通信573 「꽃이 피었네 봄이로구나(花が咲いた 春だなあ)」田附和久

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【週刊ハンガンネット通信】第573号(2026年3月17日発行)
「꽃이 피었네 봄이로구나(花が咲いた 春だなあ)」田附和久
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年度の締めくくりとなるこの時期の授業で、私は、自身のソウル留学中、花ばかり眺めて春の日を過ごしていたという話をします。

鷺沢萌さんは、自身の留学体験記に『ケナリも花、サクラも花』というタイトルをつけましたが、春の訪れを告げる花が、日本ではサクラ、韓国ではケナリであるということには、多くの方が同意されることでしょう。色のない厳寒の世界が、3月のある日突然、一気に黄色に染まる光景を目にしたときの胸の高鳴りは、今でもはっきり覚えています。

そして、しばらくすると、黄色のあいだにピンクや薄紫が混ざって見えてきます。そう、チンダルレです。日本で見慣れたツツジやサツキと違い、葉を出す前に花を咲かせるチンダルレも、初めて見たときには、その可憐さに心を奪われました。実は、韓国に留学する前に、울긋불긋という単語は教科書で習って知っていたのですが、実際にケナリとチンダルレがいっしょに咲く様子を見て、「これが울긋불긋なのか」と、ようやく合点がいきました。

色鮮やかな景色に目が慣れてきた頃、今度は鮮やかな白に目を奪われます。そう、見事なモクレンです。モクレンは力強さも感じさせ、心を弾ませます。

そして4月も中旬になると、東京よりも2週間ほど遅れて、サクラがあちこちで咲き始めます。ただ、サクラの名所には、日本が植民統治をしていた時期に日本人によって植えられた場所も少なくなく、歴史に思いを馳せると、美しさを感じつつも胸の苦しさを覚えました。全州から群山に向かう道路沿いのサクラは、今でもきれいに咲き誇っているのでしょうか。

サクラが散るころには、鮮やかな新緑に包まれています。そして、風に乗ってアカシアの香りが漂ってきます。そういえば、私の若い頃には、韓国のガムといえばアカシアガムが人気でしたが、今でも売っているのでしょうか。当時、韓国に旅行すると人参ガムやアカシアガムをおみやげに買って帰り、その匂いで友人たちを驚かせたものでした。

そんな花の話をした後で、続けて歌を歌います。一曲は고향의 봄、もう一曲は과수원 길です。そして、고향의 봄の歌詞を説明するときには「울긋불긋」、また、과수원 길では「실바람 타고 솔솔」「얼굴 마주보며 생긋」という部分に注目してもらい、朝鮮語のオノマトペの豊かさについて話をする、というのが定番です。

「一年学び、ハングルを読めるようになり、漢字語の語彙であれば意味をかなり想像できるようになったと思いますが、朝鮮語はまだまだ奥が深いです。オノマトペが表すような豊かな朝鮮語の表現を学ぶ旅を、これからもご一緒に続けていきましょう」と語り、一年の授業を締めくくります。

別れと出会いが交差するこの季節、美しい花を眺めながら、新しい場所へ向かう人は新しい場所で、同じ場所にとどまる人はその場所で、それぞれ思いを新たにし、朝鮮語を学ぶ旅を続けていきましょう。