通信529「NHKまいにちハングル講座」田附和久

【週刊ハンガンネット通信】第529号 (2025年4月28日発行)

「NHKまいにちハングル講座」田附和久
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毎年桜が咲く頃になると、NHKのハングル講座が新規開講されるのを楽しみにしています。
特に、6か月という限られた期間で入門・初級のエッセンスを教えるラジオ「まいにちハングル講座」は、朝鮮語初級指導者にとってたいへん参考になる内容が多く、担当される先生方それぞれの工夫に富んだ構成から、毎期大いに刺激を受けています。

今年度4月開講のラジオ「まいにちハングル講座」は、辻野裕紀先生が担当していらっしゃいます。
テキスト4月号の「開講のことば」では、辻野先生ご自身が初めてこの言語に触れたのがこのラジオ講座であったこと、そして長い歳月を経て講師を務めることとなった感慨が、先生にしては珍しく難解な漢字語を控え目にされた文体で記されています。毎日の講座は、辻野先生のその熱い思い、そして研究の蓄積、教育実践の成果が存分に込められており、私は毎日すっかり魅了されています。

「あなたと語る100のことば」という講座名の通り、実践的なフレーズが毎日紹介されますが、単なるフレーズ紹介にとどまらず、そこから文字、発音、文法を着実に学んでいく緻密な構成となっています。1回15分という限られた時間の中に詰め込まれた情報量は濃密で、初級既修者であっても毎回新たな学びを得られる深い内容が扱われています。
例えば、開講2日目にして「네が「デ」に聞こえる?」という問いが取り上げられ、音声学に基づく丁寧な解説が加えられていたのには、深く敬服しました。

また、言語によって「こだわる部分が違う」ということをさまざまな場面で強調されている点にも、大いに共感させられています。このことは、いずれの言語の学習においても初級学習の段階でしっかり伝えるべきでしょう。

さらに今期の講座で印象深いのは、説明の際に「この言語では」という表現を意識的に用いていらっしゃる点です。これまでの担当講師もこの表現を使われてはいましたが、辻野先生は、聴き手の耳に残るよう特に意識して発しておられるように感じます。

そもそも、なぜ「韓国語では」ではなく「この言語では」と言うのか、また、なぜ他の言語のラジオ講座が「まいにち〇〇語」であるのに、この講座だけが「まいにちハングル講座」なのか——その理由は、今日、聴取者や世間一般の間でどれだけ理解されているのでしょうか。
もしご存じない方がいらっしゃれば、1970年代の署名運動に始まり、言語名称をめぐる紆余曲折を経て、ようやく1984年4月にNHKハングル講座が開講された経緯を、ぜひ調べてみていただきたいと思います(過去の新聞記事や研究論文などで確認できるはずです)。

NHKのテレビ・ラジオでハングル講座が始まってから、41年の歳月が流れました。
私は、辻野先生の「この言語では」という言葉を耳にするたびに、大学の「朝鮮語」学科で「한국어」を学び始めた約40年前の初心を思い起こすと同時に、日本国内でこの言語を学ぶ場を広げるため、多くの困難を乗り越えて努力された先達(その多くはすでに鬼籍に入られました)のことを思い出し、身が引き締まる思いを新たにしています。