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【週刊ハンガンネット通信】第602号(2026年10月17日発行)
「AI翻訳の限界」 伊藤耕一
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これは、ある日のメールのやり取りです。
Aさんは日本人、Bさんは元同僚のインド系マレーシア人、Cさんは日本人です。
Aさん:Is this shipment going to be by Air?
Bさん:No below shipment by Sea.
Cさん:海上輸送なしとのことです。
Aさんが「これは航空便出荷ですか?」と問いかけ、Bさんは「いいえ船便出荷です。」と答え、私は「船便なんだ」と思ったのですが、Cさんは「海上輸送なし」と逆の解釈をしていて、私は「えっ」と驚きました。
Bさんの英語は「いいえ、下記の出荷は海上輸送です。」としか書いてないのに「なぜ逆の理解を?」と思いました。
しかし、よくよく英語を読んでみると「No」が「below shipment by Sea」を否定しているようにも見えます。
念のためGoogle翻訳にかけてみると、驚愕の結果が出ました。
「海上輸送は不可」
Cさんに確認してみると、Google翻訳を見て「海上輸送なし」と理解したとのことでした。
そこで、私はBさんにSNSで確認してみました。
「Cさんが『船便出荷じゃない』と言ってるけど、船便で出荷したんでしょ?」と尋ねると「船便出荷と書いたのに」との回答。
「そうだよね。どうも誤解しているようなので、もう一度メールを入れてくれる。」とお願いしました。
その後「Bさん:The shipment was done by Sea freight.」とのメールが入り、一件落着となりました。
なぜ、こんな現象が起きたのか、その後考えてみました。
Bさんの母語はタミル語で、日本語や韓国語と同じ膠着語に属し、語順が日本語や韓国語に似ています。
あの英語を語順通りに訳すと「いいえ、下記の出荷は海上輸送です。」となり、私はそのように解釈していました。
つまり、Bさんは母語に従って英語を書き、私は母語に従って英語を理解していたのではないかというのが結論のようです。
お互いに無意識の中でそのようにコミュニケーションが行われたというところでしょうか。
マレーシア滞在時、実はBさんの話す英語は私にとって、最も理解しやすいものでした。
どうして理解しやすかったのかが、この一件を通じて分かったような気がしました。
マレーシアでは、マレー系・中国系・インド系の人々がそれぞれの母語を持ちつつ共通語である英語を使ってコミュニケーションをしていますが、このような誤解は日常茶飯事のような気がします。
私は少しでも疑問を感じたら、「○○という意味ですか?」と確認していました。
対面であれば確認も容易ですが、メールでは難しい場面が出て来るケースかなと思いました。
その一方で、様々な言語を背景に持つ人々が使う英語は、AI翻訳では正確に翻訳しきれないことがあり、便利な世の中になったとはいえ、誤訳が含まれていることを常に疑う必要もありそうです。
