通信019 「発音を良くしてほしい、直してほしい」にどう応えるか
【週刊ハンガンネット通信】《第19号》(2011年10月20日発行)
「発音を良くしてほしい、直してほしい」にどう応えるか
アイケーブリッジ外語学院 代表
幡野泉 (はたのいずみ)
新しい受講生の方、既存の受講生の方と受講相談などをさせて
いただくと、かなりの方がこの要望を口にされます。
「発音を直してほしい。先生に指摘してもらい、良くしたい」
発音で悩んでいる方は多いですよね。これは韓国語に限らず、
外国語を学ぶ学習者全員に共通する悩みかもしれません。
しかし、実のところ現場に立つ先生方はこんなふうに思っていたりもします。
「どんなに指摘しても直らない」
「指摘すると自信をなくして話せなくなるから、あまり指摘できない」
そう、発音教育に関しては、学習者と教師の間にこのような溝が
生じているのです。私も場合によっては、「意味は通じるから指摘しない」
「いまは文法練習をしているから指摘しない」と決め、発音が良くなくても
通り過ぎる(いわゆるスルー。ノモガダ、ですね)こともあります。
話しはそれますが、「韓国語の発音を良くする」には、大きく分けて
2つのアプローチが必要だと思っています。
一つは、激音や濃音、イウンパッチムなど、日本語になく、日本語
話者が実現しにくい発音を改善すること。
もう一つは、鼻音化、流音化、激音化、濃音化などの音韻変化の
理論を知り、実現させること。
前者の場合、韓国語学習者の初級者なら誰でも指摘されたことが
あるでしょう。後者はハングル能力検定やセンター試験などの最初に
登場する問題ですから、多くの学習者は学んでいるのだと思います。
しかし、学習者がなかなか再現できていないのです。
理論を知ることと実現することは大きな隔たりがあるのですね。
理論を知っている状態から、実現させられる→意識しなくても実現
できているレベルにするためには、やはり本人のやる気と根気が
最も必要なのだと思います。
ですから、「発音を良くしてほしい、直してほしい」とおっしゃる
学習者に対しては、まず学習者と教師間の考えの溝について
伝え、「こちらはあなたの発音の改善点を指摘し、理論を伝え、
再現するためのコツ(のどや舌の使い方など)をお伝えするに
過ぎません。それを根気よく練習し、自分の発音を録音するなど
して客観的に分析し、再現させるのはあなたです」と申し上げる
ようにしています。
一見、突き放した言い方のように感じられるかもしれませんが、
言葉というものは他人が発するものではないので、当然のこと
だと思います。
先生方は学習者の「発音を良くしてほしい」という要望にどう
応えていますか?セミナーなどで一度取り上げてみたいテーマです(^^)
通信018 韓国語学習があなたを変える
【週刊ハンガンネット通信】《第18号》(2011年10月10日発行)
「韓国語学習があなたを変える」
ミレ韓国語学院学院長 前田真彦(まえだただひこ)
韓国語の学習をしていると、時間の使い方が上手になります。
社会人はみな忙しいです。忙しくて勉強の時間が取れないというのが普通です。
ない時間をどうひねり出し、仕事で疲れている体からどうやって
やる気を引き出すか?
そうです。韓国語学習で成果を上げることができる人は、生活の
コントロールができる人です。
語学の学習で成果を上げるためには、長期的な学習期間が必要
になります。学習の成果が上がっている人は間違いなく、生活の
中で時間節約の工夫をこらし、学習を持続できる習慣を持っています。
こう考えると、生活態度の改善から始めていくのが韓国語
上達の近道かもしれません。
毎晩特に理由もなく、ただ習慣としてビールやお酒を飲む人、ドラ
マを2本も3本も見る人、こういう人は学習の時間が取れない人です。
ミレではカセットテープに音読を録音して提出するという課題があり
ますが、受講生の声の向こうから、電話の音、洗濯機の音、子供
の泣き声が聞こえてくるときがあります。皆さん生活の中で頑張って
いるんだなと、朗読音声より、そちらに感動してしまうことがあります。
朝1時間早く起きる、電車の中で単語帳を開くなど、ちょっとした習慣
が、韓国語の力を高めてくれます。
韓国語学習を通して生活習慣を見直しませんか?
通信017 実力差のあるクラス:たぶん、答えは(タブン)?
【週刊ハンガンネット通信】《第17号》(2011年10月4日発行)
「実力差のあるクラスー たぶん、答えは(タブン)?」
阪堂千津子(はんどうちづこ)
今週あたりから、めっきり涼しくなってきました。北海道や東北の山沿いでは、すでに雪が降り始めたそうですね。東京でも夜は長袖が必要です。私はいま、ストーブをつけながら、PCの前に向かっております。さむいさむい・・・・・
さて 10月になりました。この時期は 後期の新しいクラスのスタートです。
今回、私の担当する社会人クラスでは、3つのクラスが新学期を迎えました。(新規はありません)
2つは大学のオープンカレッジ、1つは民間学校のクラスですが、それぞれ4年半、2年、10年目近くのクラス、と開講期間はまちまちです。
が、共通する悩みがあります。
それは「実力差」です。
とくに、開講期間が長くなればなるほど、初級から中級に上がるほど、受講生さんどうしの実力差がめだってきます。
表向きには人数の増減はないのですが、できない学生さんはやめていき、できる学生さんが入ってきます。
途中から入ってくる方は、よくおできになることが多いです。
少人数の場合、順番でさしていけば、全員にこたえる番が回っていきます。しかし、実力に不安を感じている学生さんたちは、返答に困ることもしばしばです。
そんな学生さんは 沈黙してしまいます。
そこでとりあえず、なるべく負担を感じさせないように、質問の仕方をいろいろと変えています。
ここで私のやっているインチキ小技の一例をご紹介しますと・・・
① よりやさしい単語にいれかえて、もう一度聞いてみる
例)갈아 입다 가 무슨 뜻이에요? à ジェスチャーつきで 옷을 벗고 다른 옷을 입다, 일본말로?
② 選択肢を提示する。 (わかるように)
例)「コンハン」の意味はなんでしょうか・
イチバン、ゴハン、 ニバン 空港 、サンバン、コンバンワ・・・・
注意*まじめな二択のときもあります。
③ 「オーディエンス?」(全員にきく)などというチョイスを与えたり、「ファイナルアンサー?」(もう一度、選びなおしてもらう)などの機会を与える。
あるいはほかの誰かを指名してもらって(←これはなんというのでしょうね)、その人に代わりにこたえてもらう。
④ 場合によっては ひたすら待つ。
「答えてほしい」と思った時は、正解が出てくるように、ひたすら念じたりもします。私に特殊な能力があるわけでもなく、効果も期待できるはずがないのですが、とにかくここは絶対答えてほしい、と切に願う瞬間があって、そんなときは天にもすがる思いです。
さらに、答えていただいたら、かならず「チャレッスムニダ」とかほめるようにしています。 マジョヨ、チョッスムニダ、すばらしい・・・
前田先生が唱えていらっしゃるように、「教室は間違える場所だ、はずかしがらずに間違えましょう」と常にこたえやすい雰囲気を作るのが大切ですね。
上のような質問のしかたが、果たしてその目的にかなっているのかは自信がありませんが、とにかくまわりの人たちと助け合いながら、楽しく学習をつづけてほしい、と願っています。
わからなくて苦痛な時間が多くなると、学生さんたちは、教室から足が遠のいていくみたいです。私の教室の場合は。
以前、キムヒョギョン先生のハンセミで、学生さんの実力差をうまく利用する教授法を学ばせていただきました。グループで役割を分担し、助け合いながら1つのタスクをクリアしていくという方法でした。なるほどなあ、と感動しました。でもなかなか、自分の授業に取り入れるところまでは至っていません。
どのクラスでも必ず存在するといわれる実力差。なんとか+の方向にもっていって、クラス運営をしていきたいものです。
・・・みなさんはどうやって乗り越えていらっしゃるのでしょうか? 同じ悩みを共有されている方のご意見やアイディアをぜひともお伺いしたいです。
通信016 ハンガンネットの可能性を信じて
長崎韓国語教室代表
池上和芳 (いけのうえ かずよし)
通信015 秋夕
通信014 当校がスピーチ’大会’を行う理由
【週刊ハンガンネット通信】《第14号》(2011年9月12日発行)
「当校がスピーチ’大会’を行う理由」
アイケーブリッジ外語学院 代表
幡野泉
アンニョンハセヨ?
残暑厳しい毎日ですね。先生方、いかがお過ごしでしょうか?
今回の通信は、当校で力を入れて取り組んでいる
スピーチ大会についてご紹介したいと思います。
当校では約8年前の学校設立当初から今まで、年に最低一回の
発表会、スピーチ大会を開催してきました。出場者は当校の受講生のみです。
※昨年の様子
(前半)http://ameblo.jp/ikbridge-h/day-20101221.html
(後半)http://ameblo.jp/ikbridge-h/entry-10744363685.html
賞品を用意し、多くのスポンサー企業様にご協力をいただき
スピーチ大会として大がかりな大会を開催することになってからは
今年で5年目になります。今年も12月に忘年会を兼ねた
スピーチ大会を開催する予定です。
私がスピーチを推奨する理由については、ブログにアップ
しておりますので、是非ご覧下さい。
http://ameblo.jp/ikbridge-h/entry-10732467845.html
さて、「スピーチなら私も授業でも取り入れている」
「作文をさせ授業で発表させている」という先生方も
いらっしゃると思います。しかし、授業内で行うスピーチでは、
その効果をどこまで得られるかが少し疑問です。
授業内だと甘えが出てきます。講師も生徒も徹底的に発音を
直そうとしているでしょうか。原稿を100%覚えようとしている
でしょうか。自然なイントネーション、抑揚、表現になるように
何回も何回も練習しているでしょうか。
おそらく授業内などでの発表レベルだとどこかで妥協してしまい、
結局書いてきた原稿の棒読み……ということになりかねません。
これではスピーチをする効果、意味があまりないのではと思います。
もちろん、人前で発表することに抵抗を覚える方へは強制
していません。韓国語の学習が嫌になったら元も子もありませんので……。
しかし、チャレンジしたあとの効果はご本人がいちばんよく
分かります。何より、フレーズを100%自分のものにしたことの
爽快感、達成感は相当のものでしょう。
会場の手配、スポンサー集め、審査員の依頼、プログラムの編集……、
スピーチ大会開催においてはかなりの経費と手間がかかります。
学校にとって、かなり大変なイベントですが、それでも行う
価値があると思い、取り組んでいます。
学校で大会を催すことができない場合は、韓国文化院主催の
「話してみよう韓国語」などの出場を促してみたりしては
いかがでしょうか。講師も生徒も、相当の効果を感じられるはずです。
通信013 臨機応変力
【週刊ハンガンネット通信】《第13号》(2011年9月5日発行)
臨機応変力
前田真彦
授業は「時間」と「分裂」との戦いです。
講師の中には時間の読みが甘い人がいます。
60分なら60分で、90分なら90分で構成を
きちんと組んで授業の準備をすることが肝心です。
途中で指導案の変更も余儀なくされます。
準備した指導案に従うより、目の前の受講生の
理解度を大切にしなければなりません。受講生の
状態をよく見極めながら準備した材料をどう切り
捨てるか・変更するか時間との闘いです。
「分裂」というのは、受講生集団が、理解度や
習熟度によってばらけることを言います。
受講生が2人でも分裂します。20人が1教室に
いれば、もう大変です。しかしそれでもできる
だけ分裂させずに、あるいは分裂してもその程度を
最小限にするよう工夫することが必要です。
分裂をそのまま放置していると、集団の崩壊につながります。
分裂を最小限に抑えるためには、個別に対応すること、
横の関係をフルに使ったペアワークが重要です。
また自宅での課題などを工夫することで
遅れた分を補ってもらえるようにします。
「時間と分裂との戦い」のためには
しっかり授業の準備することと、準備したもの
を目の前の受講生の現状に合わせて思い切って
変更する大胆さが必要です。
通信012 札幌研修2011に来ています
【週刊ハンガンネット通信】《第12号》(2011年8月22日発行)
札幌研修2011に来ています!
阪堂千津子(はんどうちづこ)
暑い日が続いているそうですが、皆さんお元気にお過ごしですか。
・・・というのも、実は先週から札幌にきています。
20日からいよいよ、札幌研修2011がはじまりました!
涼しい札幌なのに、今年も講師の先生方と受講生の方たちのやる気ムードで
教室の中は熱気むんむん、外気との温度差は驚くばかり!です。
今年は30名の参加申し込みがありました。(3分の2が日本語母語話者です)
大学生や大学院生も5-6人います。
昨年の名古屋に出席された方も2名ほど、参加なさっています。懐かしいですね~
初日の自己紹介では、全員が流暢な韓国語でスピーチをなさるので、圧倒されてしまいました。
しかし、昼ごはんどきには、ゆでてきたトウモロコシをみんなでほおばるような、
和気あいあいの楽しいムードです。
企画協力のハンガンネットからは前田先生と私が参加しています。
前田先生は相変わらずのカリスマ性です。
この2日間で教授法の実際や教室運営、教師論(教師としての心構えなど)をお話になりましたが、
優しい(お人柄ですね)ながらも厳しい語り口で、受講生全員が身の引き締まる思いでした。
受講生のアンケートでは、
5段階評価の「6」に○がついてしまうほど!!(過去最高ですね!)
私が拝聴するには、前田先生、年々レベルアップされております、うらやましい!
そして昨年、『訓民正音』(平凡社)を上梓された趙義成先生からは、
最近の訓民正音の研究動向が伺えました。
「世宗大王はね」と、学生さんたちに
「ハングルのうんちく」を傾けるのにいい材料だなあ~、と心底でひそかにニヤリ。
ちなみに、ハングルは誰が作ったのかについて諸説ありますが、今のところは特定できないとのこと。
また、1443年から1446年にどのような作業が行われたのかについても、
まだ具体的記述はみつかっていないそうです。
高島淑郎先生は、学生の誤用を分析して
日本人のまちがえやすいハングル表記を明快に指摘してくださいました。
大学の授業でも一人一人、細かく指導していらっしゃるんですね。
また、円山拓子先生の対照言語学入門では、
北海道弁の「らさる」と「~아/어지다(される)」の共通点に大変興味を覚えました。
「らさる」は青森や北海道でよくつかわれる方言だそうです。
「このボタンは押さされない」などというように使われます。(押すことができない、押されない、という意味。)
日本語母語話者として、はじめて聞く表現にびっくりしました。
そして映画「ラブストーリー」を使った模擬授業。
先生の授業のやりかたそのままを見せていただき、大変参考になりました。
板書はきれいでみやすいのが、一番ですね!
研修は昨日で3分の1がおわったところ。まだまだ木曜日まで続きます。
今年も研究授業(模擬授業)の発表が最終日にあります。
どんな授業が発表されるのか、楽しみですね^^
私も研究授業をしなくてはならないので、すでに緊張しています・・・・
来年もこの研修は開催される予定です。
今年と同じ内容にはならないと思いますが、ぜひ、皆さんも参加してみてください。
実力向上すること、請け合いです!
実は私、北海道は20年ぶりです。
以前には気がつかなかった、親切な風土とめずらしい食べ物に感動しております。
なんといっても「カツゲン」!
かつてTVの「不思議のケンミンショー」で紹介されてから、飲んでみたいなあ~と思っていましたが、
ついに夢がかないました。意外とおいしいです!
韓国の先生方いわく「味はクルピスに似ている」(注・カルピスではありません)そうな。
「カツゲン」とおいしいお寿司が食べたい方、ぜひ北海道にいらしてみてください。