通信502 「〝入門〟の定義」加藤慧

【週刊ハンガンネット通信】第502号(2024年9月9日発行)

「〝入門〟の定義」
加藤慧
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少し時間が経ってしまいましたが、去る8月24日(土)にハンガンネット納涼会に参加しました。

第二部では教授法がテーマのブレイクアウトルームで、先生方や韓国語教育に関心のある学生さんたちとお話させていただきました。
そのなかでも特に印象的だったのは、入門者のレベルが上がっているという話題です。

韓国語に興味を持つ人のなかには、本格的に学ぶ前にハングルをまず自力で習得しようと考える人が少なくないと思います。
15年前の私もそうでしたが、当時でさえインターネットで検索しただけでハングルの読み方だけなら学ぶことができました。
ましてや今はYouTubeなどで無料の解説動画があふれており、すでにハングルは読め、ある程度の単語は知っている段階からのスタート、という入門者も少なくない印象です。

そんななかでも集団授業では足並みを揃えるしかありませんから、冒頭で毎回その旨について言及し、すでに知っている人もゼロから学ぶので復習のつもりで聞いてほしいと声がけしています。
すると授業後には既習の学生でも「一人で学んでいたときにはわからなかった発音の違いが理解できた」といった反応をくれます。

さきに挙げた豊富な無料コンテンツで、独学が十分可能な今だからこそ、講師が与えられる付加価値はこの発音をはじめとしたコツの伝授やフィードバックになってくるのだと思います。
(フィードバックについても音声認識アプリなどで可能な時代ではありますが)

そのうちすでに「読める」学生の方が多くなる日も来るのか、もしそうなったら「入門」の定義や授業の導入も考え直さなければならないのだろうか、などと考えるきっかけになりました。