通信559 「パンマルを使う相手」 幡野泉

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【週刊ハンガンネット通信】第559号 (2025年11月24日発行)
「パンマルを使う相手」幡野 泉
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第553号で寄田晴代先生が「パンマルはいつ使える?」という
メルマガを投稿され、私もこれについてはいろいろ感じてきたので
リレー的に書いてみたいと思います。

私はこれまで誰にパンマルを使ってきただろうと思い返してみたら、
数えるくらいしかいませんでした。
語学堂時代、日本人の友人を介して知り合い、グループでつるんで
遊んでいたお調子者のサンフン。それから、子供(知り合いの子供、
行きずりの子供問わず10歳くらいまで)などです。

語学堂のクラスメイトや知り合いの子供でも、中学生以上くらいに
なると丁寧語を使っていたかもしれません。サンフン以外の
韓国人友人には仲が良くても丁寧語を使っていましたし、
仕事で接する人は、いくら年下でもすべて丁寧語です。

上記、「つるむ」という表現を使いましたが、感覚的に、同世代でも
年下でも、「つるむ」ような間柄でないと、なんとなくパンマルは
使いにくいと感じています。
あと、10歳以下くらいの子供に丁寧語を使うと、知り合いでも
行きずりでもオカシイ気がしています。

また、寄田先生が職場での話を書かれていましたが、
私も似たような場面を見たことがあります。

社員の中で姉御的存在の韓国人Aさんがいて、Aさんは周囲の後輩
社員に向かってパンマルで話していました。
そして、新入社員の韓国人Bさんが入社してきました。
Bさんは、Aさんより10歳以上年下です。
ほどなくして、事情がありAさんは退社しました。
すると、Bさんがこう話していたのです。
「Aさんの印象は良くなかった。パンマルを使っていたから」と。
AさんとBさんは少し接する期間がありましたが、AさんがBさんに
パンマルで話していたかは分かりません。
とにかく、Aさんが後輩社員に向かってパンマルで話していたことに対し、
よく思っていなかったようでした。

私からしたら、Aさんは姉御肌だったし年長者だったので、周囲に
パンマルで話すのも自然に感じられたのですが、同じ韓国人でも
違和感を覚える人がいるんだ、と意外に感じたものです。

親しい中にも礼儀あり……。私たち日本語話者が外国語として韓国語を話す
とき、パンマルを使うことが相応しい場面というのは、かなり限られる
のではないかと思っています。