=================================================
【週刊ハンガンネット通信】第596号(2026年9月1日発行)
「多くの災害に見舞われた夏の終わりに」田附和久
=================================================
今年2026年の夏は、熊本の地震、千葉、そして富山、石川、福井での豪雨被害など、各地でさまざまな自然災害が発生しました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
海外でも、ベネズエラやコロンビアで大地震が発生し、またネパールでは想像を絶する土石流が発生するなど、いずれの場所においても多数の人々が犠牲となりました。
気候変動が進んでいることもあり、私たちは、いつ、世界のどこにいても自然災害に遭遇する危険性があります。もちろん、韓国も例外ではありません。日本同様、韓国でも近年、局地的な集中豪雨が大幅に増加しています。地震に関しては、韓国は世界的に見ても発生が少ない地域と言われていますが、近年は小規模な地震の発生が増えています。2016年に慶州付近を震源とするマグニチュード5.8の地震が起きた際には、一部で建物への被害も伝えられました。
災害に遭遇したときには誰もが不安を感じますが、特に言葉が通じない場所では、その不安はいっそう大きくなるでしょう。言葉が通じない中で、何が起きたのかを瞬時に理解し、必要な行動をとることは容易ではありません。
今ではスマホのAIがかなり助けてくれるようになったとはいえ、非常時にはスマホが使えなくなる可能性もあります。そう考えると、事故や災害への遭遇に備え、最低限のサバイバル表現を覚えておくに越したことはないでしょう。
そうしたサバイバル表現を学べる韓国語の入門・初級教材は、ほとんどないのではないでしょうか。そうであれば、授業のどこかのタイミングで少し教科書を離れ、そのような表現を学ぶ時間を持つことも有意義であると考えます。
具体的には、どのような表現を学ぶのがよいでしょうか。まず、困難な状況に直面した際の「助けてください!」は、「도와 주세요」ではなく「사람 살려!」だということは、しっかり伝えておきたいものです。関連して、「불이야!」や、災害ではありませんが「도둑이야!」といった表現を学ぶのも、受講生の皆さんには喜んでもらえるかもしれません。
すでに早い段階で学んでいる 경찰(警察)、병원(病院)といった単語を復習しながら、112や119といった緊急通報用の電話番号を確認しておくのもよさそうです(軍事独裁政権の時代を経験した私の場合、このあと「では、113は何の番号でしょう?」というところから、話が「三千浦にそれないよう」に気を付けないといけません)。
災害とは少し違いますが、関連して、街角でよく見かける「(민방위) 대피소」が何を意味し、どのような目的で設置されているのかを説明するのもよいかもしれません(ここでも古い世代の私は、ここからまた 민방위 の思い出話に大きく脱線しないよう注意が必要です)。
皆さんであれば、ほかにどのようなサバイバル表現を取り上げられるでしょうか。入門から初級の学習者も身につけておくとよい、お薦めのサバイバル表現があれば、ぜひ共有していただけるとうれしいです。
さて、ここまでは学習者が旅先で災害などに遭遇する場面について考えてきましたが、逆に、日本で災害に遭う海外の人たちに出会う場面も考えられます。これだけインバウンド旅行客が増加している中、日本のどこで災害が起きたとしても、そこには海外出身の被災者がいると考えて間違いないでしょう。
そうした人たちと出会ったとき、どのような言葉をかければよいでしょうか。シチュエーションによって必要な表現は異なるでしょうが、もし韓国から来ている人がいて、「괜찮아요?」と一言声をかけることができたなら、それだけでもどれほど安心してもらえることでしょう。そのような状況に直面した際に大切なのは、表現の巧みさよりも、まず何より目の前の人に思いを寄せること、そして心遣いなのではないでしょうか。
103年前の9月1日、関東大震災が発生した際、日本語を正しく発音できなかった人が、それだけを理由に、何の罪もないのに命を奪われるという惨劇が起きたことを、あらためて心に刻みたいと思います。そして、万が一、私たちが同じような状況に遭遇し、日本語を正しく発音できない人に出会うことがあれば、そのときには心を込めて「괜찮아요?」でも、「Are you OK?」でも、何でもよいので声をかけ、その人に心を寄せられる者でありたいと心から願います。
