=================================================
【週刊ハンガンネット通信】第578号(2026年4月27日発行)
「麻雀のカルチャーショック」伊藤耕一
=================================================
幡野先生の通信「花札」を拝読し、30数年前に麻雀で受けた私のカルチャーショックを思い出しました。
1993年、ニュージーランド滞在中、日曜日に健康麻雀の集まりがあることを知り、参加したことがあります。
行ってみると、そこにいたのは高齢の女性ばかり、21歳だった私は大歓迎されました。
早速4人で卓を囲んで麻雀が始まりました。
どこから来たのか、何をしているのか、といった雑談をしながら役作りをするのですが、私は最初の配牌を見て「平和(ピンフ)」を作ることにしました。
日本の麻雀では最もオーソドックスで上がりやすい役で、1つのペア(雀頭)と3つの並び牌(順子)を組み合わせるものです。
これで上がったのですが、クレームが付きました。
「それは何の役? 全然美しくないわね。」と言われました。
麻雀をご存じの方なら皆ショックを受けると思います。
「それでは、どんな役なら上がれるのか?」
頭の中で考えたのですが「美しくないわね。」というコメントが引っ掛かりました。
「美しいとは何のことか?」
そして次の一局で私は度肝を抜かれました。
ある方がこのような役で上がりました。
雀頭が1つ、白發中で1組の刻子、123456789と種類の違う数牌を混ぜて一気通貫を作って上がったのです。
日本では考えられない役作りですが、これに対して「Beautiful!」という賞賛の声が上がりました。
「美しいとは、そういうことか。」「白發中でもOKなのか。」と思い次の局に臨みました。
するとペアが多い配牌が来て、七対子なら美しいだろうと思い、何とか上がることができました。
これは「7 pairs, OK!」と言ってもらえました。
驚いたのが風牌の使い方です。
風牌(東西南北)は日本では2枚の雀頭か3枚の刻子でしか使えません。
つまり日本では使いにくくあまり価値がないと考えられる牌です。
しかし、東西南北1枚ずつを集めてもう1枚いずれかを加えると5枚で雀頭と刻子として使えることが分かりました。
風牌の価値がドラ牌と同等に思えました。
ショックと驚きの発見続きのローカルルールとご婦人方に翻弄されながら、最後に作ったのが三色同順です。
これは日本でも美しいと言われる役ですが、東西南北と合わせて上がったら「Very beautiful!」と言ってもらえました。
3時間ほどでその会は終わりましたが、最後にいただいたアドバイスが忘れられません。
「あなたは字牌を最初にどんどん捨てたけど、あれはもったいないから持っているべきよ。」
日本とは真逆のコンセプトの麻雀でしたが、たばこもお酒もお金とも縁のないニュージーランドの麻雀に触れた機会は良い経験となりました。
そして日本の麻雀とは異なる頭の使い方が必要なルールのおかげで、心地よい脳疲労を感じました。
しかし、その会に行ったのは1回だけでした。
日本ではいかに上がるかが最優先、可能であれば価値があり美しい役作りを目指すのが麻雀だと思っていましたが、美しさが優先され上がりやすさにも配慮のあるゲームに馴染めないような気がしました。
例えが良いかどうかわかりませんが、お寿司のネタに果物や野菜が載っているようなお店に行ったような気分です。
ともあれ、異文化に触れる経験はとても良いものだと思います。
5月30日の幡野先生のイベントの盛会をお祈りしています。
