通信566「講師と生徒」日下隆博

=================================================
【週刊ハンガンネット通信】第566号(2026年1月19日発行)
「講師と生徒」 ワカンドウ韓国語教室 日下隆博
=================================================

私が昨年からオープンマイクと呼ばれるライブハウスなどの飛び入りステージに立つようになって10か月ほどが経ちました。これまで40回ほどのステージを経験し音楽を通して様々な人と知り合う機会も得ています。

その中で時に、普段はボーカルレッスンの講師やボイストレーナーをしているという方に出会うこともあります。「ボーカルを教える仕事もしていますので気軽に問い合わせてみてください」とステージで自己紹介する方もいます。

人に歌を教えて対価を得ている人のボーカルということで当然その人のボーカルは期待して聞くわけですが、一般のカラオケ好きな人ほどもうまくないボーカルだったりすることがあります。

そこでふと、流ちょうに韓国語会話ができなかったり韓国語の発音が韓国人のように聞こえない韓国語講師の顔が数人頭に浮かびました。

なるほどボーカルの世界でも同じことがあるのだな、と感じます。

本人の歌唱力は二の次で、教えるプロとしての何らかの力量を備えているのだろうと想像します。

ある日、そんなボーカル講師主催のパーティーに誘われ参加したことがありました。

パーティのカラオケコーナーでは参加者がカラオケを披露しました。特にうまくもない歌唱が次々と披露されていきます。その時、歌唱者を紹介する際に「ボーカル講師の生徒」だということが明かされていきます。

そこではたと、講師の教える力量にも疑問符がわいてきました。

生徒のうちひとり歌が上手な人がいました。驚いたのは、その人にボーカル講師が「先生と一緒に歌いましょう」とデュエットしたところハーモニーはいまひとつで講師が生徒の歌を台無しにしていたことでした。また生徒もありがたく講師とのデュエットに臨んでいるように映りました。

このことで考えたことは、こうした先生に習い続けている生徒の、講師を見極める目というのは、ほぼ盲目状態なのではないかということでした。

音楽の交流の場で、思わず講師と生徒について考えてみる機会を得た形となりました。