通信583 「本の価格と値上げについて」ペ・ジョンリョル

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【週刊ハンガンネット通信】第583号(2026年6月1日発行)

「本の価格と値上げについて」 株式会社HANA ペ・ジョンリョル
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HANAが韓国語の出版を始めたのは2007年のことです。1冊目の『KBSの韓国語 標準発音と朗読』は、2色刷り168ページの本で、価格は2300円(以下、価格はすべて税抜)でした。いささか強気な価格設定でしたが、当時は中上級レベルの本が少なかったこともあり、この本は数カ月で増刷に至りました。それからは、この2300円を基準にして数冊の本を出しました。

その後、本腰を入れて出版活動を行うようになり、出版社としての信用や営業力が高まるにつれ、より求めやすい価格にするための努力を続けました。

最初の本の出版から20年近くがたちましたが、現在では、同じような仕様の本は2000円から2300円くらいの価格設定となっています。これで初刷を3000部刷って7、8割売れれば、印税や編集費、校正費、印刷製本費を払っても黒字になる、という感じです。

しかし、こう振り返ってみると、この20年間で、小社では本の価格をほとんど上げていない、むしろ安い価格で本を出しているということが分かります。

出版業界全体が右肩下がりの中で、韓国語分野は好調な部類に入ります。そうなると、語学系ではない他の大手出版社や総合出版社も参入してきます。語学書は、普通の読み物に比べてチェックすべき内容が多く、何人もの目を通したり、音声を制作したりと手が掛かりますが、大手が自分たちの価格感、つまり安い価格で韓国語学習書を出し始めると、それらを意識しないわけにはいきません。

小さい会社が価格競争をしたら、最後には資本力に勝る大手に負けるというのは、よく言われることです。分かっているつもりでも、結果としてこういう状況になってしまっています。

上記の結果にはこういう要因もあるでしょうし、そもそも人々の購買力が低下しているので安くせざるを得ないという心理的な要因もあると思います(デフレマインド)

実は昨年、定価3000円のTOPIK対策書を出しました。高すぎるのではないかという心配をよそに大変よく売れ、現在ではHANAの稼ぎ頭になっています。きちんと手を掛けていいものを作れば、高くても売れる。そう信じてもいいのかもしれません。

読者の立場では、安い方がいいに決まっています。しかし出版社にとっては、自社の持続可能性という問題もあります。成り立たなくなることが、何より大きな問題でしょう。とにかく、本の価格についてはいまだに試行錯誤中です。

今回の中東情勢では、用紙代やインク代に影響が出ています。以前からこれらの資材価格は段階的に上がり続けてきましたが、今回はかなり大きなインパクトがあります。

一例を挙げると、5年前に約110万円だったある本の印刷・製本費が、今回取った見積もりでは、同じ部数で147万円になりました。実に37万円、約35%の値上げです。

こうなると、企業努力で高騰分を吸収するのは、もう無理と言わざるを得ません。

大きなニュースにはなっていませんが、すでに各出版社が次々と値上げを始めています。「出版/価格改定/お知らせ」で検索してみると、値上げのお知らせがぞろぞろと出てきます。

実は、私は本の価格は一度決めたら変更できず、価格を変えたいときは、新装版や改訂版など「別の本」にするしかないと思い込んでいました。しかし最近になって、実はそうではないということを知りました。上記のような「値上げをする本」は、多くの場合、タイトルやISBN番号はそのままで、価格情報(定価表示とバーコード)だけを新しく書き換えたカバーを巻き直して出荷するそうです。

ところが、すでに売り場に出ている本を回収してカバーを巻き直すわけではありません。すると、しばらくの間は、同じ本だけれど価格の違う二通りのものが売り場に混在し得る状況になります。「それはどうなの?」と思いますが、仕方がないようです。

HANAでは今のところ、既刊分について値上げを行う予定はありません。ただ、増刷をする際の見積内容によっては、真剣に検討する必要が出てくるかもしれません。