「二往復会話」での会話練習
通信011 「二往復会話」での会話練習
「二往復会話」での会話練習
한국어 강사 네트워크
【週刊ハンガンネット通信】《第9号》(2011年8月1 日発行)
「間違いは、本人に直させる」
アイケーブリッジ外語学院 幡野 泉
当校では昨年から中国語講座も始めました。私が「中国語を学び
たい」という思いが強くなり、「他校に行くよりは自校で」と思い、講座を開始しました。
なぜ中国語を学びたくなったかについては、以前当校メールマガジンに書かせて頂いています。
http://www.ikbridge.co.jp/mail/m290.htm
http://www.ikbridge.co.jp/mail/m311.htm
「3年で上級レベル到達」「自校の中国語の先生になる」ことを目標に
頑張っています。「留学しなくても、忙しくても」上級レベルになれる
ということを自らが示そうとプレッシャーをかけています。
さてそこで、これまで韓国語を教えていく中で、自分が非ネイティブで
あることから韓国語学習者の気持ちはよく理解できている方だと
思っていたのですが、昨年、中国語の学習を始めてみると
新たなる発見がいろいろとありました。その中の一つで、是非
お伝えしたいことを書かせて頂きたいと思います。
学習者が音読しているとき、質問に答えるとき、何でも良いの
ですがとにかく学習者は当然のことながら間違います。
発音を間違えたり、単語を間違えたり……。
自分が中国語を勉強して分かったのですが、間違えたときは、
それを発した瞬間に「あ、いまの違う」と、意外と気付くものなんです。
また、先生が「おやっ」という表情や反応を見せたときに瞬間的に
正しいものが分かったりします。
なので、目の前の学習者が間違った発音、単語を発したとき、
(修正の必要がある場合ですが)すこしだけ待って、そしてすぐ修正
せずに「おや?」という声に出さない反応をすると良いと思うのです。
もしくは、「タシ ハンボン」「○○、マッスムニカ?」など、
間違いを自らに気付かせ修正させるように誘導するなど……。
<例>
先生:「チグム ミョッシエヨ?(いま何時ですか?)」
学生:×「オーシエヨ(5時です)」
ここで先生が「タソッシです」とすぐ言わずに、
・「おや?」「あれ?」という表情を見せる、少し身を乗り出すなりする
・「ん?」と言う
・「オーシ……???」と言う
だいたいここで間違いに気付く人が多いですが、それでも反応がなければ、
・「オーシ、じゃなくて……」「オーシ、アニエヨ~」「オーシ、マジャヨ?」など
・「ハンシ、トゥシ、セシ……」
だいたいこれで「あっ!」となり、学習者は自身のの発言を自ら
修正することができます。この「あっ!」という気付きの積み重ねが、
「単語の定着」に繋がっていくのだと思います。
また、このように間違いを講師が修正するのではなく、気付かせ、
修正させることが良い理由は、「人が何かを身につけるときは、
アウトプット(発すること)なしでは身に付かない」ためですね。
前号で前田先生が「他の人に説明させる」ことを取り入れて
いらっしゃると紹介されていましたが、まさにこのためだと思います。
これは語学の学習だけでなく、何かの行動を起こすとき、
仕事を覚えるときなどもそうですね。
「私は先生である」「韓国語を教える」と思うと、受講生の間違いを
修正する、教えてあげる役目だと思ってしまいがちですが、まずは
気付かせる、そして話すことができるよう誘導することが大切かと思います。
もちろん、単語や文法の引き出しがまだ少ないとき、文法説明や
その他、以上の手段を取り入れることができない場面も多いですが、
自身がどんな風に目の前の学習者の間違いを修正しているか、
一度、振り返ってみると良いかも知れません。
【週刊ハンガンネット通信】《第8号》(2011年7月25 日発行)
「両輪」
ミレ韓国語学院 前田真彦
私が主宰する「ミレ韓国語学院」に、他の韓国語教室から見学に
来る受講生が少しずつ増えてきています。
その方たちはミレの授業に参加なさって「全然教え方がちがう」と
驚かれます。
たとえば、私は授業中に受講生によく次のような質問をします。「
ヘヨ体の作り方は?」「鼻音化って何ですか?」など。受講生に答
えてもらうのです。
そうするとその方がどのくらい理解しているかよくわかります。
最近よくする方法ですが、文法事項を説明した後、「隣の人にわか
りやすく説明してあげてください」と要求します。すると隣同士、「ヘ
ヨ体はね、ダを取った時の最後の母音が陽母音の時は~」などと
お互い説明し合っています。これ、効果的なんですよ。人に説明す
るのは、本当にきっちり理解していないと人には説明できませんか
らね。
他の教室からきた人は、ほとんどの場合こういう説明ができません。
ではどういう風に教わってきたのかと聞くと、「こういう場合はこう」と
理屈ではなく、体験として慣れで学んできたようです。
「入門初級の段階は、文法より、ネイティブの発音にたくさん触れて
慣れる」というのも、一つの教育方法だとは理解しますが、その方式
で中級上級に上がっていくのはやはり無理があるようで、こうしてミレ
に流れてくるわけです。
「文法をきちんと積み重ねていく」、「自分の舌の動きを観察し、鼻音
化の何たるか理解した上で体験する」このようなことなしには、長期
的な伸びは期待できないように思います。
「受講生は講師の卵」です。いずれそう遠くない将来、受講生は教える
立場に立ちます(立つことが多いはずです。ミレではそのような思いで
教えています)。きちんとした文法の説明や音変化を理解せずに教える
側に回ったときには、その方たちは苦労するだろうなと思います。
ミレを立ち上げて1年と4か月。ミレ周辺の事情が少しずつ目に入り始め
ました。
ネイティブの指導者が必ずしも上のような方ばかりだとは思いませんし
、日本語ネイティブの講師にも説明の苦手な人もいるだろうと思います。
いずれにしても、「文法の理解」と「会話の実践」、この両輪をどう両立さ
せ、「楽しく力の付く授業を継続的に実践しているか」、韓国語教室に対
する評価は受講生が厳しく下すのだということを肝に銘じたいと思います。
【週刊ハンガンネット通信】《第7号》(2011年7月21 日発行)
「楽しく学ぶ学校にするためには?」
フェリス女学院大学オープンカレッジほか講師
阪堂千津子
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皆さん、こんにちは。ハンガンネット世話人の阪堂千津子です。
今週は配信が遅くなって、すみません。
さて、先日の三連休は、いかがお過ごしでしたか
三連休・・・といっても 講師のみなさんは
普段通りに授業をなさっていた方も多いのではないでしょうか
わたしもいつもと同じく土曜日や月曜日には授業があったので、
日曜日だけが休日でした・・・(泣)
・・・が、その貴重なお休みの日に
講師をやらせていただいている横浜の韓国語学校のOFF会に参加して、
受講生のみなさんと バーベキュー&ビール飲み放題の
楽しいひとときを過ごしました!!!
このモイムが特筆すべきなのは
・自主的な講師のよびかけに
・学校独自のSNS(ソーシャルネットワークシステム)を通して
40名超(うち5名は講師)の受講生が集まり
・クラスの敷居を超えて 受講生同士で交流ができた
・・・ことだと思います。
ひごろから「ほかのクラスの学生さんとおはなししてみたいなあ」と
思っていた私にとっては、またとないチャンスでした。
また、受講生のみなさんも、ふだんのクラスのメンバーではない
同校生とあえて、話がはずんでいたようです。
いやはや、ものすごい盛況ぶり!
私たちの周りだけ「うわんうわん」と、会場に話し声がひときわ高く響き、渦巻いていました。
名残惜しいメンバーたちは、2次会に流れていきました。
わたしは翌朝も授業があるので、早々に引き上げてしまいましたが、
まだまだみなさんは話が尽きない、という感じでしたね。
年齢も性別も住まいも職業もバラバラなのですが、
会社のように利害関係もなく、近所づきあいのようにしがらみもない、
ただ1つ、韓国語が好きだ、という理由だけのつながりですので
かえって気楽につきあえる、というところが良いみたいです
なんといっても インターネットの力はすごいですね
あったことのない方でも サイトのやりとりを通して
すっかりお友達になっていたので、
初対面という気がまったくしませんでした。
そして 自主的な「飲まない?」という声掛けから始まった
気軽な飲み会なので、本当に来たい人だけが集まるという気軽さもいいですね。
勉強をつづけていくのには、良い教師、良い教材も重要な要素だと思いますが
なんといっても「よい仲間」ではないでしょうか
実は私が「なんちゃって」で通っている英会話学校も月に1度くらい、
ミニパーティがあります。でも、ほとんど参加していません。
自分の学習態度を振り返り、授業よりもあのような場所に参加することのほうが
学習意欲を高めるのにはいいのかもしれないな、と改めて思いました。
今後は英会話学校の(飲み会)にも積極的に参加してみようと思いました。
これからも 頻繁にみんなで集まれる場所があるといいなあ、と思います。
ハンガンネットのみなさんの中にも
このような集まり(学校全体や、クラスを超えた集まり)をなさっている方はいらっしゃると思います。
楽しい企画、おもしろい企画の体験談をぜひとも伺いたら、と思います。
ハンガンネットでも このような集まりができたらいいですね ^^
【週刊ハンガンネット通信】《第4号》(2011年6月27 日発行)
「語学学校の先生は、話さなくても良い!?」
アイケーブリッジ外語学院 代表
幡野泉(はたのいずみ)
ハンガンネットメンバーの皆さま、アンニョンハセヨ?
アイケーブリッジの幡野泉です。
交代でコラムを書かせていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いします!
当校は東京の虎ノ門で、「シゴトの韓国語」コースという
ビジネス韓国語のクラスを中心に、通訳翻訳、字幕翻訳など
が学べるクラスから、初心者~中級者のグループレッスン、
プライベートレッスンまで、様々な形態のレッスンを実施しています。
いろんなコース、クラスがありますが、共通して
「会話中心であること、実践的であること」にポリシーを置いています。
あ、自分もそうしているよ、自分の学校もそうだよ、
と思われる方は多いと思います。しかし、毎秒、毎分毎に
行われる様々な学校の授業、現場において、本当にこれが
真の意味で実現されているでしょうか。
例えば、「生徒さんが韓国語で会話をしたがっています。
会話中心の授業をお願いします」と言われたとしましょう。
すると、「あ、会話をたくさんすればいいんだな」と思い、
先生だけがたくさん韓国語で話してしまうような授業に
なりかねません。
多くの場合、生徒の韓国語は先生の韓国語能力
(語彙力、表現力、流暢さ)に追いつかず、
「あれを話したい、これを話したい」と思っても、
それを瞬時に表現できず、ただ先生の韓国語を聞いている、
ということも起きてしまいます。
生徒が「あまり韓国語で話す時間がなかった……」
と思ったとしても、先生が「今日は会話がたくさんできた」
「生徒はずっと笑っていて反応が良かった」と
勘違いしたまま通り過ぎてしまうことがあります。
多くの日本語話者の生徒は、その不満やフラストレーションを
表現できず、自分の韓国語能力不足のせいにしたりもします。
こうならないためにはどうしたらいいか……。
語学学校の先生は、「教えてあげなきゃ」という意識を
「話させてあげなきゃ」という意識に変えるべきだと思います。
では、「話させる」ためにはどうしたら良いか……。
このコラム10回分でも足りないくらいの話になって
しまいそうなほどいろんな技術が思いつきますが、
その中で、私が最も大切にしているのは「質問」です。
目の前の生徒のレベルに合わせた語彙や文法を用いた「質問」、
その生徒の興味、嗜好を理解した上での「質問」を投げかけ続けます。
誤解を恐れず言いますが、先生は話す必要がないのです。
話してもらえばそれでいいのです。
質問、相づち、感嘆、疑問、また質問、話題の展開などなど……
それらをぐるぐる回していって、生徒に知らず知らずのうちに
韓国語を話している状況を作るのが語学教師の役割だと思います。
もちろん、「言うは易し」。私も日々悩みながら韓国語教育の
現場に立っています。普段、韓国語学校を運営しながら
気付くこと、韓国語教育の現場に立つ皆さんに是非お伝えしたい
ことなどを、これから書かせていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします(^^)。
【週刊ハンガンネット通信】《第3号》(2011年6月20 日発行)
「何を教えるか?」
ミレ韓国語学院 学院長 前田真彦(まえだただひこ)
第2号に続いて、「気の合う同士でグループを作りたい」という
受講生の要望にどう答えればいいか、について僕なりの思い
を書きます。特定の誰かを想定しているのではなく、一般論と
して書きます。
まず、自分は「何を教えるのか」という意識を常に持っていない
といけないと思います。
韓国語を教えることを通して「何を教えるのか」ということです。
韓国語の発音や文法だけを教えているのではない、という意
識を常に持っておかないと、授業が深まりません。
僕の場合は、突き詰めると「異文化(他者)理解のため」「豊か
な人生を歩むため」に韓国語を教えているということになります。
「気の合う同士でグループを組みたい」という声が出たら、その
場で教師がどう対応するかで、その教室の質が決まってきます。
恐ろしいことです。こういうとっさの対応にその教師の資質が出
ます。普段から考えて鍛えておかないと、「異文化(他者)理解
のために学ぶ韓国語教室」とは反対方向に進んでしまいます。
「気の合う同士でグループを」という声が出たら、僕なら即座に、
「ミレでは、異文化理解のために韓国語を教えています。自分と
は異質なものと触れ合うことが外国語を学ぶ楽しさです。ぜひ、
今までしゃべったことのない人とグループを組んでください」と言います。
普段から「教室は間違えるところ」ということを言い続けることや、
「逆転現象」(=よくできる人が常によくできる人ではないという
場面を授業の中に意図的に演出すること)をしかけ、クラスの人
間関係をほぐしていきます。
そのために普段から様々な仕掛けをしていきます。
教室は2人集まれば集団です。集団をどう形成しコントロールして
いくか、ここに教師の力量が問われます。
韓国語の文法や、発音を教えるだけが我々の役目ではありません。
固定されたグループのある、あるいは一部の人だけが活躍する
教室、こういう集団は「異文化(他者)理解のための外国語学習」
「多様な価値観を認め合う外国語学習」の現場にはふさわしくありません。
教師が、しっかりと教室経営のポリシーを持ち、自分の担当するク
ラスをどう指導していきたいのか、自分は何を教えているのかとい
うことを常に問いかけて、自分なりの考え方を持っていると、このよ
うな受講生にも、堂々と対応でき、ぶれが生じません。