通信387 『韓国語ジャーナル』創刊20周年 裵正烈

【週刊ハンガンネット通信】第387号 (2022年4月18日発行)

『韓国語ジャーナル』創刊20周年 
株式会社HANA 裵正烈
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今月発売された『韓国語ジャーナル 2022』が私のもとに送られてきました。アルクが2002年から発行しているこの雑誌のことを、ご存じの方は多いと思います。今年が創刊20周年になるとのこと。20年の歴史はひとえにこの雑誌を続けて発展させてきた来た人たちあってのことで、私はほとんど部外者なのですが、創刊に関わった者として、当時の話を少ししたいと思います(創刊当初は「1人編集部」だったので話せる人間が私しかいません)。

朝鮮学校の英語教師から出版社の編集者に転身して3年目だった私は、その前年に『中国語ジャーナル』が創刊されて成功を収めたことにも勇気づけられ、この雑誌の創刊を考えつきました。キャリアは浅いものの、留学雑誌と英語検定試験の対策本の制作を通じて雑誌と語学書の作り方を一通り身につけていましたし、それに加えて学校で培った語学が私にはありました。

その頃まで韓国語は、一般にマイナーな言語とみなされていたと思います。私自身もそれを学ぶ人たちに対する認識があいまいだったのですが、調べるうちに、想像以上に韓国語の学習熱が高まっていること、幅広いきっかけや関心から学んでいる人、それこそ英会話を学ぶような感覚で韓国語を学んでいる人がいることが分かってきました。そういう人たちに、ビジュアルを通じて新しい韓国の姿を知らせて、生きた韓国語の素材で学習を後押しする新しい雑誌が必要だという考えに至りました。

とはいえ、韓国語の本を作るうえでの環境や人脈がゼロに等しいところからのスタートでした(この話は長くなるので割愛)。もう一つの大きな問題が、社内で企画が通るかどうかということでした。

準備に着手したのは2001年の10月頃。企画案を練り、営業部署と一緒に数字を練り込み(営業部に韓国語の学習者がいたこともあって協力的だった)、12月の企画検討会議に乗り込みました。社長をはじめとする重役、部署責任者の前でプレゼンを行い、その場で企画の可否が判定されるのですが、通常なら流れ作業で結論が出るところ、このときは1時間近く議論が続くこととなりました。当時は韓国語の学習雑誌がどんなものになるか、それをどんな人が買うか想像できる人がいないわけです。しかも単行本と違い、雑誌は費用もかかり、毎号出し続けなければいけません。プレゼン直後は好意的な雰囲気だったものの「韓国語の雑誌なんかが売れるのかね? 売れたとしてもいいとこ3000部じゃないの」と最後まで反対し続けたのが社長だったので、しまいには皆沈黙してしまいました。業を煮やして司会者が「結局どうればいいんですか?」と言うと、「じゃあまず1号だけやらしてあげよう。赤字が出たらその時点で終わり」との社長の一声でかろうじて承認されました。

発売日は、日韓共催ワールドカップの開催に合わせて2002年6月30日ということになりました。文字通りの1人編集部を立ち上げて、(ここからの制作過程の話も長くなるので割愛)、無事期日どおりに創刊を果たしました。当時日本のテレビで売れ始めていた韓国の女優(ユン・ソナ)を表紙モデルに起用し、彼女の韓国語のロングインタビューなど、生きた韓国語をふんだんに収めたこの雑誌は、学習者にも韓国語の新しい時代を感じさせるものであったと思います。売れる自信があったかというと、分からなかったというのが正直なところ。発売日が土曜日だったのですが、月曜日に出勤してほどなく「朝から書店の注文で電話が鳴り続けています」と営業部から連絡が来ました。それで、やっぱりこういう雑誌を待っていた人がいたんだと安堵したことを覚えています。創刊号は発売後すぐに増刷が決まり、最終的に5万部近くまで部数を延ばしました。その翌年『冬のソナタ』の放映をきっかけに韓流ブームが起こり、さらに大きな韓国語学習ブームが起きたのはご存じの通りです。

私は17号まで編集長を務めて雑誌を離れ、自分の出版社HANAを立ち上げて韓国語学習書の制作や出版を手掛けるようになりました。『韓国語ジャーナル』は後を引き継いだ人たちにより10年の間発展を続け、2013年に44号をもって一旦休刊となりました。私の出版社では、その休刊を受けて、2014年に『hana』という雑誌を作り今に至ります。そして『韓国語ジャーナル』も2020年に復刊を果たし、以後年1回のサイクルで発行されています。一度休刊になった雑誌を復刊させるのは、創刊するよりはるかに難しいと思います。これは本当にすごいことで、復刊後、年度版としてすでに3年出し続けている編集長には心から賛辞を贈りたいです。そっちがあまり売れるとこっちのものが売れなくなりそうなので微妙な思いもありますが、なにより学習者にとって、選択肢が増えるということは望ましいことではないでしょうか。

余談ですが、『韓国語ジャーナル』が10周年を迎えた際に記念イベントが開かれ、私も招かれたので行ってきました。すると、創刊に最後の最後まで反対した社長が「どうやら『韓流が来ている』ということで、私がこの雑誌をやってみたらどうかと、やらせてみたところ大ヒットしました」とあいさつしたのには、心底驚かされました。でも、仮にあのとき「ゼロ回答」だったら、今こうしてこの通信を書いている自分はいませんし、HANAという出版社もありませんから、条件付きでもやらせてくれた社長には恩を感じています。

オンライン開催!2022年6月の「ハンガンネットセミナー」のお知らせ

e38182e38197e38299e38195e38184韓国語市民講座講師のネットワーク「ハンガンネット」が開催する6月のセミナーもオンラインにてお届けします。2022年度は、模擬授業をテーマにセミナーを開催したいと思っております。ぜひご参加ください!

開催日時:2022年6月26日(日)13:00~15:00
開場:12時40分にZoomの部屋をオープンします
スタート:13時00分
総合司会:寄田晴代

セミナー内容
「特別でない普段通りのレギュラー授業を垣間見る(笑い時々あり)」
講師役:日下隆博

通常最も多く行われる授業が、教科書の内容を進めていくレギュラー授業です。
そこで今回は、いち韓国語講師の普段の様子を垣間見る内容です。
今回の模擬授業は日下隆博先生が担当します。ミュージカル楽曲などを使った特別授業も多く行っている日下先生が普段いったんどんな授業をしているのでしょうか。
日下先生は、できるだけクラスに笑いが起きることを意識して授業しているということです。
今回は、動詞の連体形「-는」を教えるシーンからそんな日下先生の授業の様子を垣間見ます。

第1部:日下隆博先生のライブ授業と質疑応答(13:00~14:00)
第2部:今より楽しい授業にするためのアイデアを出し合おう(14:10~15:00 カメラオンでご参加お願いします)
(日下先生の授業を見て、自分の授業にどう生かせるか、または新しく浮かんだアイデアをグループに分かれて話します。授業を楽しくするアイデアを持ち帰ってください。)

日下先生写真 日下隆博(くさかたかひろ)
ワカンドウ韓国語教室代表。NHK報道番組ディレクターを経て韓国語講師。著書:ミュージカル「パルレ」を歌って日常韓国語を学ぼう(晩聲社)/NHKワールド・ラジオ日本 韓国語リスニング(共著・語研)ほか

参加条件:
・韓国語講師(これから教室を始めたいという方も、大歓迎)
・韓国語教室運営関係者、今後韓国語を教えたいと思っている講師志望者
・会員/非会員は問いません。

お申し込み:こちらからお申し込みください。
申し込み締切り:2022年6月24日(金)20:00まで
悩みや課題に思っていることや現況も一言添えてください。
参加費:1,000 円
【参加費は事前に銀行振込よりお支払いください。】
⇒振込先 paypay銀行 本店 普通 2174994 ハンガンネットマエダタダヒコ

通信386 「講座の告知ページと、受講者に送る連絡メールについて」浅見綾子

【週刊ハンガンネット通信】第386号 (2022年4月11日発行)

講座の告知ページと、受講者に送る連絡メールについて
HANA 浅見綾子
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私は個人的に韓国語の学習をずっと続けていますので受講者として講座を申し込む場合と、「とんそく子の勉強会」(現在お休み中)を開催し、運営側から告知ページを作る場合があります。

韓国語学習者として様々な学校・教室・個人の先生の告知ページ(ホームページであったり、フェイスブックページであったり)を見ていて、とっても分かりやすく、安心して申し込みができる場合と、どういうことをするのか具体的には分からないが、えいっと申し込む場合があります。

私個人が思う、安心できる告知ページは、1.講師のプロフィールがある(どういう先生から指導が受けられるのか分かる)、2.授業の流れが「詳しく」書いてある、3.学習レベルが自分に合っているか判断できる。ぐらいかなと思います。講座の金額や時間などは当然のことですので省きました。

1.講師のプロフィール
どんな先生から学べるのかは、講座の内容にもよりますが、その講座を受けるかどうか決めるのに大きな役割を果たすと思います。プロフィールにはどんなことを学ばれた先生か、ということに加えて、どんなことを重要に考えている先生なのか、どんな風に授業を進めていく先生なのか、ということが知れたら個人的には嬉しいです。これは一つの例ですが、発音をしっかり指摘してくれる先生なのか、日本語訳を重要に考えるタイプの先生なのか、あるいは褒めて伸ばすタイプか、指摘して伸ばすタイプなのか、などなど。ただ書き方を間違えるとマイナスになる場合もあるので書き方は気を付けないといけないですね。

2.授業の流れが「詳しく」書いてある
運営側目線で考えると、新規の講座は告知の段階で詳しく授業の流れを書くのはなかなか難しいかと思います。しかし、難しいところではあるのですが、受講者目線で考えると授業の流れが「詳しく」書いてあると、どんなことをする授業なのかが分かるのでとても安心でき、申込みのボタンを押す勇気が出ます。もし繰り返し開催される講座であれば、開催される度にどんどん詳しく授業の流れを書き足し、更新されることをおすすめします。

3.学習レベルが自分に合っているか判断できる
実際に講座を受けてみて、簡単すぎた・難しすぎたと感じる受講生は割と多いと思います。
自分に合っているかの判断は、教材名や副教材で使うプリントなどのサンプル画像がアップされていると判断しやすくなるかと思います。教材名だけでなく、本文ページが一部だけでもアップされているとレベルが想像しやすいです。また先程も書いた「授業の流れ」も判断ポイントの一つになると思います。

上記には「告知ページ」について書きましたが、ここからは運営側からの講座に関する連絡メールについて書きたいと思います。講座の満足度を左右するものの一つでもあると思います。

講座を受けることを決め入金を済ませると、だいたいこのタイミングで授業に関するメールが届きます。
宿題に関すること、授業の進め方のこと、もしくはZoomのURLの連絡のみだったり。

初めて受ける講座の場合は期待と不安でいっぱいです。
運営側から初めて来るメールが不親切だったり、授業に関する情報が少なすぎたりすると不安になったりもします。

例えば、宿題について。
いついつまでに、〇〇をしてきてください、
いついつに〇〇を発表してもらいますので、準備してきてください、などがあると思いますが、この説明が分かりづらいと、受講生はどこまでどのくらいの準備をすればいいのか迷ってしまいます。
またAとも取れるし、Bとも理解できるような書き方をしている連絡内容は、どうしたもんか困り、質問メールを送ることがあります。
誰が読んでも勘違いしようのない、分かりやすい文章を書くことは大切だと思います。

言うは易く行うは難し。
いざ自分が運営側の立場でやる場合は、受講生さんから怒られっぱなしです。

通信385 「授業と平和」寄田晴代

【週刊ハンガンネット通信】第385号 (2022年4月4日発行)

授業と平和
寄田晴代
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連日ニュースを通して見聞きするウクライナ情勢に胸が痛くなります。
そして、今さらながら生命の危機にさらされて暮らす人は、ウクライナ以外でも少なくないことを思い出します。

ある国から一時帰国した人からこんな話を聞いたことがあります。
現地で日本語を教えている人なのですが、政権が替わって以来、教育の現場も影響を受けているという話でした。
授業で「~したい・~がほしい」の練習をしたとき、学生に「今、何がほしいですか。」と尋ねると、「平和がほしいです」という答えが返ってきたそうです。
また、最近の出来事を自由に話してもらう時間には「隣の家に警察が来て隣の人が連れて行かれました。」「近所で爆発がありました。」「親が病気で病院に連れて行ったのですが、病院では不服従運動をしていて診察してもらえませんでした。それで親は死にました。」などなど。
なんとコメントをすればいいのかわからない「最近の出来事」ではありませんか。

コロナ禍でオンライン授業をしているときには、こんなこともあったそうです。授業中に学生が突然「ちょっとインターネット切ります」というので、訳を聞くと「近所に軍や警察がいっぱい来ているのが窓から見えるので」。あらぬ嫌疑をかけられないように用心しているようです。
オンライン授業中に突然インターネット回線が切れたことがあったそうで、後で知ったその原因は、近所の電柱が爆破されたためだったそうです。

日本に帰国しているときも、スパイがいるから大勢の前で現政権の批判をすると危ないとも聞きました。

たまたま安全な地域で暮らす私は、どうしたらいいのか、何をすべきなのか答えは簡単ではないのですが、せめて自分が教えている言語が人と人をつなぐ、平和に寄与するものとして使われてほしいと思ったりするのです。
授業の準備大変、とかぼやくのは「배부른 소리」ですね。

通信384 「韓国語のパッチムとマレー語の閉音節」伊藤耕一

【週刊ハンガンネット通信】第384号 (2022年3月30日発行)

韓国語のパッチムとマレー語の閉音節
伊藤耕一
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マレーシアに来て3ヶ月半、だいぶマレー語が耳に馴染んできたように思います。
数字は100までだいたい分かるようになり、徐々に聞き取れる単語が増えてきて、知っている言葉をつなぎ合わせて話してみると、時々ですがちゃんとしたマレー語になって褒めてもらえる、そんな楽しい日々を送っています。

マレー語には閉音節があります。
無声音の子音(t,k,p等)が語末に来ると、息を止めて発音します。
韓国語のㄷやㄱやㅂとほぼ同じ発音なので、この発音は軽くクリアできました。
これを傍で聞いていると、とても苦しそうに発音しているように聞こえる時もあります。

マレーシア人とは英語で話すことが多いのですが、英語の発音もマレー語の影響を受け、マレー語以上に苦しそうに発音しているように感じることがあります。
例えば、”I went to the park.” のような文章を話すとき「アイ ウェンッ トゥ ド パッ(아이 웬ㅅ 투 더 팍)」といった発音になります。
最初は戸惑いましたが、今ではだいぶ聞き取れるようになりました。
何事も慣れるものだなと痛感します。

韓国語と異なるのは、無声音の子音の後に母音が来てもリエゾンしないことです。
例えば、”Check it out.” を発音すると「チェッ イッ アウッ(쳌 잍 아웃)」のような発音で、ㄱとㄷのパッチムを律儀に音節ごとに息を止めて発音している感じです。
リエゾンさせれば、もっと話しやすくなるのでは、などと余計なことを考えてしまったこともありました。

ここからは蛇足のような話ですが、クアラルンプールである集まりに顔を出したら、私を含めた日本人数人とルーマニア人、ブラジル人、ミャンマー人と出会いました。
そこでは英語で話をしたのですが、学生時代に勉強したイタリア語を思い出し、ルーマニア人とブラジル人に話しかけてみました。
話したのは自分の自己紹介のような文章ですが、「だいたい分かる」と言われました。

イタリア語、ルーマニア語、ポルトガル語はフランス語とスペイン語を加えてロマンス諸語と呼ばれ、お互いに似ている言葉同士だと学生の時に教えてもらいました。
話してみて分かったのは、なるほど似ているのだなという実感でした。
ほかにもドイツ語とオランダ語、ヒンディー語とウルドゥ語などは似ているようなのですが、どのくらい似ているのか実感できたら面白いのになとも思いました。

マレー語の中期目標はマレーシアにいるうちにCEFRのB1レベルに達することにしてみましたが、そこにたどり着けるように精進したいと思います。

通信383 「翻訳でもやろうかな」幡野泉

【週刊ハンガンネット通信】第383号 (2022年3月14日発行)

翻訳でもやろうかな
アイケーブリッジ外語学院 幡野泉
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一カ月以上前になりますが、ハンガンネットセミナーで当校受講生イベントの翻訳大会について少し発表しました。セミナー参加にあたり、先生方のきめ細かい模擬授業や、いろいろ工夫され生徒さんを集められる先生方のお話が聞け、大変有意義でした。どうもありがとうございました。

当校の翻訳大会は、日韓翻訳、韓日翻訳、映像翻訳の3部門を開催しましたが、この映像翻訳部門は当校の映像翻訳講座(旧:字幕翻訳プログラム)の出身生、現役生がエントリーされました。最優秀賞は、学習を始めてまだ何か月かの現役生の方。お勤めをされながら技術を磨かれています。

さてそこで、最近この映像翻訳講座にどんな方々からのお問い合せが多いか、お話したいと思います。

コロナ禍の少し前から、すでに映像翻訳への関心の高まりは感じていましたが、コロナ禍のネットドラマブームで益々お問い合わせは増えるようになりました。
そして、ここ1,2年で目立つのは、大学生(就活生)からの問い合わせです。

話しを聞いていると、「就職活動がうまくいかない。韓国語は少しできるので、翻訳でもやろうかなと思って、問い合わせました」という方が少なくありません。

映像字幕は1秒に4文字しか入れられないルールがあり、これはやってみると分かるのですが、とてつもなく少ないのです。韓国ドラマの場合、名前をカタカナで入れるだけでアウト。さて、どうするか……。

一般のドラマ視聴者はそういう事情は分かりませんから、少し韓国語が分かると、「あ、今の台詞、訳されていない」「これなら私でもできる」

そう思ってしまいますよね。「翻訳ならできそう」、そんなふうに思う気持ちも分からなくはないです。

授業の見学会や説明会を通じ、映像翻訳とは、もしくはプロの翻訳家としてやっていくにはなど、丁寧に説明します。そこで、その道を究めることの大変さを知り、いったんやめておこうと思われる方、さらに関心を深め、飛び込んで来られる方、様々です。

通訳や翻訳は人生経験がものを言うので、歳を重ねるごとにノッてくる、という側面もあれば、若いながらも徹底的に調べて、好奇心を持って、目の前の仕事を誠実にこなしていけば、若さは相当の武器になります。

3月後半、また多くの方がいらっしゃいますので、皆さんにとってできる限りの良い選択をしただけるよう努めたいと思っています。

通信382 「真似だけでは不十分」前田真彦

【週刊ハンガンネット通信】第382号 (2022年3月7日発行)

真似だけでは不十分
前田真彦
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韓国語がうまい学生が増えてきました。
幼少のころから(もしかしたらお母さんのおなかにいる時から)
日本語の次にたくさん韓国語を聞いて育つと
韓国語の発音やリズムが自然と身に付いているのかもしれません。

今教えている大学生の中に留学していないのに驚くほど韓国語がうまい学生が何人もいます。ネイティブかと思うほど流暢で自然な韓国語を話します。

その学生たちに授業の一環として、教材の一部を録音して提出してもらい、添削しました。
いわゆる「音声添削」です。

じっくり聞いてみるといろいろ不十分な点があることがわかりました。
やっぱり真似るだけでは限界があるのです。

いくらたくさん聞いても、第1言語でない限りは
日本語をベースにして、聞いているということがよくわかりました。
たくさん聞いて真似をして、一見上手に聞こえても、
真似しきれないところがあるということです。

発音変化などはテキストでしっかりと学ばなければ、
真似をしても整理がつかないのだろうということも分かりました。
ルール化できていないから、発音変化のは間違いが多いのです。

学習者の発音の「流暢さ」や「勢い」に惑わされて、
「うまい」と錯覚しないよう、分析の精度を高めて行かないといけません。

細かく分析して、その学生・受講生に不十分な点に
適切にコメントできる力が必要です。
学習者のレベルが高まれば高まるほど、講師に要求されることも
より高度になってきます。

研鑽していかなければなりませんね。

通信381「プロ歌手の歌詞を覚える秘訣」日下隆博

【週刊ハンガンネット通信】第381号 (2022年2月28日発行)

プロ歌手の歌詞を覚える秘訣
日下隆博
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私が運営するワカンドウ韓国語教室で昨年末まで、ウ・ジウォン 우지원 という韓国青年がオンラインでの1対1のフリートークを担当してくれていました。
彼は韓国では「エリザベート」「キンキーブーツ」などの華麗な舞台経歴を持つミュージカル俳優です。
https://search.naver.com/search.naver?where=nexearch&sm=tab_etc&mra=bjky&pkid=1&os=2491071&qvt=0&query=%EC%9A%B0%EC%A7%80%EC%9B%90

ウ・ジウォンさんは様々なミュージカルに出演する中、音楽バンドを素材としたミュージカルへの出演がきっかけで、バンド形式での音楽に魅了されました。そして彼は、日本のサザン、ミスチル、スピッツのように世代を超えて愛されるようなバンド活動は韓国では難しいと判断し、仲間を誘い日本に活動拠点を移しました。

現在は日本の芸能事務所に所属し、メンバー全員が韓国人という、日本で唯一と思われるメンバー構成を前面に押し出し活躍しています。
(バンドBRTオフィシャルサイト)
https://brt-official.info/profile/

最近ではNHK地上波放送番組「SONGS OF TOKYO」に、J-POP通の外国人の一人として出演するなど活躍の場を広げています。
(「SONGS OF TOKYO」Episode 28 – 2022 世界が聞きたいJ-POP
期間限定で現在NHKのホームページで番組を見ることができます。)
https://www.nhk.or.jp/songsoftokyo/ja/

そうしたウ・ジウォンさんとの1対1のフリートークですから受講くださった方々に大変好評でしたが、ウ・ジウォンさん本人も残念がる中、活動が人気を得ていく分どうしても時間ねん出が難しくなり昨年末に終了となりました。

わたしも会食を重ねながらウ・ジウォンさんといろいろな話をしましたが、中でも印象に残っている話が彼の「歌詞を覚える方法」についてでした。

ミュージカルのステージでは当然、歌詞やセリフを覚えきって歌い演じるしかありません。また現在彼が行っている日本でのバンドステージでも、当然譜面台などはなしで、日本語の楽曲を歌う際にもウ・ジウォンさんは完璧な日本語で歌いこなします。

こうした素晴らしいパフォーマンスに、わたしは「歌詞もセリフも完璧に覚えて歌える秘訣はなんですか」と質問をしてみました。
ウ・ジウォンさんの答えは「自分は1曲につき100回繰り返して覚えます。歌詞に集中しなくても勝手に口から出てくるまで練習を繰り返します」でした。
何か特別な秘訣でもあるのではと身構えていたわたしは本当に感動しました。完璧なパフォーマンスの裏にある実にシンプルな答え。

この話は、わたしなりの解釈を加えて、わたしの受講生に話しています。
生徒さんらはわたしのこの話を、韓国語学習のモチベーションアップにつなげてくれていると手ごたえを感じています。

通信380「用言の見出し語が活用形になっている単語集」ペ・ジョンリョル

【週刊ハンガンネット通信】第380号 (2022年2月21日発行)

用言の見出し語が活用形になっている単語集
HANA  ペ・ジョンリョル
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単語集などで、見出し語に動詞や形容詞などの用言を示す際には、ほとんどの場合、基本形(辞書形)を掲載すると思います。ただし弊社で昨年出版した『hanaの韓国語単語 超入門編』という本では少し違う形を取りました。それは何かというと、用言の見出し語をヘヨ体現在形にしたのです。たとえば「가다」や「먹다」ではなく、「가요」「먹어요」を見出し語にしたわけです。

その狙いは、本のレベルが「超入門編」ということで、片言でもカタカナ発音でもすぐに口に出して使える形で読者に用言を覚えてもらおうということに尽きます。すぐに使えるためには「カダ」「モクタ」よりまず「カヨ」「モゴヨ」を覚えよということになります。

独学用教材はハムニダ体よりヘヨ体を先に学ぶものが多く、入門レベルの学習者はヘヨ体を見慣れているはずなので、ヘヨ体の見出し語に大きな違和感はないはずです。さらに基本形を意識しないのなら、変則活用は気になりません。また「カヨ」「モゴヨ」からは、「カッソヨ(갔어요=行きました)」「モゴッソヨ(먹었어요=食べました)」などの過去形を直接作りやすい。韓国の友達(同級生)たちと親しく話したい中高生や大学生にとっても、「カヨ」「モゴヨ」からヨを取って「カ(가=行くよ)」「モゴ(먹어=食べるよ)」などパンマルをすぐつくることができます。とはいえ、いずれ基本形に向き合う必要はあるので、本には基本形も小さく書いてあります。

独学書は飽きずに学んでもらえる工夫が必要ですし、この本は学習の入り口の本ということで、上記のような工夫を行ってみましたが、この試みがうまくいったかは分かりません。「見出し語がヘヨ体で書いてあるのが気に入りました」というネット書店のレビュー(若干1名)があったことはうれしく思いました。

読者の選択肢を広げるためのこのような単語集もありますが、韓国語の専門出版社としては、最初は遠回りでも長く使える知識をきちんと学んだ方が結局は近道で、学習者には早い段階から体系的な文法知識を身に付けてほしいというのが基本的な立場です。弊社には上記の本の他にもいくつかの単語集がありますが、それらすべて用言は基本形が見出し語です。