通信590 「意外な障害」武井 一

=================================================
【週刊ハンガンネット通信】第590号(2026年7月20日発行)
「意外な障害」都立日比谷高校他 武井 一
=================================================
7月も下旬になり夏期休業に入りました。ほっと一息ついているところです。

夏休み前までには発音の導入がほぼ終わります。残念なことに、この段階で躓く生徒が出てきます。その一つが「発音記号」(IPA)です。教科書にはよく出てくるのですが、まったく読めないからです。上位校でも同じです。中学英語で発音を重視しなくなったことと関係します。

英語の場合は母語話者でない人も話すため、母語の影響を受けて発音がかなり異なる特徴があります。チェコに行ったときにエルポルトと言われて、それがAirportのことだと分かるまでかなり時間がかかったのですが、英語では許容されます。カタカナ英語でも許容されるので、発音記号は必要ないことになります。

反切表にあるa,ja,¤.j¤…を読んでしまうので、「アジャ…次の変な記号は読めません」となります。その直前に「アヤオヨ」と練習させて音では覚えているのに、それと結びつかないのです。いくらこれは「発音記号だから読むな」と言っても、十分後には同じ質問が出てきます(同じ人から…想像以上に多いです)。仕方ないので発音記号を墨塗させて、カタカナでアヤオヨと書かせるわけです。カタカナでも読めないよりはマシです。中国語の注音符号ぐらい形が違えば、そういうものだ、覚えよう(諦めよう)になるのですが、IPAは中途半端に読めてしまうことが問題なのです。IPAは中学や高校で扱っていないので、多分大学や市民講座でも同じ現象が現れているのではないかと思います。

次に、教科書を使って読みの練習をするときに、濃音、合成母音がなかなか探し出せない生徒が一定数出てきます。反切表ですべて読めると思い込んでいるか、表があるからそれに頼り切ってしまうからなのですが(そして、再びアジャ…が始まる)、いくら「このページを見るように」と本人に話しても、再び「見つかりません」になってしまいます。

さらにパッチム。理屈から言えば、パッチムそのものの発音、濃音化、有声音化なのですが、

そもそも「聞こえない物」を真似させるのは極度に難しいです。そのときは出来ても、普段余程意識させないと비빔밥はピビンバーになってしまいます。「違う」という意識がないからです。順番を変えて濃音化か有声音化を先にやって原則とした方が上手く行くのではないかとも想像しています。ともかく「ツ」で終わることは想像出来ないのです。そう思いつつも、今年も実践出来ずに終わってしまいました。

さて、夏休み。1校では課題を出しています。①「ハングルと見間違えたものを写真に写して提出。ロトが마に見えるようなことで、そろそろ色々なものがハングルに見え始める時期になるからです。②街中のハングルを見つけて読んでみる、③韓国料理を食べる。ガチ韓国とマチ韓国(ニューカマーと在日などのオールドカマー)を食べ比べて、味の違いや町の成り立ちの違いを調べる。さて、今年はどのようなレポートが出るか楽しみにしているところです。