、ミスの発生とその修正の繰り返しがスキルアップにつながることの実践も、韓国語学習に置き換えると、アウトプットの場数を増やし、間違えては修正し、その繰り返しでより良い韓国語話者としてスキルアップにつながるという点も説明しやすくなりました。
学習者に「伝えたいこと」をより説得力を持って伝えやすくなったと感じています。

通信539「韓国大好き」日下隆博

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【週刊ハンガンネット通信】第539号 (2025年7月7日発行)
「韓国大好き」 ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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先日韓国に行った際に、「知り合いがソウルにいるので案内も兼ねてその人たちと合流してほしい」と言われ、共に景福宮を回りその後食事をしました。

聞くとソウルには何度も来ているということでした。

「景福宮は初めて行った」とのことで、これまで特に興味はなかったそうです。韓国に頻繁に来ているのは「美容手術」が目的ということでした。

なるほど、自分自身が普段の韓国語授業では意識していなかった、韓国に頻繁に通う思わぬ人を認識しました。

確かに美容手術大国の韓国であれば言葉のハンディキャップも簡単にクリアできるのでしょう。

また彼女たちは韓国での交通手段はタクシーしか使ったことがないということでした。

合流した日本人と日本語で話しながら食事をしていると、 隣席の二人がちらちらこちらに視線を向けてくるのに気づきました。

日本語が気になるのかと思っていたらその二人も日本人ということで私たちに声をかけてきました。

声をかけてきた隣席の二人に「観光でいらしたんですか」と聞いてみました。

すると声を出さずに口の形で返答してきました。

私が「え?」という顔で聞き返すと、身振りで手をひねるかっこうをしてきました。

口元から「カ・ジ・ノ」という単語が読み取れました。

この二人はカジノにのめりこみ頻繁に韓国にカジノ通いをしているということでした。

ここでも再び、私自身普段意識していなかった、韓国に頻繁に通う思わぬ人を認識しました。

普段は推し活などの目的を中心とした韓国語学習者の目線でしか渡韓目的を意識していませんでしたが、「韓国大好き」な人々のその理由は多岐にわたると感じました。

美容手術が渡韓目的の人は「ヨボセヨはどういう意味ですか?」「チョギヨはいつ使いますか?」「自宅から近かったら日下先生の教室に韓国語を習いに通いたいですね」と特に本気ではない軽い感じで話していましたが、普段は接点のないタイプの韓国大好きな人々との思わぬ交流から、意外なところに韓国語学習者掘り起こしの余地はまだまだあるのかもしれないように思いました。

通信530 「ハングルの前に」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第530号 (2025年5月5日発行)

「ハングルの前に」 ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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4月から始まる日本の学校の年度、2025年度が始まり1か月が経ちました。
この間ハングルを覚える授業を、新規の生徒を対象に開始した先生もいらっしゃることかと思います。

さてこのハングルを覚える授業ですがまず先生方は最初にどんな話をしますでしょうか?

近年の授業ですと、知っている韓国語を生徒に聞いてみる、といった導入部もあるかと思います。

そして本題のハングルを説明する直前には何をしますでしょうか?
母音と子音を知らない生徒を確認するのではないかと思います。

この時生徒全員が「問題ありません」となればすぐに本題に入れますが、母音と子音がわからない生徒の割合はある程度存在することは織り込み済みで授業準備をしているかと思います。

教科書によってはこの母音と子音の詳しい説明がないものも多いです。

母音と子音をこれまで意識したことのない生徒は、ガッテンしてもらうのに意外と時間がかかることがあります。
またこの時点であきらめ顔の生徒を見ると母音と子音は人によっては大変ないばらの道なのかもしれないと思うこともあります。

中には授業冒頭から初声中声終声の説明から開始する先生もいるのかもしれませんが、それよりも情報量の少ない母音と子音の違いで挫折する生徒が出ないように、少しでも良い方法を模索したいと思います。

通信515「高齢学習者」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第515号 (2024年12月16日発行)

「高齢学習者」
 ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
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対面クラスの新規入門コース初日。
授業開始前にか細い声であいさつをしてきた生徒さんがいました。
「先生、わたし80過ぎてますもんで、覚えが悪いかと思います。どうぞお手柔らかにお願いします。」

授業を始めて数週間、確かにハングルを覚えるのはなかなかに難しそうでした。
ただ本人も努力をしているのがよくわかり、前の回の授業よりも確実に読めるハングルが増えていっています。
クラスメートも、1時間でハングルが読めるようになると詠っている本を紹介してあげたりと盛り上げてくれていて、講座開始から3か月、この高齢学習者は今のところ欠席はありません。

開始2年の別の入門クラス。
こちらは授業が2週間開くことがないよう学習回を増やしてほしいと受講者9人全員一致でリクエストしてくる雰囲気のクラスです。

このクラスでよくできる方のひとりはクラス最高齢の女性です。75歳を超えていると思います。
予習復習もたっぷりして授業内での質問もこの方が一番多いです。

ある日この方が20時30分の授業終わりに雑談もそこそこ「きょうはこれでお先に失礼します」とリュックを背負って急いで帰ると言います。
聞けば、これから泊まり込みのアルバイトに行くということでした。

年齢をまったく感じさせないバイタリティと、そうして作ったお金があってこその韓国語の授業なのではないか、と頭が下がる思いでした。